〜番外編〜 いまどき流行りの幻想魔法(下)
「ーーーーー脈ーーー復活しま………続け」
「さくーーーーでーーか?ーーー」
朧げな意識の中でやたらと周りで人が叫んでいる。
なんださっきから、睡眠妨害にも程があるぞ。
そんな事を思いながらボーッとしていると、やがて朧げな視界が晴れ、完全に声が聞き取れるようになる。
「脈が安定してきました、何とか峠を越えましたよ!」
「良かった、一時はどうなる事かと思った」
気づけば白衣を着た人が俺の周りを囲んでいた。
………ん、待てよ?
白衣だと?
体を動かそうとするが動かない。
視界だけで辺りを見渡すと、ここはどこからどう見ても手術室といった感じだ。
いやまて、おかしい。
この世界に近未来的な手術室がある筈が………
動揺していると、目の前にいる人達が焦ったように他の人の肩をたたく。
「先生、患者さんの麻酔が切れ始めたようです、すぐに追加を!」
その声と共に再び段々と意識が薄れていき、やがて目の前が真っ暗になった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次に俺が目を覚ましたのは驚く事に完全なまでに病室のベッドの上だった。
気だるい体を起こして一旦状況をまとめる為に黙考を始める。
うーん、ちょい待て。
これは一体どういう事だ。
まず落ち着け、さぁ落ち着け、すぐに落ち着くんだ。
まず深呼吸だ、ヒーヒーフー…………ってこれ妊婦が出産する時の掛け声だな。
全然落ち着いてないぞ俺。
とにかく、俺はさっきまでケルベロスとベルセルクやキリエと一緒に洞窟に居たよな?
なのに何故?
最後に俺がした事は…………幻想魔法の書を開いてたなそう言えば。
つまりあれか、本を開けば魔法が発動するタイプのヤツだった訳だ。
とすると、幻想魔法の効果は過去に戻れる………………って事はッ⁉︎
俺は物凄い勢いでぐるりと辺りを見渡した。
そしてここが日本である事を確認した後に拳を強く握った。
帰ってきたんだ…………元の世界にッ!
ひゃっほー!
マジかよ、生き返っちまった訳だよこれ!
って事は俺はこれまでと同じ平凡な日常生活を送れるって事だよな⁉︎
感動に浸っていると唐突に病室の扉が開き、医者が入って来る。
「佐久間裕也さん、調子はどうですか? 記憶はないでしょうけどアナタは川に落っこちて首を骨折した結果になんとか病院で事なき終えました」
「は、はぁ。 それはその、どうもありがとうございます」
「家族が面会に来ていますよ、お会いになられますか?」
医者の問いに是が非で顔を縦に振った。
そりゃそうだろ、会いたいに決まってる。
それから家族との感動の再会を果たした俺は、夜になり一人病室で複雑な思いを胸に窓の外を眺めていた。
久し振りにあった家族は本当に懐かしく、安堵のあまり涙がちょちょぎれるレベルだった…………なのに何だろう、この感じ。
こう、釈然としないような、腑に落ちない様な感じだ。
俺は異世界から現実世界に帰ってきたというのに、仲間達やキリエがあれからどうなったのか気になって仕方がない。
こう考えると、俺は文句を言いながらもきっとあの世界で暮らす事を受け入れてたんだなぁ、と思う。
しかし、あれはもう無かった事だ。
今俺はそもそも異世界に転移などしておらず、ドブ川に落っこちているお金を取る為に首の骨を折り、病院でなんとか一命を取り留めた佐久間裕也だ。
そう思うと、不思議と瞳から熱いものが溢れた。
「泣くとか…………俺はあの世界を……アイツ等をどんだけ気に入ってたんだよ」
自嘲気味に笑う。
さて、感傷に浸るのもこの辺にして今は喜ぼうじゃないか。
この世界に戻れた事を。
よし、退院も一週間程でできるらしいしな。
入院が終わったら俺は何事も無かった様に学校に通い、清き青春を……………ってあれ、ちょっと待てよ?
