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ドクガネルの牙  作者: 無音
14/16

仲間を信じれば

「知ってる?最近噂なってる龍の話」


「何それ?」


「片屋の郊外にあるオリヴィア町だったっけ?どうやらそこで魔獣同士が闘ってたらしい。片方は龍みたいな形していてそれが密かに話題になってるんだ。謎が広がるって感じだな」


「なんだよそれ。それに誰情報だよ?」


「知らない。でもそんなこともあり得るのじゃないか?だってこの世界は複雑だしさぁ」


__________________________________

__________________________________




「うおぉぉらぁぁぁぁ!!!」


シューラは全く恐れることなく魔獣に向かって魔法を繰り出す。


魔獣はシューラの技を受け止める。


「チッ! まだだオラァ!!」




_________


「ねぇシューラ見なかった!?」


「どうしたトワちゃん?」


「シューラが…シューラが1人で魔獣の方に行っちゃったよぉぉ!!」


「な…マジかよぉ!!!」



__________________________________




「ぐっ!! 全然痛かねぇよクソ野郎が!!!」


「グゴォォォ!!!」


5m程の体長を持つ魔獣を一切物ともせず、シューラの根性魂が強く燃える。



「グゥゴォォォォォォァォォ!!!」


「…何テメェも熱くなってんだよ。この人殺しがよぉぉ!!」



【人と違げーからこそシューラなんだよ】



「オメェらが存在してるからウルバが……!」



【せっかく決めたことだ、ゼッテー夢叶えろよ】



「オメェらが存在してるからオレの夢が……!」



【オメェも俺も、負けるわけねぇだろ。だって俺たちは、最強不滅のタッグなんだからよぉ】



「死ね!死ね!死ね!死ね!」


「ググゴオォォォォオオォ!!!!!!」


「何だよコイツ…!!」


魔獣はヤケクソに暴れ回りシューラを襲う。


「ぐあぁぁぁぁ!!」


大打撃を受けてしまう。


しかしシューラの闘争心は止まらない。 


「痛ぇ…、けどな魔獣さんよぉ!」


ブゥゥン!!


「グゴオォォォオオ!!グゴオォォォ!!!!」


シューラは顔面を掴んで魔法を直撃させる。


「へっ…ちげーんだよ…抱えてる物の大きさが…。魔獣さんはこんな頑張れないだろ…? えっ…?」


「グゴオォォォォォォォォ!!!」


「ぐあぁぁぁぁ!!痛い痛い!!!」


油断したシューラは魔獣から振り落とされ、ガードを貫通する一撃をくらう。


「ヤバい… 気失っちまいそうだ…」


シューラは床に倒れ込んだまま上を見ていた。


「グゴオォォォ」


魔獣は連続で攻撃することなく少し様子を伺った。



「ははは…。舐めんじゃねーよ…、ちくしょーめが…まだオレの秘密兵器知らねーくせによぉ…」




________来いよ、オレの龍。力をくれ…



前もそうだ。危ないところで龍になった。



きっと大丈夫、きっと…


グサッ




「ああぁぁぁぁぁ!!!!!」


痛い痛い痛い痛い痛い!!!!


死ぬ!死ぬ!死ぬ!死ぬ!



なんで!どうして!?あの時もあの時も龍になれたじゃねぇか!!なんで出ねぇんだよ!!



「ゴォォォォォォ」



あ…、 ヤバい…


本気で死ぬ_____________




バッ!


「グゴォォォ!!!」


「何だ……? ってお前ら…!!」


皆が一斉にこっちに来た。



「ノルアちゃん!私と一緒にシューラに回復魔法を!」

「はいよ!」


「ト、トワ…」


「おいシューラ!!俺たちに黙って1人で闘うんじゃねぇ!クレハとアダトゥスは後方に回れ!」


「了解! シューラくん、こんな恐い敵に1人で立ち向かっちゃダメよ」


「クレハ…」


「アレクもうちょっと間合いを取って!」

「つったってコイツ魔法あるから!」


何人ものクラスメイトがオレを庇っている。


「シューラくん聞いて」


「え?」


「僕たちはクラスメイトだよ。例え友達でないとしても仲間だよ。君は何に悩まされていたのか知らない。それは、皆で力を合わせても解決できないことなのかもしれない。そういうものだってある。でもずっと1人で抱え込むのは止めよう」


「テルマ… 皆…」



【悩んでたら俺に相談しろよな。オメェってそういうこと他人に話さねぇタイプだからよ。中坊からそうだ、変にリーダーシップ張ってんじゃねぇよ】



「わかったでしょシューラ?これが、仲間と一緒にいることの良さだよ」



バカかよオレ


こんなにも心の広い仲間がいることに気がつかなかった。いや、多分気づこうとしなかった。それは周りに迷惑を掛けたくないって思っていたから。


でもわかった、これは迷惑なんかじゃない。誰かを助けたいって心を、皆持っているんだ。



「トワ…。ありがとう皆。オレ、もう間違えない」


「えっ?待って、まだ治療が____」

「もう平気。身体も動く」


オレは立ち上がった。


「グゴオォォォ」



身体の中で血が流れるのを鮮明に感じる。


過去2回の経験から、危機が迫ったり死の直前になると魔獣化になれるのかと思っていた。でもそうじゃない、答えは心だ。


誰かを救いたい、誰かを守りたい


その意志が、龍の血となってオレの体内を駆け巡らせる。それは、オレの中に眠る龍もまた、同じ意志を持っているから。



オレは、ここにいる皆を守りたい。



黒い粒子がオレに纏わりつく。


それが今、青い光を放ってオレを輝かせる



「な、何!?」


ギラギラギラ


「シューラが……魔獣に…!?」

「お、おい…これって…、噂されてた…!」


「龍だ…!!」



アアァァァァ!!!


グゴオォォォ!!!


「くっ! 何だよこれ!」


バキバキバキバキ!


ドドドド!!



とてつもない激しさが建物などを巻き込みながら、トワたちを放って遠くまで闘うほどに熱烈している。



ドカッ!


鎧のような顔面を破壊し、


ボゴッ!!


胴に鋭い一撃を入れ、


ドゴォォン!!


勝ちを確信した。



「はあ、はあ、はあ…」



敵は倒れたまま襲うことなく、



_________そして1分40秒が経つ







キュュゥゥゥン

「ゴボ…! ゴホ…ゴホ…」





「え?」



冗談だろ…


魔獣は







人だ

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