表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなり異世界の《半神》になった  作者: 八九秒 針
第一章 半神降臨編
7/27

神の力とは恐ろしいものよな

予約更新いいかも。と思ったけどそんなストックないし満足したらまた不定期更新に戻ります。

本日2話目です。一日に二回更新とか贅沢やぁ。

 イリスによって器の鉱石が生み出され、それに俺が神力を注ぐ日々が100年経った。

 その間ももちろん戦闘訓練は続けている。神器はまだ出来上がっていないので俺は格闘術の訓練だ。


 天渡が空から降ってくる。俺の往くてを阻む。それと同時に光の鎖が俺の足を地面に縛り付ける。これはイリスかミラかどっちだろう。強度からしてミラだな。

 地面を強く殴りつける。それによって抉れた大地が鎖を離す。だが地面から足を離したのは俺も同じ。翼を広げた天渡が白炎を纏って突っ込んでくる。

 胴体を掴まれたが足で持ち上げるように投げ飛ばす。そして必然的に視線が下を向いた俺に上空から強い衝撃が降りかかり俺は地面に叩きつけられる。

 まずい、捕まった。俺を中心に白い障壁が周りを囲んでいる。その障壁の外にはミラがいて、中には天渡とイリス。こうなったらあとはどれだけ耐えられるかだ。天渡とイリス、二人の攻撃を捌ききる!!




     ◇5時間後◇

「ここまでにしましょう。お疲れ様です。我が主の成長は著しいですね。私たち三人も成長していますからまだ負けませんけど。それでもこれだけ粘られるのは流石の一言です」

『にぃには絶対に傷つかないからねぇ。どうやって一か所に留めてタコ殴りにするかだよ』

「いやぁ、時間かかるね。僕もイリスに恩恵を授かってないと身体能力面でついていけないよ」


 俺たちはこの100年で間違いなく強くなってる。それは連携面でもそうだ。俺が三人と連携する機会はあまりないが。

 仲良くもなった、既にお互い皆呼び捨てだ。戦闘訓練以外の時間もあったので親睦は随分深まった。


 ミラは《大天使》のイリスに追従の恩恵を貰い、戦闘に限らず移動についてこられるようになった。それだけじゃなく守護結界の形を工夫したりしてサポートでの貢献が大きい。やられてみると厄介なんだこれが。

 天渡は《天竜》の力を日に日に使いこなせるようになっている。パワーもスピードも技量も100年前とは比較にならない。

 イリスは技を身に着け警戒心が強まる俺に対して徹底した「隙をつく」という一点に集中し、その一撃で戦闘の形勢を変えることに意識を向けているようだ。

 この三人が連携して俺に迫ってくる。今回はまだ粘れたほうだ。早い時は3時間もしないうちにフルボッコにされる。10時間は粘れるようになりたいものだ。


 いや、これも既に叶わぬ願望ではなくなったのだが。何故ならもうすぐ、神器が出来上がるからだ。


「さて、日課の運動も済んだことですし、100年かけて作り上げた鉱石を神器に加工しましょか」

『遂にこの日が来たんだねっ。デザインも決定済み、利便性も考慮してある、私の鱗は一枚しかないけど大きさ的には十分だよねっ!』

「僕も今日ばかりは気合いがはいってるから、伝説が誕生するのは間違いないね」

「むふふふふ」


 いやー楽しみだ。ニヤニヤが止まらない。


「では採寸は済んでいますし早速形にしましょうか。天渡の鱗を粉状にしてと。主、鉱石に触れてください。あとは『願いよ叶え』と神力を流しながら念じるだけでいいです。細かいところは私にお任せを」


 そういってイリスは俺を鉱石の前に立たせる。天渡の鱗どうやって粉状にしたんだ?よくわからないが鉱石の近くに纏めてあるから混ぜるのはイリスがやってくれるんだろう。

 鉱石に両掌を置いて目を瞑る。後ろからイリスが俺の背に手を添え、3対の大きな翼で包み込む。

 

「いくぞ」

「はい、いつでもどうぞ、我が主」


 毎日鉱石に流し込んでも溜まり続ける神力が、今も身体の中で騒いでる。

 そんなに騒ぐなら、お望み通り俺の身体から解放してやるよ。別の場所で好きなだけ騒いでくれ。お引っ越しだ。


 ―――『願いよ叶え』―――




     ◇《聖女》ミラの視点◇

 黄金色の輝く球体の嵐が、鉱石とシノブとイリスを中心に吹き荒れる。


(凄い圧だ・・・・っ!これがシノブの持つ神力かっ!ははは。イリスもよくこんなものを制御できるね)


 シノブとは数えきれないほど戦闘訓練をしてきた。その訓練の中でシノブが一度だって神力を解放してないのは知っていたけど、これは、舐め過ぎていたかな。

 ――もし、シノブが神力の出し惜しみをせず全力で戦ったら、一体どれだけ抵抗できるか――

 考えるだけで背筋が震える。これで《半神(デミ・ゴット)》だっていうんだから、完全な神は一体どれほどの不条理か。

 興味はある。見てみたいと思う。是非に思う。けど――。


「破滅願望はないんだよねぇ、僕は」


 触らぬ神に祟りなし。これをつつく勇気は今の僕にはないよ。


(おっと、そろそろ静まるか)


 金色の嵐が晴れつつある。ちゃんとデザイン通りになってるかな?見た目は大事だ。特に気分屋の僕にとっては。祈りにも関わるからね。

 果たして現れたのは予め決めていたデザイン通りの、いやそれ以上の出来の白銀騎士だった。


『おおおっ、やったね!大成功!!にぃにかっこいいよ!!』


 天渡がはしゃいでる。かわいい娘だね。


「それにしても・・・・」


 この世界に対する知識、シノブへの異常な忠誠、槍の扱いや力の制御練度、順応性・・・・。


(君は何者なんだい、イリス。その目的は・・・・?)




