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ドクガネルの牙  作者: 無音
12/16

嬉し涙、悔し涙、知らぬ涙

龍の魔獣が姿を表す_____!



アアァァァァァァ!!!!



龍による風圧がアルマーを吹き飛ばし、アルマーは危うくも敵の攻撃を免れた。


しかし打ち所が悪かったのか、アルマーは地面に伸びたままだった。



ドコッ!!


空かさず攻撃を始める。



「か、勝ってしまうかもしれない……」


トワは小さく呟く。



龍による打撃が冴え渡り、敵は叫び声を上げる。


それに抵抗して敵魔獣は反撃を繰り広げる。



アアアァァァ!!



しかし龍の魔獣は屈しない。これは龍の、いや、シューラの意志が強く働いている。



勢いのある攻撃がシューラの勝利へと近づける。



グガァァァァァ!!



敵は逃げる体勢をしている。現在、魔獣出現から約1分。魔獣は時間を考えて後退を挑んでいるのではない。この状態は、明らかにシューラが操る龍に怯えている様子である。



しかし龍は止まらない。打撃打撃打撃で痛め付け、取り押さえ、逃がさない。


敵はほぼ瀕死で、抵抗する力も下がっていった。



大事な1秒1秒が刻一刻と迫る中、さらに打撃を加えようとするそのとき、トワが動き出す。




「シューラァァ!!ストップ!!!」



トワは2体が戦闘する危険な間に入り込み、両手を広げて仲裁に入った。



龍は殴る寸前でピタリと止まった。


それから静止したままであった。



敵魔獣は素早く場を離れ、姿を消す。




静止した龍は溶け始め、形が崩れた。


そして中から、意識を失い倒れているシューラの姿があった。



.

.

.


目を覚ました。


「……あれトワ…?」


仰向けに起きると、さっきまでは晴れだった空からの曇り空が見えた。


「良かった無事で…!!」


トワはオレを抱き締めた。


「オレ魔獣と闘ってたような気がしたんだけど…」


「うん…!シューラが龍になってくれたおかげで私もおじさんも、皆助かった!!」


トワから、本当に良かったという想いがしみじみ感じ取られた。


「バカバカ!どうして龍の魔獣になれる力を私に黙ってたの!?そんな強いの持っていながら言わなかったの…」


「オレが…魔獣…!?ちょっと待て!オレは魔獣になっていたのか!?」


「記憶は……無いみたいね。その通りだよ。もう一度言うけど、シューラは私たちを助けてくれたの。龍のような形に化したシューラはとっても強くて守ってくれたから、魔獣は諦めて帰って行ったの。ホントにホントに…皆生きてて……嬉しいよ…!!」


トワはうっすらと涙を浮かべた。


「トワ、とにかくこのことは決して誰にも言うなよ…」



.

.


「おい起きろじじい(ペシペシ)」


「ん、んん…。あれ…生きてる…。魔獣は消えたのかい?」


ますますこの世界の仕組みがわからなくなった。


魔法とは何だ?科学的に証明できないこの異能力がどうして存在していて、そして使えるんだ?

魔獣とは何だ?どうして人を襲い、街を襲い、そしてすぐに消えるんだ?


「この景色は…酷い有り様だね…」


そしてなぜオレは魔獣になれる?


「とにかく家に帰ろっ。……壊れてなければいいね…」


オレは____自分の身体が…恐い。


_____



「良かった…ちょっとしか壊されてなく______」

「うえぇぇぇぇん!!!お母さぁぁぁぁん!!」


うっ…


瓦礫の下に血が垂れていて、生身が散っている。それを子供は、悲しそうに…


「ううう…」


ヒドイ。街は荒らされ、何度か視界に入るくらいの数の死者や重傷者、泣き声や叫び声に強く胸が打たれる。

それでもまだマシな方だ、魔獣は1分以内にいなくなるから。それがもし何分も滞在する奴らなら、言葉にできないくらいの大災害だ。



どうしてだ?どうしてこんな惨劇が?どうして悲しみばかりが?



どうして段々とオレの夢を遠ざけるんだ?




「携帯取ってくる。壊れてるかわかんねぇけど」


「家の中危ないから一旦掃除しないと…」


「んなこと言ってられねぇだろ…」


リビング辺りに外傷は無いけど、振動でカップやらガラスやらが割れて飛び散っている。


「よし、携帯生きてる」






なあウルバ。オレ、夢叶えるためにでっかい口叩いてたけど、なんか疲れてきた…。まだ始まったばっかなのに。


ちょっと、相談相手になってくれよ……





トゥルルルル…



そういえば人に相談するってあんま無かったな



トゥルルルル…


トゥルルルル…




おい、いい加減出ろよ。


…まあいっか。後でも、



いつでも_____

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