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レイチェル・ジーンは踊らない  作者: Moonshine
デビュタント
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6

デビュタントの夜会には、今年デビューする娘だけが白いドレスを纏うことを許されている。


会の最初に、白いドレスの娘たちは壇上に呼ばれ、一同に並び、そして一人づつ王族より成人の祝福を受け、正式に社交界デビューとなるのだ。


(それにしても物凄い数の御令嬢たちね。。正直お顔も名前も誰も覚えられる自信はないわ。。)


昨年のデビュタント夜会が、海の街を襲った大きな地震の影響で、中止となった事で昨年デビューし損ねてしまった御令嬢もみな今年の参加となり、白いドレスの娘たちで、今年の会場はさながら百合の谷の様相だったといえば聞こえはよいが、良縁を求めて必死に自分を売り込んでいる娘たちとその親にとっては白い戦場である。


特に、第一王子が結婚し、世継ぎが今年中に誕生するという、盤石の王政の中、いまだに独身を貫いている第二王子とその側近はみな独身で、あまり妃選びに熱心でないこともよく知られている。


好みの娘が現候補の中にいないのであれば、今年デビューの娘から見染められる可能性もゼロではない。

娘たちは今日のためにダンスの腕を磨き、肌を手入れし、少しでも美しいドレスを求め、王都の仕立て屋は上に下にの大騒ぎであったらしい。


ジーン子爵の二人の娘たちは、そんな喧騒もどこ吹く風、生まれてくる子供の名前やら庭のすももの木に営巣したキツツキの話など、大いに話に花を咲かせている中、会場に高らかなトランペットの音が響いた。


「レイチェル、あれが合図だよ。行っておいで」


取引先の男爵と話をしていたヘラルドは、ニッコリ笑ってレイチェルに促す。

ヘラルドは毎年この夜会にきているので勝手をよく知っているのだ。ライラのデビューの時もダンスのステップが完璧でないと不安がる娘をなだめてやったものだが、レイチェルはどうやら面白がってはいるものの、不安はないようだ。


「お父様、行ってきます!」


おどけて父に敬礼をし、小鹿のように跳ねて、白い娘たちが集まっている壇上に向かった。


「楽しんでおいで。」



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