正体
『2005年4月20日
こんにちわ~~!!!
アイシーで~~~~~~~~~~~~す!!!!
現役3年のJC(女子中学生)ですです!!
みなさん今日も元気ですかぁぁ?? アイシーはいつも元気でーーす!!
あのねあのね、今日ブログ書いたのはー、みんなに伝えたいことがあるからなんだーー
伝えたいっていうのはー……
アイシー、好きな人できました~!! (わーー!パチパチパチ~~~)
といってもぅぅぅ、同い年の人じゃないんですけどねぇー。
しかもしかもしかもー!!その人今日出会ったばかりなんですぅ!!
「えっ!?どういうこと!?」なーーんて思った人、挙手!!!
仕方ないなぁ~~~。ゆーーーーっくり教えてあげちゃうぞおーーーー!
なーんて書いて始めよっかなーー?あっ、そうだ!
突然だけどぉー、みんな魔法好きぃ? 私はやっぱ嫌いかなぁ……
そういうのは前から言ってたんだけどぉ、今回改めて知らされたってカンじーー。
というのも実はアイシーね、今日おカネをこっそりネコババしちゃったの。ママとパパのはバレたらヤバそうだからクソ兄貴のをね。
んで、なんでかっていうとーー、アイシーのfriendのミーちゃんがー、チョーーオシャレなバッグ持ってたからー、私もぉぉ!!
別にミーちゃんもパクリだなんて思わなかったよーー。ミーちゃん優しいから何でもOKだし。
それでー、そのバッグ探しに1人でけっこう都会のところ行ったんだけどさーーー、なーんか都会に行くほどヤンキーさんが多いっていうかぁー、アイシーが可愛いっていうかぁー、わかんないんだけどぉ、ナンパされちゃってーww
イキっててブサイクであること隠してるってカンジ??笑 なんかそういうのキモいよねーww
だから早く離れようとしたんだけどさーー、なんかチョーしぶとくてー、イライラしてさー、「やめて!!」って言ったんだよね。
そしたら相手怒ったんだよね。アイシーなーーんにも悪いことしてないのに。
ムカついちゃってー、掴まれた腕バッっと振りほどいたら魔法で対抗されちゃったの!!
だから魔法キライ!
周りにいた人みーーんな無視。
アイシー大ピンチーーー!!!!
なんて考えてたら、1人の男の人が助けてくれたの!!しかもチョーーー強かった!!魔法一切使わず拳一つ! the男ってカンジ!
そう!恋したのはこの人♥️
連絡先聞いたんだけどね、そしたら彼が「大丈夫、そんなの無くてもまたどこかで会えるよ」なーーーーーんて言ってね!!!!!!
マジLOVE♥️♥️♥️♥️
あ、でもでも!片屋高校所属の1年生ってことは教えてくれてた!!
1つ歳上か~~~~。なんだかロマンチック♥️
私、ガンバって片屋高校目指してみようかな!?
結局名前も聞けなかったけど、ホントに素敵な1日でした笑
アイシー中3だから結構不安なの。中学最後の学校行事や修学旅行になるし一応受験生になるから思い出がい~~ぱい欲しいの。そしたら春一番にこんな出来事!!ハッピーハッピーばんざーーい!!!
みんなもいい1日過ごしてね♥️』
「よし!ブログ更新っと♥️」
「アイシーちゃーん?ご飯できたよーー」
「はーーいママ!今行く~~」
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夜、居酒屋にて
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ハッピーハッピーばんざーーい!!!
みんなもいい1日過ごしてね♥️』
「______て書いてあるブログ見つけましてね、ぶりっ子満載の投稿で吐き気してきましたよーwww」
「ははは… プレフさん酔ってます?」
「えーまだまだ全然シラフですよ~~。イエーーイ、ピースピーース」
「まったくですね…。教師なんですから、生徒の前ではちゃんとやってるんですよね?」
「当たり前ですよ~~。そんなことよりー、こういう女って男性から見てもキモいですよね~?男誘ってる感じしてー。私も同姓として恥ずかしくなっちゃいますよー」
「はは…、でも僕とプレフさんの関係だって合コン繋がりからじゃないですか」
「それは違いますー。私たちは正々堂々と関わったんですからこんな匂わせ女とは違いますよ~~。すみませーん!生ビール追加でーー」
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「落ち着きましたか、プレフさん?」
「…ねぇ、テペウさん聞いてくれます…?」
「何か悩み事ですか?」
「そうじゃないんですけどね。まだニュースになってないし重傷者もいないから多分報道されないですけど、今日学校で魔獣が発生したんですよ」
「はぁー…、そうですかですかあ…」
「まだ私はこの仕事就いて3年目だから見たことないのですけど、実際あるんですよ。学校で生徒が魔獣に殺害されるという事例が。ですから、もし私のクラスメイトが1人でも、もしもそんな目に遭ってしまったら、クラスの皆にどう対応すればいいか、死んだ生徒の親御さんにどう対処すればいいかわかんないです。テペウさんならどうします?」
「なるほどね…。僕なら、ご冥福をお祈りします的な話をパパっとして、もう皆に振り返らさないようにしますよ」
「え?そんなことでいいんですか?」
「人間、何でもネガティブになっちゃいけないですから。マンガの主人公みたいにもっと熱く明るくならなきゃやっていけないですよ。でもそんな簡単になれないから僕たちは日々ストレスや悩み事抱えてるんすよ」
「ウフフッ、テペウさんカッコイイこと言いますね(笑)」
「でも将来的にそういう悲しいこと減ると思いますよ。ほら、もうすぐで軍隊が動くらしいんでしょ。なんでしたっけ?結構大規模なヤツが」
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「わざわざ放課後に集まらなくても朝会ったんだしそこで話せば良かったのに」
「二人きりで話したかったの。一緒にいた私の友達のメイルちゃんには悪いけど、ちょっといてほしくなかったから」
二人きりで話したい!?
彼女がそう言ったとたん、オレの頬は赤くなって謎の緊張感が走った。
「そういうばお互いに自己紹介してなかったね。私の名前はアグニ。音楽部に所属しています。君の名前は?」
「あ、あぁ!えーっと、シューラだよ!よろしくアグニさん。ちなみにオレは部活はしてないぜ。ちょっとバイトで忙しくて」
「へー、バイトしているんだ~~」
ささやかな笑顔で会話をしてくれている。
「うん。まあそれは置いといて、先聞きたいことあるんだけど……アグニ幽霊じゃないよな!?」
「は、はい??」
「だって昨日友達が2人、オレの様子を観に来てくれたんだけど、2人ともオレしか倒れていなかったって言うからな、もしかしてあの少女は幽霊だったのか…!!って思って」
「うふふっ。それはね、シューラくんが私を守ってくれたからだよ。私は軽いケガで済んだし、もう魔獣もいなかったし、凄く大きい爆発音だったから人がこっちに来ると思ってね、迷惑は掛けられないから素早くあの場から離れたの。軽いケガでもメイルちゃん心配するから。それに怖くて逃げたかった」
「オレが守った…!? 待ってくれ!どうしてオレたち助かった?あの時、何があった…?」
大事な話なので、言葉一つ一つに深みを持たせたように言った。
「シューラくん、ホントに覚えてないの?」
「え?うん」
「なら念を入れて良かった。こうなることも予想してたから朝話すの止めて二人きりで話そうと思ったの」
「そ、そうだったんだ…」
どうやら愛の告白ではなかった。
「シューラくん、言うよ?昨日、あの時_____」
ゴクン……
〈41〉
「シューラくん、君が……、魔獣になった」