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最終話 いまどき流行りの異世界生活

今回で最終回となります!!


もしこの話をもう少しでも見たいと思ってくれた方はレビューでコメントをくれれば続きを書きます!!


ではみなさん!! 心を込めてどうもありがとうございました!!


あぁ、あの上空を飛ぶ鳥さんの様に空を飛んだら気持ちいのかな、ははは………。


そんな事を考えている間にもスライムは俺の元に近づいてくる。


ちくしょう、ざけんなよ!!

セレスとかケルベロスみたいにあんな勢いで飛ばされたら絶対痛いだろ、ってか死ぬだろ!!


俺はポケットに入れていたブテ○ロックを取り出して強く握った。


大体何が異世界だ、こんな事になるのが分かりきってたから俺は嫌だったんだよ!!


あのナルシス神、次会ったら足洗いソープを頭からかけてやる!!


ってかそもそも俺がこんな物じゃなくてもっと強い武器や魔法を選んでいればこんな事にはならなかったんだよ!!


あぁ、もう後悔って本当に後からするから後悔なんだな、コンチクショウめ!!


「こんなもんッ!!」


苛立つあまり俺は足洗いソープを大きく振りかぶってスライムにぶん投げると、空中で足洗いソープの蓋が開き、飛び出した少量の中身が巨大なスライムにかかる。


すると、何故かスライムは体を大きく揺らした。


なんだ? なんか苦しんでいる様にも見えるが…………もしかして足洗いソープが苦手なのか?


いや、流石にそんな事は無いよな……


俺は恐る恐るスライムの近くに落ちた足洗いソープを拾い上げ、中身をスライムに向けて噴出させた。


そして、浮かび上がった疑問が確証へと変わる。


案の定スライムは先程以上に苦しみ、足洗いソープに触れた部位からまるで石の様に硬化していく。やがて石化はスライムの全体に及び、完全に動きを止めた。


「…………やったのか?」


言うと必ずフラグが立つ言葉を口にしても、スライムが動き始める様子はない。


つまりこれは………


「よっしゃあぁぁぁー!! 投獄回避成功だぁぁ!!!」


歓喜に身を委ねて身振り構わずに飛び回る。


いやぁ、まさか足洗いソープがここまで役に立つとは。 なに、なんかモンスターを苦しめる作用でもあんのか、これ。


ともあれ、これで一安心だ。

さっさと街に帰って騎士に報告しないとな。


ルンルンと歩く俺は自らの周りの光景を見て足を止めた。


理由は至極単純、自分の周りを囲う様にスライムが十匹ほど集っていたのだ。

あまりの地獄絵図に俺の頬はピクピクとヒクつく。


「…………うそやん」


よく考えればそうだよな。 討伐依頼が出るくらいならたった一匹な筈がない。


完全駆除とまでは言わないだろうが、ここら辺にいるのは一層しなければならないだろう。

恐らくここらに住む経験のある冒険者からしたら害虫駆除的な感覚なのだろうか、俺に至っては全くの未経験だ。


「できるか、こんなもん!!」


しかしこのまま帰る事が出来ないのもまた事実。 ならもうやるしかないじゃん!! なんだこの理不尽過ぎる成り行きは!!


もうわかった、それなら俺も全力でできる限りこいつ等をブテ○ロックで駆逐してやらぁ!!


「まとめてかかって来いやぁー!!!!」


俺は声を上げて十匹のスライムに特攻した。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




それから小一時間後、俺は身体中スライムの粘液でネチョネチョの状態で街に行き、騎士団で騎士と会っていた。


騎士は俺の状態を見て同情した様に顔を歪めた。


「あー、その、なんだ。 よく頑張ってくれたな、ありがと」


「あぁ頑張りましたとも、身体中粘液まみれになるぐらいにはな!! で、ちゃんと投獄されずに済むんだろうな!?」


「そこの辺りは大丈夫だ、既に話は通してある。 あっ、それと……」


騎士はなにやら意味ありげな笑顔を作り俺の肩に手を置いた。


「どうだった? 俺の粋な計らいは」


「それってもしかしてセレスティーナの事か?」


「あぁ、前に最強のモンスター、白龍を一人で倒した程の腕前の女だ。 正直スライムに対してかなりのオーバーキルだったろ?」


「は? オーバーキル? むしろオーバーキルされてたぞ…………って!! あいつ等の存在完全に忘れてた!!」


俺は身体を跳ねさせる俺に騎士は疑問の目を向けた。


「そういえばもう一人嬢ちゃんはどうしたんだ?」


「あぁ、その事なんだけど。 セレスも、その子もスライムに殺されちゃいました、はは、」


冷や汗を垂らしながら後頭部を掻いて言うと、その途端にバンッと凄い音を立てながら騎士団の中央扉が開かれる。


「勝手に人を殺すんじゃないわよ!!」


「裕也、生きていたんですね」


そこには、眉間に深いシワを寄せたケルベロスと、安心した様に胸を撫で下ろすセレスがいた。


あ………やば。


「裕也ぁぁぁ!!! アンタ絶対許さないからね!! 一回死んでから詫びろ!!!」


「ま、待て犬!! 話せば分かる!!」


「問答無用ッッ!!!!!」


ケルベロスが振り下ろしたナイフが俺のすぐ横の壁を切り裂く。


やばいやばいやばい!! マジでこいつやる気だ!!