俺は現状に少しの違和感を感じた。
「なんで俺は今…………此処にいるんだ?」
決して俺がこの言葉を口にしたのは頭がイカれたとか気が触れたのが理由ではない。
おかしい…………
もし、幻想魔法の効果が過去への移動だったとするなら、何故俺は手術中に目を覚ました?
普通こういった場合は川に落ちる直前に移動するのでは?
そもそも此処で俺が何もせずに助かったら過去への移動云々ではなく運命とかそういうのが帰られていないか?
そんな疑問を抱いた次の瞬間、隣の患者さんとの間にあるカーテンがシャーッと音を立てながらゆっくりと開かれた。
恐る恐るその方向を見ると……
「ぎ、ぎぎきき、気づいちゃっだ?」
目が真っ赤かな老人が首をプランプランさせながらカーテンを開けていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺はまるでビックリした猫の様に飛び上がり、腕についていた点滴をブチ取って病室から猛ダッシュした。
その際に荒く点滴を外したはずなのだが、何故か痛みを感じなかった。
…………って分析してる場合じゃねぇ!
なんだこれなんだこれ!
完全にホラーじゃねぇか!
俺の心にトラウマ植えつけちゃってまぁどうするんですか⁉︎
これからおじいちゃん見るたびに失禁するレベルですよこれは‼︎
まずなんでこんな事態に……………⁉︎
そんな事を考えながら走っていると、これまたお首がプランとしたナースが目の前に現れるや否や、物凄いスピードでこちらに駆けて来る。
「ひぃぃぃぃッ⁉︎ ムリムリムリ、マジで俺心臓弱いんだって、ホラーゲームさえまともにできない俺にこんな経験させるとか此処は地獄かよぉ!」
やがて疲れも蓄積し、俺のスピードが落ちてきた所で胸部に電撃の様な物凄い痛みが走る。
恐る恐る自らの胸のあたりを見ると、そこはナイフで切られた様になっていて、一目見て「あぁ、助からないな」と悟る程の出血量だった。
「ごぶふぁっ!」
言葉の通り血反吐を吐く。
虫の息で後ろを向くと、先程まで俺を追っかけていたナースが戸惑った様子で後ろに立っていた。
………なんで?
前には誰もいなかったはず…………じゃあ俺は一体誰に…………
そんな思考もだんだんと薄れていき、ついに俺は意識を失った。
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目を覚ます。
その途端に感じる湿った空気の中で俺は飛び起きた。
「あ、本当に生き返るですね。 そのナイフは一体どんな原理でできているんでしょうか」
そんな声が聞こえてくる。
間違いない、キリエの声だ。
その他にもベルセルクやケルベロスの姿もある。
何故か俺の身体が血塗れだったが、そんな事今は関係ない。
俺はあの醜悪な夢から覚めたのだ。
「裕也……心配したぞ、てっきり私はもうダメかと………」
「アンタ感謝しなさいよ? 私のお陰で何事もなく此処に帰ってこれたんだから。 あの幻想魔法の書とかいうやつ、あれ信用ならないわね。 やっぱりあれはただの術者の理想から幻想を作り出して、挙句には術者まで死に至らしめる危険な魔法だったようね。 いつまで経っても起きないから私のブラックナイフでアンタを切り裂いてやったわ!」
「う、」
「「う?」」
「うわぁぁぁぁん! 怖かった、怖かったよ! マジで死ぬかと思ったよー!」
得意げに胸を張るケルベロスに俺は泣きながら抱きついた。
ケルベロスは最初は驚いた様に俺を見ていたがやがて、やれやれと言いたげに小さな息をついて俺の頭を撫でてくれる。
うん、もう身の程なんて構ってられない。
本当に怖かった。
さすがに今回ばかりはケルベロスと普段は使えないブラックナイフに感謝だ。
「裕也がこれ程まで怯えるなんて………幻想魔法は恐ろしいものなのだな。 私が開いてなくてよかった」
「本当だよ! この俺がこんなんになるレベルで恐ろしかったよその本! 誰だよそれが過去に移動できる物だとか言った奴!」
「私ですね………すいません、まさか本を開いたら発動する魔法だったなんて……本当にすいませんでした!」
必死に頭を何度も下げるキリエ。
まぁ、彼女とて悪意はなかったのだろう。
しかし、本当に怖かったし悪趣味だった。
いつかこの魔法を作り出した奴をとっ捕まえてブチのめすと心に誓う程に。
ギリギリと歯を食いしばっていると、ケルベロスが何かを思いついた様に手を叩く。
コイツのこれは何かを企んでいる時の目だ。
「そういえば裕也、私アンタの大切にしてたお肉を食べちゃったんだけど……ごめんね」
「別に気にしなくていい。 今の俺はそのぐらいで怒ったりはしないから」
「そう? じゃあじゃあギルドの借金返済の為にギャンブルしたら余計に借金増えちゃった!」
ケルベロスが放った一言に俺とベルセルクが石の様に固まった。
キリエはといえば「ふえ?」などという声をあげながら俺達三人に視線を巡らせる。
…………は?
