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いきなり異世界の《半神》になった  作者: 八九秒 針
第一章 半神降臨編
2/27

要・訓練

目についた本読んでたら続き書くの忘れて日が経ってました。末恐ろしい・・・。

 そろそろ現実を見よう、残してきた妹のことは心配だがあれで結構強かだから俺がいなくなっても上手くやっていくだろう。そう思うことにしよう。


(それよりも今は自分のことだよな、これからどうしようか・・・・)


 相変わらず上空を飛んでいるドラゴンたちを眺めながら、これからのことを考える。


(まずは人族の国を探すべきか?魔族は論外として亜人族もこの世界・・・・アシュラに降り立ったばかりの俺がファーストコンタクトをとる相手としてはちょっとリスキーだよな。表向きは差別はないと《管理者》は言った。あの言い回しはただそういうことになっているだけという事だろう、種族の溝は深いかもしれん)


 地球の歴史でもあったことだ、いずれは行ってみたいがそれを決めるにも情報を集めなければ。


(といってもなぁ、何処だ此処。やばい現実逃避なんかしてないでちゃんと《管理者》ともっと話しておくべきだった、ミスったなぁ)


 今現在自分がいる場所も分からない、持ち物はこの身ひとつと今着ている服だけ、ポッケには何も入ってない。着ている服も転移する前と変わっているし・・・・どの方角になにがあるかも知れず、上空には先程から増え続けて居るドラゴン・・・・。


(ってちょっと待てーい!何故(なにゆえ)ドラゴンは増えるのだ!?俺は奴らのご飯になるのか!?いやそれは君たち小食が過ぎるだろう。もっと食べないと元気に育てないぞ?)


 上空を旋回しているドラゴンたちは10頭はいるだろうか、あの巨体で俺の小さな身体を十等分して食べる・・・・やばいなんか涙でてきた。

 今いる場所は深い森のなかに広がる大きな湖、その畔だ。後ろを振り向けば森の木々までは10m程。確かにここならばドラゴン君たちの巨体でもパクリとできそうだ。でもどうやって分け合うんだろう、あの爪でちょんちょんするのだろうか、何それかわいい見てみたい。


「見てみたいけど・・・・俺はご飯になってあげるつもりはないんだ。ドラゴン君たちもブレス溜め始めてるし殺る気だな?よろしいならばs」


 アホなこと考えてるうちにブレスきた。どうやらドラゴン君たちは本気と書いてマジらしい。

 響き渡る轟音。崩れ落ちる足元。だが、それだけだ。()()()()()()通り俺の肉体にはなんのダメージもない。

 砂埃が舞う中で寝そべったまま想う。我ながら傲慢になったものだ、過去の自分はどこにいってしまったのか。

 ドラゴン君たちの攻撃がくる前、ファンタジー定番最強生物として有名なあのドラゴンを見ても特になにも思わなかった。本当にここが異世界なんだなと実感したくらいだ。恐怖もなにもあったもんじゃない。

 恐らくあれらは俺に攻撃をしてくるのだろうと、そう思いながらも《管理者》との会話を思い出していたくらいには落ち着いていた。あれらに今の俺は倒せないと確信していたから。本能が教えてくれたのだ、《半神(デミ・ゴット)》の本能が、今の俺の強さを囁いてくる。これは《管理者》がなにかしてくれたのだろうか。なんにしても今となってはありがたい。見方を変えれば危ういのだろうが、こんな場所に落とされてる時点でこの傲慢は役に立つ。焦って妙な行動をとってしまわないからな。


「これが《半神(デミ・ゴット)》、末恐ろしいものだ。俺に敗北はあるのだろうか?《管理者》は俺をこの世界で初の《半神(デミ・ゴット)》だと言った。完璧な神はいるのだろうが地上に直接の干渉はできるのか?俺が目下注意すべきは俺と同じ転移者だな。確か俺含め12名、同郷のもの同士仲良くしたいものだ」


 そうこう言っているうちに砂埃が晴れてきた。さて、相手はドラゴン、転移者の一人に《天竜》がいたはずだ。こちらが友好的な関係を望むのならばここで同族のドラゴンたちを殺すのはよろしくない気がする。いや、元人間が同族と思っているのか知らないが。取り敢えずここは穏便にすまそう。


「ドラゴン君たち、ちょっと話し合わないか!俺に君たちを害する気はない!色々知りたいこともあるし仲良くしようじゃないか!そのほうがお互いにとって幸せだ!!」


 まだ少し砂埃は残っていたがドラゴン君たちにまたすぐ攻撃されては敵わない。そう思い視界が少し塞がっている状況で話しかけたら音の波動とでもいうべきか、それで残っていた砂埃が吹き飛んだ。ついでにドラゴン君たちも吹き飛んだ。キラキラと砕けた鱗が光に反射して綺麗だ。それどころじゃないな、うん。

