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ドクガネルの牙  作者: 無音
9/16

小さな数字

「車って何だ?」



「……えーっとぉ…た、食べ物だよ!」


「嘘つけ。さっきの文脈で食べ物なわけないだろ。いいから早く教えろ。車って何だ」


「だ、だからー…そ、その、架空の乗りも_____」




ウィィーーオン!!! ウィィーーオン!!!

ウィィーーオン!!! ウィィーーオン!!!

ウィィーーオン!!! ウィィーーオン!!!




「あ、あれ…」


バタッ


シューラとトワは突然その場で倒れた。





____________________________________

__________________________________




中学3年、冬、雪の降る日



「シューラ、もう諦めて俺と同じとこ行こうぜ」



「どうして?」



「オメェは元から勉強になんか向いてなかったんだよ。それに喧嘩が強いだけで、実技もダメなんだろ?」



「やめてくれウルバ。気落としちまう」



「ホントどうしてそんなマジメになっちまったんだよオメェは。勉強なんてやっても無駄無駄。それに上の学校に行けたってよぉ、慣れない人間関係で息苦しくなるだけだぜ?」


「だから変わるんだよ」



「変わる?4年間もヤンキーやってたお前がそんな簡単に変われるのか?いやムリだ。生活全部変えないといけねぇ。俺が行こうとする高校勧めたのもそうだ。オメェにピッタリの環境だと思ったし、近いからいっつも集合時間遅れるオメェに優しいと思ったからだ。それにまた俺とタッグ組めてよぉ、最高じゃねーか。わかるか?」



「あぁ、わかってる。わかってるさ。親切に教えてくれてサンキューな。でもな、やっぱり諦めたくないんだ。オレの思ってること言っていいか?」



「へいへいどうぞ」




「・・・・人ってみーーんな変わっていくんだよ。もちろん今のオメェみてーに、昔っからのダチとずっとつるんでいたいって奴もいるぜ?オレだって少しは分かるぜその気持ち。でもな、誰もがそうじゃねぇ。夢に向かって突き進む奴もいれば、新しいダチ欲しくて探している奴もいる。社会が変わっちまう限り、人も変わんねぇといけない。だからオレらの関係も、いつか途切れるかもしんねぇし、そうならんかもしんねぇ。未来なんか、なんにも分かりやしないんだ」



「ならオメェはどうして変わりたいと思った?」



「オレはビッグな男になりたい。誰から見ても称えられるような、そんな男に。だからよぉ…、いつまでも狭い場所で糞溜めしてイキってられねぇんだ」



「それで片屋高校に志願ってか?あの超名門校ねぇ…。ハア…しゃあねぇなあ」



「ホントわりーな…。他の奴にも伝えておくわ。裏切ったと思われても仕方ねぇ。ボコボコにされるかもしんねーけどよ」



「もし受かったら、もう戻らないのか…?」



「受かっても落ちても戻らないつもりだ。でも暇な時は適当に顔出しにいくぜ。そんで遊ぼうぜ」



「じゃあまずは言葉遣いからだな」




__________________________________

____________________________________




「はっ!」


あれっ…どうしてオレ倒れていたんだ…


後ろを振り返るとトワも横たわっていた。


「おいトワ!!起きろ!!」


「ん……あれ…どうして私、倒れて…」


「お前も同じ反応かよっ! って…なんだこの数字?」




なんなんだこれ…


視界の右端にうっすらと小さな数字が刻まれていた。その数字は___『1020』


「トワ、お前数字見えるか?何番だ?」


「私、1020って書いてある…」


「同じかよ…いったいなんだこれは!?」


「とにかく周りの住民さんにも聞いてみよ!」


.

.

「おいじじい!大丈夫か?」

「え?おじさん今寝てただけだよ? ん?何この数字?」

.

.

「急に意識を失って…。君にも数字が写ってるのか!?」

.

.

「お宅も!?私たち家族全員倒れて、起きたら数字も同じ1020が視界に入ってるんです!!」

.

.

「もしもしアレク!」

「シューラ!今携帯掛けてきたっことはお前の身にも起きたのか!?」



オレとトワだけじゃない。近所から遠くにいる友達までも不可解なことが______


「テレビ見よ!何か報道されてるかも!」

「そ、そうだ!」


いつもおちゃらけなトワも、今回は相当焦っている。


_____

【テレビをご覧になっている皆様!!今すぐ作業を止め、安全な場所で身を伏せてください!!突然意識を失う不可解な現象が発生しています!!工事をしている人は特に危険です!!私たちの視界に数字が表されていますが、それを気にするよりも先に今すぐ作業を中止して、安全な場所で伏せてください!!第二波の恐れがあります!!】



流石の異常さにテレビの速報も大慌てだ。


「クソッ…!他の奴ら大丈夫なのかよ…!」

「とにかくシューラ動かないで!おじさんも私にもっと近づいて」



トゥルルルル トゥルルルル ピッ___


「もしもしウルバ!」

「シューラ!俺は大丈夫だ!オメェは!?」

「問題ない!族のメンツたちは?」

「クルドさん現場で働いてるから掛けたんだが、出てこねぇ。もしかしたらヤベェかもしれねぇ!他もおんなじような奴らいっぱいで手付かずだ!でも今は自分の身を安全にしろ!」

「わかってる。切るぜ」



ウルバは無事で良かった。


あと誰心配しないといけない!?次はバイトの店長に電話するか!?_______


「もういいから今は静かにしといて!」


「んなこと言ったって心配はするだろ______」


「キャッ!」



     ギラギラギラギラギラギラ



窓から眩しい眩しい光が目を襲う。



咄嗟に窓を開け外を見た。


その光景は、初めての光景で、この混乱時にはあまりにも最悪の出来事で、もうじっとすることなど許されなかった。



「終わりだ…」




何十体何百体もの魔獣が空から降り注がれた

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