     ◇シノブ視点に戻る◇

 神器は完成したらしい。自分じゃ全体像はわからないが、天渡曰く、全身真っ白で肌にフィットしたスーツと鎧を合わせた感じ。頭は想定していたデザイン以上の出来で、天渡の《天竜》を男前にかっこよく模した感じ、つまりは こめかみから2本の湾曲した角が生え、口元は鋭利な牙が生え揃え、眼は妖しく白銀に輝き、一見硬質そうにもみえる白銀のカツラが後頭部へ背中辺りまで流れ、脇腹の辺りから2点の留め具で足首までマントが垂れている。らしい。胸にはイリスのと似た、楕円形の収納の天具もついている。

 聞く限りではかっこいいな。大盾と長剣は自分の目で見るか。

 大盾は中央の飛び出た西洋の棺型で、俺をすっぽり隠せるくらいの大きさがある。表面にゆらゆらと白い炎の模様が見える。天渡の白炎だな。綺麗ともかっこいいとも言える。

 長剣は刃の部分だけで長さ150cmとかなりのものだ。そしてデザインは言うまでもなくかっこいい。剣の鍔にはこれまたイリスのと似た天具がついているがその効果は別物。この天具は神力をためて任意で剣全体に流し纏わせる効果の天具だ。長剣に鞘はしっかりあるがそれは鎧の天具に納めればいいので長くて抜けないなんてことにはならない。

 と、出来上がった神器はこんな感じなわけだが、俺はもう自分を抑えきれんぞ・・・・っ!


『あっ、にぃにがぷるぷるしてる!喜びのあまりぷるぷるしてるよ!』


 天渡、やめて、恥ずかしいからわざわざ口に出さないで!!


「むっ!これはいかんな、ぷるぷるしてるぞ!喜びか羞恥心か分からんがぷるぷるだ!これはいかんっ!」


 ミラ、俺、お前になにか悪い事したか?もうやめて・・・・。


「ふふふ、我が主。天渡もミラも、我が主を揶揄しているわけではないんですよ?まだ喜ぶには早い、だって真に完成はしていないでしょう?」


 イリス?ん?あっ!


「す、すまんミラ。少々興奮しすぎた。お前の、ミラの祈りの付与を頼めるか?」

「はははは。いいよ。許してあげる。そこに盾と剣も持って立って。――うん、じゃ、いくよ」


 ミラが神器を纏った俺に祈りを捧げる。ミラのこんな優し気な声は初めて聴いたかもしれない。


「こんなもんかな。どう?僕の祈りは。ギャップ萌えしちゃったかな?お姉さんに惚れてもいいんだよ?くふふふふ。ま、冗談はさておいてあとは神器の命名で本当に完成だね」


 正直ミラのあんな声にはドキッとしたがそれは隠し通す。鎧あって良かった。

 それにしても命名ね。これ俺が考えろって言われたんだよな。だから一応考えたけど悪くないはず。


「命名:三種の神器『戦の三友陣』

         【一の友陣:栄光剣ミカエル】

         【二の友陣:竜鎧テンキス】

         【三の友陣:守護盾ミラーネット】

                            命名終了」


 ど、どうだろうか?悪くないよな?こういう時は堂々しているんだ。兜のおかげで視線だけなら動かしてもばれないしチラチラと・・・・。


「そ、そうですか。私を一番目の友と認めてくださったのですね、我が主・・・・。ん、あ、ありがとうございます」

『二番目かー。でもでも、テンキスってあれだよね?私の名前・・・・天渡の由来。にぃにの飛鳥ってホントの名前、にぃにを目指していつか天に至れますようにって。う、うへへへへ』

「僕が三番目なのは仕方ないね。それにしたって安直に僕の名前を入れるなんて、全く君は、案外油断ならない奴だな!・・・・ちゃんと守ってくれよ?」


 三人共もじもじしてる、顔を赤くしてそんなリアクションをとられると、勘違いしてしまいそうだ。

 ・・・・俺が勘違いさせてしまったか?そう、勘違いだ。俺と三人は、友人なのだ。な、なにか言わないとな。


「よ、よろしく頼みます・・・・。これからも・・・・ずっと・・・・」


 は、恥ずか死ぬ。


「う゛ん゛!はい、よろしくお願いします。我が主」

『はえーなんか暑いねっ!よよろしく!にぃに!!」

「僕を落とした責任は重いからな(ぼそ)、うん、よろしく頼むよ」


 どことなくぎぐしゃくとした雰囲気だが、この異世界を楽しんでいると言えば、これもいいのだろう。


 こうしてまた、俺たちの生活が変わったのであった。


(`・ω・´)に後書き変わります。役者は変わっていくものなのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