 慌てて墜ちていった場所に駆け寄ると一頭のドラゴン君がなんとか立ち上がろうと身じろぎしていた。その鱗はバラバラに砕け散っている。恐らく少し離れた場所に墜ちたドラゴン君たちも皆同様の有様なのだろう。


 ちょっと整理しよう、俺は穏便にすませたかった、嘘じゃない。そのために対話を望んで話しかけた。ここまではいい。話しかけたらドラゴン君たちが吹き飛んだ、鱗を撒き散らしながら。いきなりおかしくなった。

 す~っと目を逸らす、と俺が慌てて駆け寄ってきた森の地面が抉れ木々がへし折れ湖まで見通しのよくなった惨状を目撃した。誰だこれやったの。はい俺ですごめんなさい。・・・・こういうところは傲慢になれないのだな、いやなったらまずいか。

 とにかくだ!俺は《半神(デミ・ゴット)》になって強くなった。とても大きな力を手に入れた。だがその力の制御が未熟に過ぎる。《半神》になってまだ一日も経ってないことを考えると当然なのかもしれないが、これは危険だ。早急になんとかする必要がある。


(あるのだが・・・・墜としてしまったドラゴン君たちはどうしようか。また話しかけるのは良くないよな、声量を抑えれば大丈夫かもしれないがまた吹き飛ばしたら完全に信用を失う、かといって放置もまずい、こちらは良好な関係を築きたいのだ。今から俺は無害ですアピールは通じるか?できるだけまた惨事を起こさないようなやり方でアピールしよう)


 ということでゆっくり頭を下げてみた。古来よりこの仕草は相手に恭順の意を示したり謝罪に使われることが多い。別に俺にドラゴン君たちの下につくという意思があるわけではないが、ここはこれ以上の争いをする気はこちらにはない、ということが相手側に伝わればいい。そもそもドラゴンが意思疎通できる存在でなかったり、これでもなお交戦をやめる意思がなく攻撃を続けるようならばもうその時は仕方がない、逃げる。え?戦わないのかって?この見るも無残なドラゴン君たちと?ないない。俺はこのアシュラを旅でもしながらまったり過ごしたいんだ。だから平和に平和に。できるだけな。


『そこな強きモノよ、頭を上げてほしい。敗北したのは我らだ、あなたが頭を下げる必要はない』


 そんなことをずっと頭を下げたまま考えていたら声が聞こえた、いや頭の中に流れ込んできたきたが正しい。これは目の前にいるドラゴン君の声(?)だろうか。取り敢えず言われたままに頭を上げる。ゆっくりとな。どうやらせっかく無害ですアピールができたようなのだから、無駄にしたくない。

 じっとドラゴン君を見つめてみる、これくらいなら既にこの世界に降り立ったときやっているので平気だろう。ドラゴン君もこっちを見ている。その姿は俺が頭を下げる前と同様、痛々しい。ちょっと悪いことをした気分になる。先に攻撃をしてきたのはあちらなのだが。


「・・・・・・・・」

ドラゴン君が続きを話すのを待つ俺。

『・・・・・・・・』

俺がなにか答えるのを待っているのだろうドラゴン君。

「・・・・・・・・・・・・・」

『・・・・・・・・・・・・・』


 無言が続く。


『・・・・ああ、また声で吹き飛ばしてしまわないか心配してくださっているのか。ありがたい事だがしかしそうなるとあなた様が今なお放っている凄まじい圧力はやろうとしてやっている訳ではないのだな。ふむ、これほど強大な力を持っておきながらその扱いに慣れておらんときたか、不思議なお方よの』


 おお、ドラゴン君が俺が喋らない理由を察してくれただけでなく、第三者から見た俺の状況まで教えてくれた。どうやら俺は知らぬうちに他者を威圧しまくっていたらしい、それで危険認定されで集まったドラゴン君たちに飽和攻撃されたのか。理解理解。

 ドラゴン君に神妙な雰囲気で頷いておく。腕を組んでおくともっといいかもしれない。って腕ムキムキだな、これ誰の腕?よく見たら胸板も厚い。着ている服が寝間着じゃなくなっていたのは気付いていたが、肉体も全く別のものになったのか?異世界転移じゃなかったの《管理者》さん?あ、よく見たら腕に昔事故で負った傷がある。肉体そのままにムキムキにした感じ?因みに服はピッタリ肌に張り付く袖のない何の素材でできているのか分からない上衣と、これまた素材の分からないベルトに濃い紫色の裾がブーツに入ったズボンという感じだ。動きやすさ重視だろうか、これも《管理者》からのプレゼントかな?