今こいつなんつった?
「悪い、俺の耳が悪いのかもしれない、もう一度頼む」
「へ? だからギャンブルをして借金が倍に……」
「「倍だとッ⁉︎」」
綺麗に俺とベルセルクがハモった。
そして、キリエとケルベロスは俺達二人のあまりの剣幕に肩をビクッと跳ねさせた。
倍って事は…………百万ペールッ⁉︎
おいおい待て待て、本当ふざけんなよこいつ!
「ありゃ、そんなにまずかった?」
「当たり前だろこの駄犬がッ! なに、お前それずっと隠してたの? お前がギャンブルで五十万スった事も知らずに俺は一万三千ペール稼ぐ為にこんな依頼をうけてたってのか⁉︎」
「うっ、………ま、まぁまた一から頑張ればいいんじゃないかしら!」
「一からじゃねぇんだよ、むしろマイナスだよ! 当初より借金増えちまってるじゃねえかよ! どうすんだお前、これ聞いたらセレスもブチ切れるぞ⁉︎」
「うぅ………その………ごめんね?」
ケルベロスは苦い顔を作った後に、まるでこちらの様子を伺う様な仕草でぶりっ子をしながら謝った。
…………………コイツ!
俺の横でベルセルクが睨みを利かせながら指をバキバキと鳴らす。
「なぁ裕也、流石にケルベロスにはお仕置きが必要だと思うんだが、どうだろうか?」
「お仕置き? そんな生温いもんじゃ済まさねぇ、この世の恐怖を味あわせてやるよ」
「ちょ、ちょっと⁉︎ 二人共なんでその幻想魔法の書を私に見せようとしてるの⁉︎ やめてぇ! 流石にそれは冗談じゃ済まされないから、ねぇ!」
「二人共、なにがあったのかは知りませんがそれはやり過ぎなんじゃ………」
オドオドと止めに入るキリエを無視して幻想魔法の書をケルベロスに強制的に見させる。
そして、洞窟の中にはケルベロスの甲高い叫び声が木霊するのであった。
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それからなんとか店に帰って来た俺達は兎にも角にもすぐさま暖炉に火を点ける。
ついでに、依頼金を安全な場所で受け取る為にキリエにも店には来てもらっている。
ケルベロスはというと、何故か幻想魔法を自力で解いた後にだらしなくよだれを垂らしながら気絶したので、ここまで運ぶのに苦労した。
「今回は二人共本当にありがとうございました。 気絶しているケルベロスさんにはまた日を改めてお礼をします。 幻想魔法の書は私が求めているものとは違いましたが………それでも失敗は次の成功の為にあると前向きに考えます!」
そう言って控えめに胸の前で手を握りながら微笑むキリエは何処か落ち込んでいる様にも見える。
そんな彼女を見て俺は頭に浮かんだ疑問をそのまま投げかける。
「そういえばキリエ、お前ってなんで過去に戻りたいだ?」
「それは私も疑問に思っていたが……どうなんだ?」
「えと………それは………」
キリエは戸惑いながら質問から逃げようとするが、俺とベルセルクの諦める気のない好奇の視線によりやがて、抵抗が無駄だと悟ったのかポツポツと語り始める。
「私は昔魔王討伐を目的とした冒険者パーティーに入っていました。 自画自賛ではないのですが、私達のパーティーは物凄く強くて、それでやっとの事魔王の元まで辿り着いたんです。 その時には四人いたパーティーメンバーも散り散りになり、私ともう一人の子だけが魔王と戦うことになりました。 私とその子二人だけでも魔王相手に渡り合える程でしたが、慢心していた私がしくじってしまったんです」
