ジーマとの再会
「前はどこに住んでいたの!!?」
「えーっと…オリバーの国だよ」
「へー、そうなんだ!言っちゃ申し訳ないけど、あまり治安が良くないところだよね?で、どう?片屋の国は」
「す、凄く大きい建物いっぱいで、ビックリしたよ…」
「なにーーその小学生みたいな感想!?メッチャ可愛いんですけど!!」
「「ハハハハハ!!」」
大勢が苦手なジーマは、クラスの女子に囲まれていた。
すると、水道に行っていたシューラが嘔吐の処理を終えて教室に戻ってきた。
「あ、シューラ…」
「え?何?ジーマくんってシューラくんのこと知っているの?」
「あ、うん…ボクはシューラの幼なじみなんだ」
「「えーーー!!」」
「何ソレ!!運命的な再会ってやつ!?」
女子は大騒ぎをした。
「ちょっとボク、久しぶりに2人きりで話したいから席外していいかな…。シューラもいい…?」
「え…!、あぁ…!いいよ全然…」
フランツェルはシューラを見つめていた。
「あーあ、行っちゃった。主役がいなくちゃどうすんのよ。なんかあの子、カワイイけどノリ悪いよね」
「まあいきなり質問責めする私たちも悪かったんじゃない?」
「転校生のヤツ、すげー女子ウケいいな…。あんなヒョロガキのどこがいいんだか」
「なあテルマ…」
フランツェルはコソッとテルマに駆け寄った。
「シューラの奴、妙に変じゃないか…? あんなガキ相手にさっきからずっと、緊張してるというか…」
「うん、それは僕も思ったよ。幼なじみらしいし、何かあるんじゃないかな…」
.
.
屋上
「もぅ、久しぶりの再会なのにどうして吐いちゃったのかな(笑) ボクにとって大事な日だよ?邪魔をする気かい?」
「そ、そんなわけないだろ!アレだよアレ!流行りのゲロ挨拶的なヤツだよ…!」
「何それ?片屋の国ではそういう文化があるの?そんな流行りは聞いたことないけど」
「だ、だよなー…、冗談だよ!冗談!…」
ネタが寒いという以前にネタだと思われなかった。
ヒュー
お互い黙り合って、風の音がよく聞こえる。
「まだ…、お、怒ってる、のか…?」
オレがそう言うとジーマは笑い出した。
「まだ怒ってるって何?ボク最初から怒ってなんかないよ。シューラって大胆なイメージあるけど、意外とそういうことにシビアだったりするんだぁ。でもそれだけボクのこと考えていてくれたんだね!とっても嬉しいよ、シューラ!」
「いや、オレ…別にそんなこと思ってるわけじゃ____」
「ねぇシューラ」
「は、はい…!」
「大好き」
そう言ってオレの身体を抱き締めた。
怖い。身震いが止まらない。
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作業終わりのアルマーは、1人昼の報道番組を観ていた。
【龍が現れたんだよね?龍ってあれだろ?幻の魔獣と言われている】
「これ、シューラくんじゃないか…!」
アルマーは流れている防犯カメラの映像を観て、シューラだとわかった。
【龍の魔獣が出たことも重要です。でも他にもありまして、今回最も取り上げるべきことは2つ。まず一つは、その龍とやらが魔獣同士で争ったことですよ】
【気づけばそんなことありそうで今まで1度もありませんでしたね。魔獣はただ人間を襲う生物だと我々が勝手に認識してたってこともありますが】
【2つ目は魔獣の中に、というか魔獣自体が、人型に変身したんですよね。しかもこれ、驚きましたよ。よく耳にする『1分40秒』、そうですこの瞬間に起きたんですよ。つまりこれは弱体化した姿なのではないかと世間で騒がれてますが。果たしてこれは偶然と言うべきなのでしょうか。フィランディア博士、この2点についてどう見解されますか?】
【あのねー、魔獣が人を襲う生物という認識は間違ってないと思いますよ。だからこそ、その行動をしなかったこの龍はきっと我々人間の味方ですよ。それに皆さん、人型に変わると言ってますが、そもそも元の姿が人型であり、魔獣に変身できるという考えをお忘れでないでしょうか?私はそれを信じますよ】
【さ、さすがですねー…。マジで当たってるんじゃないですか?】
【龍にも同じ事が言えます。人型と言ってますけど、もしかすると正体が人間の可能性もありますよ。そして今この番組を観ているかもしれません】
【本人ニッコニコかもしれませんね!ははは!】
【いやホントそうであってほしいですよ。我々科学者は情報がない限り研究に取り掛かれないですから、今すぐにでも公表してほしいところですね。さすれば結界を解く道も開けるかもしれませんよ】
【とにかく今回の件については、人類にとっての大きな前進になったと言えるでしょう】