『急に自分の身体をまじまじと見てどうしたのです?我らのブレスで傷ついたわけではなさそうですが。お召し物にも傷一つないとは流石ですな、なんの素材でできているのか気になりますぞ』


 おっと挙動不審にしていたらドラゴン君に心配された。なんの素材でこの服ができているのか、それは俺も気になります。しかし声を出して対話ができないのは不便だな、ドラゴン君みたいに発声器官を使わず相手と会話ができるようにならないものか。今すぐは厳しいよな、でも意思疎通の手段は必要だ。さっきからドラゴン君の姿が痛々しい、他のドラゴン君たちがどうなってるのかも気になる。鱗の砕けた肉丸出しの部分が動物やこの森にいるか分からないが肉食の魔物なんかに食べられてないだろうか、心配だ。

 そんな俺の様子が伝わったのかドラゴン君が一声吠えると森のあちこちから木々の折れる音と大きな複数の足音が近づいてくる。これはドラゴン君が他のドラゴン君たちを呼んだのかな?空を飛んでこないということはそれだけ負傷しているということか。いきなり襲ってきたのはドラゴン君たちだが、その前に俺が周りを威圧しまくって喧嘩を売っていたようだしこれは俺が悪いな。ドラゴン君たちが集合したらまた頭下げよう。


『お察しとは思いますが、今先程あなた様にブレスを放った我が同胞たちをここに招集しました。それでお手数ではあるのですが我を含めあなた様の力の塊をくらった同胞たちは這ってくるのがやっとなほど負傷しておりまして。集結した際には一度近くのあの湖まで移動させて頂いてもよろしいでしょうか?あの湖は魔力を豊富に含んでおります。しばらく浸かっておれば回復するでしょう。もちろん我ら一同、あなた様に従う所存でございます』


 そういうことになった。5分程でドラゴン君たちは集まった。その時に頭を下げようとしたら総出で止められた。ドラゴン君たち――というよりドラゴンという種族は自分たちより強いものには敬意をはらうらしい。しかし戦わぬうちから負けを認めることはほぼないらしく、自分より格が高いドラゴンを負かしたなどでなければ戦闘は回避できないようだ。因みに最強のドラゴンは《竜王》と呼ばれるらしい。


 そんなこんなで湖に戻ってきた。改めて見ると大きいだけでなく美しい湖だ。水面は鏡のように反射し中心付近には青い光の玉がいくつも漂っているのが見える。あれはいわゆる精霊というやつではないだろうか、転移者に《精霊使い》がいたし精霊という存在自体はいるはずなのだ。


 ドラゴン君たちが湖にはいっていく。この湖は中心にいくほど深くなっているので奥まで行かなければドラゴン君たちが沈むこともない。俺も水浴びでもしようかと思ってやめた。俺が浸かって水に影響がでたら困る、おとなしくしてよう。

 鏡のような水面を覗くとそこにあったのは俺の知っている俺の顔、だけどちょっとごつくなったような気がしないでもない。なにより瞳が黄金色に輝いている、かっこいい。


『ふぅ、我らがこの湖に回復目的で浸かるのは何百年ぶりか。しかしこれでやっと落ち着いて話せますな。申し遅れました、我はこのデルイト島に住むドラゴンの頂点、風竜ウェルキムと申す。して、あなた様は何故このような絶海の孤島へ?あぁ、お話するためにもまずはそのお力を使いこなせるようお手伝いするのが先ですな。失敬失敬』


 自分の輝く瞳に見入っていたらドラゴン君、もといウェルキム君が水面から頭だけだして話しかけてきた。ここにきてようやく――いや時間としてはそんなに経っていないのだが――自分がいる場所のことが少しだけ分かった。ここはデルイト島という絶海の孤島・・・・ふむふむなるほど《管理者》がいった通り確かにぼっちのようだ。しかしこれでよかったのだろう。《半神(デミ・ゴット)》の力の制御も出来ない現状で人里になんか落とされたら何人殺ってたか分からない。感謝感謝。

 ウェルキム君は力を使いこなす手伝いをしてくれると言ったな?制御訓練はするつもりでいたが自分で一から手探りでやっていたらこの島がどうなってしまうかは考えたくもない。ありがたい申し出だ。

 輝く瞳に感謝の気持ちを込めてウェルキム君を見る。声からして雄だろう彼は緊張して固まっている様子。下手な教え方をしてまた惨事をおこされたら堪らないものな。わかるわかる。


『ん゛ん゛っ!そ、それでは早速始めましょうか。といっても我がお教えできるのは基礎となる部分だけです。我らドラゴンもこの世界ではかなり上位に位置する種族でありとても強く大きな力を生まれついて持っています・・・・えぇ、あなた様に群れで挑み簡単に敗れた我らですが本当はカースト上位なんです、だからそんな目を向けないでください・・・・と、とにかく!強大な力の制御訓練は我らも通った道、無意味に終わらせることはないとお約束します』


 そうして始まった制御訓練。まず始めに教わったのは力を感じること。うむ、言いたいことはわかる、だが随分と大雑把だ。しかしウェルキム君曰く俺は体全体から力を放出し続けている最中であるため逆に感じないほうが難しいらしい、要はこれが力だと認識できていないだけということか。

 そう考えれば早かった、力を感じるという第一段階は完了。だが、第二段階、これからが長かったのだった・・・・。


 


(*'ω'*)

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[一言] はっ! 更新されてた!
2022/06/24 17:09 退会済み
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