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レイチェル・ジーンは踊らない  作者: Moonshine
二人の狭間で

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104/246

104

銀の矢のごときルークの愛馬は、二刻もせずに二人を泉まで連れて行った。馬車では半日以上の距離だったはずだ。


「レイチェル、驚かせて悪かった。目を開けて良い。」


地を割るような振動が止まり、優しい声が頭上から聞こえる。馬の嘶きの他に、何も聞こえない。どうやら泉についたらしい。


レイチェルは恐る恐る目を開けて、ルークから体を離した。

泉の周辺には大勢のローブの男達が何かを囲んでいる。誰かが溺れかけている。少女だ。男達は溺れかけている少女を前に、何もできずに見ているだけだ。レイチェルはその少女の顔を見た。


「ジジ!」


ジジだ。

レイチェルは弾けたように馬の背から飛び降りると、裸足のままで泉に駆け出した。


「レイチェル!まて!」


後ろでルークの声が追うが、レイチェルはそのままざぶざぶと、泉に飛び込んだ。


「ジジ!しっかり!」


レイチェルはジジの体を支えて、ようやくジジは大きく息をついた。水面ギリギリに顔をなんとか出していたらしい。


「死ぬかと思ったわ。。久しぶりね、レイチェル。。」


レイチェルに掴まりながら、ようやく息がつけたらしく、ほう、と大きな息をついた。


「ジジ、あんたこんなところで何してんの?」


レイチェルは目を丸くして、最もすぎる問いを投げかける。

あー、あんたを迎えにくるついでの調査協力よ。ローランドもいるわよ。」


遠くでこちらの方をむいて、手を降っている男は間違いない、ローランドだ。レイチェルは、胸がじんわり熱くなるのを感じた。


「レイチェル、あんたこんなところで随分良い男と知り合ってたのね。心配して損したわ」


カラカラと余裕を見せようと、ジジは笑うが、ジジの体温は低くなっている。それもそのはずだ。冬の入り口に差し掛かっている今、何刻も泉にその小さな体を浸しているのだ。ジジの体力にも限界がある。


「ばかね、ジジ。。ジジはああいう殿方が好みなの?」


レイチェルは涙をうかべ、口の減らない友人の無事を喜んだ。


「きてくれた早々悪いんだけど、さっさと呪いの源まで連れて行ってくれない?ここの泉は呪いを破らないと、どうやら私を開放してくれそうにないのよね。」


レイチェルは言葉なく頷くと、ジジの体を、ミスリルの扉まで促した。この扉の向こうに呪いの源があるのだ。

ジジは壁面に目を走らせながら、レイチェルの導きに従う。レイチェルは、ミスリルの扉の前まで導くと、そのとってに手をかけた。

。。ジジ、ここからは潜るわ。少し苦しくなるけど、覚悟はいい?」


///////////////////////////


放った小鳥を追いかけて何刻の時が過ぎただろうか。ゾイドはキラキラと水面が昼間のように光流、泉のほとりに到着していた。


ゾイドは馬の背から降りると、歩みを進めた。ローランドがいる。


「。。。ゾイド様」


ローランドは低い声を投げかけた。全てを記憶するつもりなのだろう。ローランドの美しい緑の瞳の瞳孔は広く開いていた。ゾイドの与えた魔道具を使用したのだ。


「レイチェル嬢とジジ様は泉の中に。」


ローランドが指差す方向には、ジジの小さな体と、寝間着のままのレイチェルが、光輝く泉の真ん中に浮かんで見えた。レイチェルを中心として、泉には渦が発生している。


レイチェル、と声をかけようとしたその時、レイチェルの白い体と、ジジの小さな体が、小さな波紋を残して泉の中に消えた。水中に何かがあるらしい。


ゾイドの目に、白い美しい馬が写った。そしてその持ち主である太陽の騎士と呼ばれる青年も。太陽の騎士は、馬の側に立ち尽くし、水面を見つめていた。そしてその周囲を囲むように大勢の魔道士達が泉を囲んで、事の成り行きを見守っていた。


ゾイドは何も声が出せなかった。ここにいる全ての人々が、成り行きを固唾を飲んで見守っているのだ。


(それにしても。。)


ゾイドは心に思う。


(ここにいる全員がレイチェルの寝間着姿を見たとなると、、、誰から先に殺してやれば良いのやら)


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― 新着の感想 ―
[一言] ローランドの記録道具意味ないwww最初に潰さないといけないのは間違いなくソレwww
[一言] おい最後w
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