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〜最終話〜 いまどき流行りの冒険者

どうもみなさん、辰太郎です!!

今回の方更新遅れてすいませんでした!!


今回は最終話なのですが、pvの伸び具合、続いてほしいなどのご希望がありましたら再び連載しようと思っています!!



それでは、最終話、楽しんでください!!



「さて、私を散々傷めつけてくれちゃった借りはどう返そうかしら?」


「ベロスはまだいいですよ、私なんて初撃でやられましたからね、ははは。 この吸血鬼……許しません、吊るします」


「ひぃッ!?!?」


この洞窟には青筋を浮き立たせ、指の関節をバキバキと鳴らす女二人と、ロープでグルグル巻きにされながら怯える吸血鬼が一人いた。


俺はというと、そんな光景を呆れ交じりに眺めている。


「あんまり痛みつけるのも可哀想だろ、楽に逝かせてやろうぜ」


「甘い、甘いのよ裕也は!! そんな事だから川に落っこちたお金を拾う為に死んだりなんかするのよ!!」


「それ関係ないよね!? チョイチョイ俺の傷を抉るのやめてくれないかな、ポンコツ門番さん」


「ポンコツですって!? 私のどこにポンとコツがあるのよ!?」


「いや待て、その言葉は分離するもんじゃないぞ?」


「……死んだ? 門番? お二人は一体なんの事を話しているんですか?」


「いや、気にするな」


一応、セレスには俺とケルベロスの事は黙っておいた方がいいだろう。 往々にして異世界転移系は、転移してきた世界で元の世界の話をするとロクな事にならない。


俺はその辺では空気の読めるムードメーカーボーイなのだ。


「とにかく、むやみやたらに痛めつけるのは禁止だ。 お前らの鬱憤は地面にでもぶつけておけ」


「「えーーー?」」


納得のいかない様子の二人をなだめていると、ロープで縛られたベルセルクがキッと鋭い視線を向けた。


「わ、私は貴様ら人間に同情される覚えはないぞ!! 痛めつけたければ痛めつければいい、殺したければさっさと殺せ!!」


「そう言われてもな……」


やはり吸血鬼とはいえそんなに悪い奴じゃなさそうだし、なにより人形をしているとなると手を下しにくくもなるものだ。


悩んでいるとケルベロスが俺の肩を叩く。


「ねぇ、この吸血鬼格好付けてテンプレな事言ってるけどやっぱり手が震えてない?」


「ふ、震えてない!! 人間を恐れるぐらいだったら死んだ方がマシだ!!」


「………へぇ、じゃあ行くわよ」


半眼を作ったケルベロスが俺の鞘から錆びた剣を引き抜くと、ベルセルクに振り下ろした。


「えい」


「ひぃッ!?!?」


「うりゃ」


「ひぃぃッ!?!?!?」


ベルセルクに当たる寸前の所で剣を止めるケルベロスは、ニヤニヤしながら何度もそれを続ける。


ベルセルクはその度恐怖に顔を歪めて目を瞑った。


「ねぇ、これめちゃめちゃ面白いわよ!! セレスもやってみ……へぶぅ!!」


「やめんかい。 怯えちゃってるじゃねぇか」


およそ気分が高揚しているケルベロスのに顔面にチョップを食らわせると、興味津々に見ていたセレスが視線を泳がせた。


ったく、このアホ共は。


「なぁベルセルク、一つ聞きたいんだが、お前って人を襲ったりするような悪い奴なのか? どうも俺にはそう思えないんだが」


「それは………」


「正直に答えてくれ」


ベルセルクは俺の問いにコクリと頷いた。


「人間の中で私達吸血鬼がどう知られてるかは知らないが、私達は自ら人間に害をなす事は無い。 さっきだってあの白髪の女の子が突然襲ってきたからやり返しただけだ」


「え、でもみんな吸血鬼を怖がってるって聞いたんだけど」


「それはイメージじゃないか? むしろ私からしたら報酬だなんだと言って突然襲いかかって来る人間達の方が余程危険だと思う」


「えっと………つまり、その、なんだ? お前からしたら大人しくこの洞窟で暮らしていたら突然白髪の女に襲われてこんな事になった訳だ」


「あぁ」


その返答を聞いた俺はセレスに視線を向ける。 すると彼女は少し気まずそうに頬を掻く。


「だとよ白髪の女」


「いやぁー、これじゃ私達完全な悪者ですね。 困った困った」


「本当だよ、なんつーか完全に罪悪感で胸がいっぱいだよ俺!!」


「はぁ? 何言ってるのアンタ達、二百万よ二百万!! どうせこの子モンスターなんだしやっちゃえばいいじゃない!!」


「「うわぁ」」


俺とセレスはケルベロスの言葉に二人してドン引きする。


いや、もう本当に最低だよこの子。

もう少し思いやりの心とかそういうのを持ち合わせないとそのうち悪徳令嬢的な立場になって殺されるぞ。


すると、俺たち二人の視線にケルベロスが焦り始めた。


「ちょ、二人共!? じ、冗談だからそんなゴミを見るような目で私を見ないで!? ね?」


あわあわと必死に手を振ってアピールするケルベロスを見て「やはり残念だなぁコイツ」などと思っていると、ベルセルクが怯えながら口を開く。