キリエは昔を思い出して悲しそうに俯いた。
まず彼女が魔王討伐に行くほど強かったことに驚いた。
その次に何故それほど強いのにアンチゴーレムとやらに立ち向かわなかったのかと怒りが湧いたが、話の腰を折るのもアレだ。
今は聞き手に回ろう。
「それで、私を庇ったその子が魔王から呪いを受けてしまって、そして一人になって隙ができた私にも同じ呪いを…………結果的に魔王は逃げました。 そして私達二人は力を失い、パーティーメンバーの中でも最も強かったその子はそれが原因で姿を消してしまったのです。 だから私は過去に戻って今度はあの子を私が助けたい、こんな事にならない様にしたい。 今も浮かぶんです………優しいけど意地っ張りだったあの子の顔が」
そう言って自嘲気味にキリエは笑った。
そうか………そんな事が。
しかしこの世界にもやはり魔王というのは居るんだな…………
そんな事を考えていると横から鼻を啜る音が聞こえてくる。
視線をおくると、そこにはキリエの話を聞いて大泣きするベルセルクの姿。
「うぅ、えぐっ………悲しい話だな。ついでに力を失う呪いって、ひぐっ、詳細にはどんな呪いなんだ?」
「私はウィザードだったんですが、魔力のストックが極端に少なくなりました。 もう一人の子の場合は剣を主に使っていたので、剣を鞘から抜刀すると吐血する呪いに………」
「そうか………えぐっ、それは災難だったな………私にできる事があったらいつでも言ってくれ、力になろう」
「いや、そんな、流石に申し訳ないですよ」
……………ん?
ちょっとまてよ?
引っかかるぞ。
何かがどころか大まかに「剣を鞘から抜くと吐血する」のワードが引っかかる。
そりゃそうだ、そんな奴はこの世界の何処を探してもアイツしか………
明らさま過ぎる答えが浮かんだ瞬間に、唐突に店のドアが開いた。
「ただいま帰りました、いやぁ物凄い雪ですね。 …………あれ、なんでそんな所でベロスが気絶しているんですか…………って、キリエ⁉︎ 何故こんなところに⁉︎」
「セレスさん⁉︎ 生きていたんですか⁉︎」
「ほえ? 一体なにがどうなっているんだ⁉︎」
驚愕の顔をする二人に加えて事態が分からずに戸惑う一人。
……だよなぁ、正直こんな事だろうと思ってたよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「いやぁ、あの時ショックは受けましたが姿を消した理由はただ鍛冶屋に並んでいるブラックソードに一目惚れしてしまい、購入費を稼ぐ為に出稼ぎに行ったんですよ……ははは」
「それならそうと何故言ってくれなかったんですか⁉︎ 私凄く心配したんですよ⁉︎」
「うぅ、面目がないです……」
「でも無事で良かった………本当に良かったです」
「…………で、何故さっきから裕也は私の事をジト目で見ているんですか? 理由によってはあそこの火の点いている暖炉にぶち込みますよ?」
俺はそう言われてもセレスにジト目を向けたまま、淡々と答える。
「いや、お前が魔王討伐のパーティーの中で一番強かったとか…………ねぇ? 頭がおかしい程刀が好きで抜刀すれば血を吐くお前が…………うん、本当に想像できないな」
「よし分かりました、準備は出来ていますか? 今裕也が座っている椅子ごと暖炉にぶち込みますよ」
「ははは、おいこらやめるんだ」
ぐいぐいと引っ張ってくるセレスを片手で抑える。
