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外と内  作者: 春夏冬 しゅう
1/3

とある女子高生と男子学生の邂逅

10年近く前に公演を行った舞台のオリジナル脚本に修正を加えたものです。

別サイトにも投稿した気がしますが調べても見つからなかったのでこちらに投稿。

重複投稿見つかったら教えてください。

登場人物

女1(女子高生)

男(男子学生)



明転


深夜の6階建ての雑居ビル

その屋上に2人の男女

男は転落防止の柵の外側で柵をしっかりと掴み、上を見あげている

女1はそこから少し離れた場所で苛ついた様子で男を見つめている


沈黙がその場を支配している


女1「……死ぬならさっさと死ね!!!!!」


女1が男に向かって怒鳴りながら近づく


男「うわあああ!?」


男、初めて女の存在に気づき動揺する


女1「長いんだよ!いつまでそうしてる気だお前!さては死ぬ死ぬ詐欺か?引きとめてほしいのか?よし分かった引導を渡してやる、そこになおれ!!」

男「ごめんなさい!?」

女1「さあ死ねはやく死ね今死ねさっさと死ね!」


女1、男の腕を掴み引きはがそうとする


男「いやほんとすいません!すいません!!」


女1の手を振りほどき、死に物狂いで柵を乗り越え内側へ戻ってくる男


女1「なんだ生きたいのか」

男「いや……」

女1「やっぱ死にたいのか」

男「それは……」

女1「はっきりしろ!」

男「わ、分かんないです!」


沈黙


男「分かんないです……」

女1「分かんないか」

男「はい……」

女1「分かんないうちに死のうとすんな!」

男「すいません!」

女1「謝るな!」

男「す、あ、はい!」


沈黙


女1「何があった」

男「あ、え、えっと(嬉しそう)」

女1「やっぱいい。言うな」

男「あ、はい……(残念そう)」

女1「この下なんだか知ってるか」

男「え?」

女1「喫茶店だよ。年いった夫婦がやってる」

男「はあ」

女1「旦那さんは会社員。奥さんは専業主婦。質素な生活を細々と続けて定年退職を機に、二人の長年の夢だった喫茶店を開いた。繁盛なんてしなくていい。ただ、お客さんに美味しいコーヒーと居心地のいい場所を提供したい。それでお客さんが『ごちそうさま』と穏やかに笑ってくれれば最高だ。そんな風に日々を過ごしていた」


戸惑いながらも大人しく話を聞く男


女1「それが、開店準備をしにいつも通り二人で連れ添いながら店にきたら、店の前に頭は割れて目玉は飛び出して骨が飛び出てる死体が血の海に横たわってるわけだ。警察とか救急とか大変だろうなあ。清掃だってしなきゃいけないし、綺麗にしたって人が死んだすぐ目の前でくつろいだりしたくないだろうなあ。そうするとお客さんも少なくなるだろうなあ。もしかしたら、他の自殺志願者が話を聞いて、ここで死のうと来るかもしれないなあ。それでまた死なれたら、またお客さんが減るだろうなあ」


沈黙


男「……すいません」

女1「えっ」

男「え?」

女1「いや……」


沈黙


男「……あの」

女1「なに」

男「身内の方ですか?」

女1「いや」

男「お客さん?」

女1「違う」

男「え?」

女1「てか嘘だし」

男「嘘かよ!」

女1「……」

男「え、あ、すいません……」

女1「いや、ありがと」

男「えっ」


沈黙


女1「死にたきゃ死ねばいいよ」

男「え」

女1「迷惑かけなきゃね」

男「あぁ……」

女1「だってそうでしょ?」


沈黙


男「……線路に、とか」

女1「迷惑」

男「賠償金支払えば……」

女1「払うのはお前じゃないし時間は金で買えない」

男「首吊ったり」

女1「周り汚物まみれにすんのか。片付ける人の気持ち考えろ」

男「……睡眠薬で」

女1「死ねないよ。吐くだけ。そんなん運び込まれた病院が迷惑」

男「海にとか」

女1「無邪気に水遊びしてた子どもが見つけたらどうすんだ」

男「……」

女1「どうした」

男「もう無いんですけど」

女1「あるよ、もっと死に方考えろ」


沈黙


男「……孤独死?」

女1「清掃会社の手を煩わせんな」

男「はい……」


沈黙


女1「まあでも方向性は合ってる」

男「えーっと……」


沈黙


男「老衰?」

女1「……」

男「子どもや孫に囲まれて……みたいな?」

女1「知るか」

男「ひどっ」


2人ちょっと笑う


男「出来るかなあ……」

女1「だから知らねえって」

男「ですよね~」

女1「……素か?」

男「え、あ、どうなんだろ」

女1「?」

男「覚えてないです……」

女1「何だそれ」

男「いやあ……」


沈黙


男「なんでもないっす」

女1「あっそ」

男「はい。あの、ありがとうございます」

女1「はあ?なにが?」

男「いや、その」

女1「構ってちゃんが目障りだっただけだし」

男「すいません……」


女1が自分のポケットを漁り、男にくしゃくしゃの飴玉を軽く投げつける


男「?」

女1「あげる」

男「……粉々なんですけど」

女1「しらね」

男「えーっ」


女1が時計を確認して


女1「やば。寝れるかな」

男「え」

女1「帰るわ」

男「あ、あの!」

女1「?」

男「名前、教えてくれませんか」

女1「えー?あー……山田花子」

男「いや絶対違うでしょ」

女1「あー……新垣結衣」

男「ちょっと!」

女1「ぴったりだろ?」

男「性格的にはむしろイモトアヤコ……」

女1「なんだって?」

男「なんでもないです」


笑いあう2人


女1「じゃーね」

男「あ、はい。さよなら」


女1が去る

男、しばし屋上に佇み、その後去る


暗転



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