『普通のありふれた朝』
『普通のありふれた朝』
絶望を突きつけられた次の日も
泣き明かした次の朝も
雨が降り続いた次の朝でも
飛んで、跳ねて、転がり回って
無駄に大声を出して
笑って
笑って
その顔を鏡で見て
また笑って
時には笑われたり
あちこち擦りむいたり
そんな事をしていたい
今日も一日が始まる
心陽の暮らすアパートの部屋では、心陽がてんやわんやの様子で、
「遅れるよ、用意出来た?」
尊は準備万端で。
「……ごめん。ちょっと待ってね」と心陽が支度を済ませていく。
心陽が尊を自転車の後部座席のチャイルドシートに乗せ、自転車を走らせていく。
後部座席の尊が心陽をしっかりとぎゅっと掴んで、
「(心陽が嬉しそうに)」
保育園で心陽が職員らに向かい、
「今日も宜しくお願いします」と頭を下げる。
心陽が尊に向かい、
「じゃあね」と手を振り、行こうとする。
「……いってらっしゃい」
「(心陽が尊を見て)……」
「いってらっしゃい」と尊が手を振る。
「いってきます」と心陽が嬉しそうに。
土手の上の長い一本道を20代中盤位の母親が自転車の後部座席に五歳位の女の子を乗せ、走らせていく。
『急げ、急げ』
『ママの支度が遅いからだよ』
『ごめん』
『ママ、遅刻しちゃう』
『電動自転車欲しい』
『ママ、少し太ったぁ?』
『気のせい』
『そっかなぁ』
『心陽の方こそ太ったんじゃない!?』
『ママ、夜ご飯はハンバーグね』
『オッケーイ』
『上には目玉焼きのせてね』
終わり