そんな茶番を繰り広げていると、ベルセルクが疲れ切ったため息を吐いた。
「では完全に今回は無駄足だった訳だな。 まったく、本当に今日は疲れた」
「ったく、ベルセルクの言う通りだよ。 元はと言えばセレス、お前のせいでこうなったんだからな。まずお前が用があるとか言って出掛けてなければそのままキリエとの再会を果たしていただろうに」
「わ、私のせいだと言うんですか⁉︎」
「そうよ、私セレスの所為だけにするのはよくないと思うの。 こういう時は誰かの所為にするんじゃなくてまずは自分にも責任があると考える事から始めなきゃいけないと思うわ」
先程まで気絶していたケルベロスがセレスを庇うように口出ししてくる。
その間にベルセルクは欠伸をしながら「今日はもう疲れたから寝る」と言って二階に上がっていった。
どんだけマイペースなんだよ、アイツ。
ともあれ、セレスはケルベロスの助け舟にここぞとばかりに目を輝かせて乗り込んだ。
「おぉ、ベロスもいい事言いますね! そうですよ裕也、まず依頼を受けた裕也にも責任があるんです。 なのに人に擦りつける事ばかりに執着して………恥ずかしくないんですか!」
「そうよそうよ! 裕也アンタ恥ずかしくないの⁉︎」
こんのクソアマッ!
まってろ、今すぐ痛い目見せてやる。
「おいセレス、お前の横に居る犬はこの前ギャンブルでギルドから五十万ペールの借金をしたらしいぞ。 俺達の名前で」
「ちょ、裕也何をッ⁉︎ ひっ⁉︎ せ、セレス? 可愛らしい顔が般若のようになってるわよ、っていだだだだ‼︎ 頭を掴むのをやめてで下さい!」
「ついでにさっきケルベロスがお前の味方したのは後に自分の言い訳に使う言葉を見つけたからだぞ」
「ほう?」
「ひっ⁉︎」
セレスはケルベロスの頭を掴む手の力をより一層強くして睨みを効かせる。
セレスは何よりもギルドが嫌いだ。
せっかくそんな嫌いなギルドの犬になってクエストをこなして返してきた借金を倍にされたら誰だって怒るだろう。
彼女は現在端から見ている俺が身震いするほど恐ろしい覇気を纏っている。
ケルベロスはそんなセレスを前に半泣きで、
「さ、さっき言ったわよね? まずは誰かの所為にするんじゃなくて自分にも責任があると考える所から始めなきゃいけないって。 …………ねぇ、怖いから本当に無言はやめて、ね? ちょっと裕也さん、そこで見てないで助けてよ、本当に殺されそうな勢いなんですけど⁉︎ さっき洞窟で助けてあげたじゃない!」
「いいかケルベロス。 恩っていうのは仇で返すもんなんだよ」
「こんのザコ最低男! あんた覚えてなさいよ………ひっ⁉︎ た、たすけてぇぇぇぇ!」
疲れの所為か、寝息を立てるキリエの横でセレスからの拷問を受けるケルベロスの叫び声がまたまた響き渡った。
こうして俺の元に再び舞い降りた厄介ごとは解消したのだが………倍に膨れた借金だけがむなしく取り残された。
えげつない積雪量の中でお金が稼げない現在……………本当にどうやって生きて行こうか。
そんな不安に胸を締め付けられながら今日も今日とて一日を終えるのだった。
皆さんどうも辰太郎です
これにていまどき流行りのシリーズは終わりです。
まず、ブックマークに入れてくれた方々、ありがとうございます。
そして、感想や要望などがあったらいつでもお願いします。
「魔王が存在しない日々に人々は刺激を求めている!」の方も良かったら見て行って下さい。
それではまたどこかでお会いしましょう!