攻撃を外したケルベロスは舌打ちをして再びナイフを構える。 すると騎士か間に割って入り、


「おいおい、その辺にしとけって。 これ以上やる気なら壁の補修費払わせるぞ」


「うぐっ!! …………分かった、やめるわよ」


すかさずフォローを入れてくれる騎士に俺は深く感謝する。

いやぁー、人を見た目で判断しちゃダメだな。 これからは何事にも信じる事から始めよう。


「まぁ、止めても払わすけどな」


やっぱり人は疑う事から始めなきゃダメだな………うん。


「結局スライムは討伐できたんですか?」


「あぁ、どっかの誰かさんが期待外れだったから苦労したけどな」


「失礼な!! 私だってちゃんと頑張ったんですよ!!」


「そういうのは結果を残してから言え。お前がした事なんて剣抜いて血反吐を吐いて吹き飛ばされてただけじゃん」


「は、反論できない………」


「そりゃそうだろ、だって事実だもん」


貧血なのか足元がおぼつかない様子のセレスは、壁に手をついてショックを受けた様な顔をする。


その様子を見た騎士が心底不思議そうに首を傾げた。


「白竜を倒す程の腕前を持った貴方がなんでスライム程度に苦戦するんだ?」


そういえばさっきもこの騎士はそんな様な事を言っていたな。


恐らく騎士の口ぶりからするに白竜というモンスターは相当に強いのだろう。 そん奴を一体どうやって剣を抜くだけで血を吐く様な奴が倒す事ができるんだ?


考え込んでいると、セレスがやれやれといった様子で肩をすくめる。


「白竜の時はロングアックスを使っていたからですよ。 あれなら剣じゃないので私の体質とか関係ありませんし」


「それならなんで剣を使ってんだよ!! 斧使え斧!!」


「嫌ですよ、だってアレだとクールさに欠けるじゃないですか。 私は剣、それも刀が好きなんです。 あんな木こり道具を使う気はもうありません」


プイッと頬を膨らましながら顔を横に振るセレスに沸々と怒りがこみ上げてくる。


一瞬でもこいつをクール系お姉さんと断定した俺が馬鹿だった。 もしタイムマシーンがあるならその時に戻ってそう思った自分をぶん殴りたい気分だぜ。


騎士は俺たちの会話を聞いて、深いため息をついた。


「そりゃ宝の持ち腐れだな。 そんな事をやっているから店が儲からないんじゃないか?」


「うるさいですね!! なんでもいいから早く大浴場の入場券を渡してください」


「あいよ」


セレスは大浴場の入場券を受け取ると、物凄く嬉しそうに頬ずりを始める。


それを見たケルベロスがジト目を作り、


「なんというか……変な子ね」


「お前が言うなお前が」


言いながら呆れる俺の前で騎士はふと何かに気が付く様な仕草をした。


「そういえばお前らって金が無いから食い逃げをしたんだよな。そさ見た感じお前らって放浪者か何かだろ? 一文無しじゃキツいんじゃないか?」


放浪者に見えるというのは心外だが、どうにも都合の良い解釈をしてくれているので誤解を解くのは止めておこう。


俺が日本から来た事は言わない方があのナルシス神さま的にもありがたいだろうしな。


「あぁそうなんだよ。 今日泊まる所も、稼ぎ口もないんだ。 どうにかならないか?」


「どうにかって言われてもそればかりはどうにもならんよ」


「ですよねー」


やはり世間はそれほど甘くない様だ。

肩を落としているとセレスが俺の服を摘んでグイグイ引っ張る。


「どうした?」


「提案なのですが、行き先が無いんだったら私のお店で働きますか? お客が来ない以上収入はゼロですけど。 宿代わりにはなりますよ?」


「えぇ!? それって本当なの!? 」


「はい、あまり綺麗なお店ではないですけど」


俺とセレスの間に目を輝かせながら割り込んでくるケルベロス。


最悪野宿を考えていた俺からしたら、それは願ったり叶ったりだった。 そして、ケルベロスも同じ考えの様で、セレスの肯定を聞いて嬉しそうにこちらにを振り向く。


「ねぇ聞いた!? 丁度良いじゃない、行きましょうよ!!」


「まぁ、断る理由もないしな。 それじゃセレス、そこはお世話になるわ」


「任せてください!! それじゃあ方向性も決まった事ですしお風呂に行きましょうか」


「だから俺達金持ってないんだって」


ジト目を送るとセレスはふふんと得意げに先程騎士から貰った大浴場の入場券三枚を掲げる。


「それなら無料で行けますよ、安心してください!!」


「だって………いいのか? 今回のお前の報酬なんだろ?」


「私一人では達成できませんでしたしね。 っていうか私何もしてませんし。 こういう時は分け合いましょう」


「セレス……貴方なんていい子なの!!」


「いやぁ、そんな事はないですよ」


セレスに抱きつくケルベロスは嬉々とした様子で歩き出す。


なんか変な奴同士で同調し合ってないか?


俺はこれまた深いため息を吐くと、ブテ○ロックを取り出す。


結局俺がこれを選んだのは正解だった訳だが、やはり異世界に来たのは失敗だったな。


しかし、そんな中でも事態はトントン拍子に進んでいき、なんとか落ち着いた。 元の世界では特にメリハリのない生活を送ってきた俺だが、ここに来てこれ程の波乱万丈をたったの一日で経験するとは思いもみなかった。


正直に言って辛い事も多そうだが、それでも俺は始めてみようじゃないか………


「ほら、何やってんのよ裕也。 早く行くわよ」


「………………あぁ、行くよ」



この、いまどき流行りの異世界生活を。


























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