「私と貴様達は敵同士で戦って私は負けた。それなら私の善悪は置いておいても生死を好きにする権利は貴様達にある筈だ、好きにしろ」


「やっぱり言ってる事はカッコいいけどそんなに手を震わせながら言われてもな」


「だ、だから震えてないと言っているだろ!!」


「この子もこう言ってる事だしいいじゃない。 お金は大切よ?」


「おい犬、確かにお金は大切だが、そんな事をして手に入れた汚い金は大切でもなんでもないんだよ」


「川に落ちた金を拾おうとして死んだバカが何を言ってるんだか」


ケルベロスが吐き捨てるように呟くが、聞かなかった事にしよう、うん。


ともあれ本当にどうしたものか、正直俺はベルセルクを殺したいとは思ってなどいない。

けれど此処まで時間を掛けておいて何も手に入らないってのもなぁ………


セレスと一緒に悩んでいると、彼女がふ、と何かを思いついた様に顔を上げた。


「それなら私達のお店で働いてもらうのはいかがでしょうか?」


「あぁ、それもアリだな。 全体的に見てベルセルクが入れば即戦力になりそうだし、使えないお前らよりは幾分かマシだ」


「……ん? 今とても失礼な事を言いませんでしたか?」


「言ってないです」



セレスに物凄い力で首を掴まれた俺は慌てて訂正する。


兎にも角にも、そうと決まればこれからは今回の様な討伐依頼が来たとしても柔軟に対応できるし、どうにでもできる。 これはこれで良かったのかもしれないな。


「ベルセルク、それでも大丈夫か?」


「あぁ、私は別に構わんが」


キョトンとしながら首を縦に振るベルセルクは、安堵した様に深い息を吐いた。


やっぱり怖かったんだな、コイツ。


こうして、俺達は吸血鬼討伐クエストを破棄した。


何か忘れている気もするが………まぁ大丈夫だろう。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「全然大丈夫じゃなかったぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!!!!!」



それから四人でギルドに向かった俺は真っ先にそんな叫び声を上げた。


俺は驚く三人の視線を浴びながら小さい声で呟く。


「……………討伐達成できなかったら五十万ペール取られるの忘れてた」


「「あっ!!」」


セレスとケルベロスが思い出したようで声を上げると、一瞬石の様に固まった。


ややあって、


「どうすんのよ!? 今からでも遅くないわ、ベルセルクを殺るわよ!!」


「できるかそんなもん!! お前には良心の一欠片すらないのかよ!?」


「そんな粗末なもん犬にでも食わせたわよ!! …………って、犬私だった、テヘ!」


「今はベロスの下らないギャグを聞いている暇はありません!! どうするんですか裕也!?」


「…………ギャグって……下らないって………」



体育座りをしてブツブツ呟き始めるバカ犬は置いといて、マジでどうしよう!?


流石にケルベロスが言ってた事をする訳にはいかないし……


「わ、私の事なら気にしなくても大丈夫だぞ? 私が死んでこの問題が解決するならその方がいいだろう………うん」


少しだけ悲しそうにベルセルクが言った。


そう、男にはどうしても責任を取らなければならない場面がある。 この様な場面で逃げ出すなど男として言語道断だ。


俺は固い決意を胸にベルセルク肩を掴んだ。


「大丈夫だ、全て俺に任せろ」


「………いいのか?」


「おぉ、心なしか裕也がカッコよく見えてきました。 私病気なんですね、きっと」


「失礼だなお前っ!!」


盛大なツッコミをすると、俺はコホンと仕切り直し、三人を置いて無言でギルドの中に入った。


そして、多々ある手続きを済ませて外に出る。 するとそこには期待の目でこちらを見るセレスとベルセルク、それに体育座りで地面にのの字を書くケルベロスがいた。


俺はそれに対して満面の笑みを浮かべ、


「これから五十万ペールの借金を返すまでギルドで冒険者をしなきゃいけなくなりました」


「はぁぁぁぁぁぁああああ!?!?!?」


それに対して真っ先に反応したのは案の定セレスだった。 いや、なんというかこれまでにない程キレていますね、はい。


「なんでこの私がギルドなんかの犬にならなきゃいけないんですか!?!? 奴らの糧の為に働くんなら飛び降り自殺した方がマシです!!」


「じゃあ飛び降りてこい」


「あぁああ、そんな冷たい事を言わないで下さい!! 死にませんけど、死にませんけどギルドで働くのは絶対イヤです!! ベロスはどう思いますか!?」


「………え? 私? 別になんでもいいです、はい。私の様な下らない奴は黙ってた方が世のため人の為なので黙ります」


「うわぁ、面倒くさいですねこの人」


「それは俺も同感だ」


なんて言ったらいいんだろう、こう………面倒くさいな。 面倒くさいという言葉以外この犬の事を表現する言葉が見つからない程に面倒くさい。 どんだけ面倒くさいんだよ、コイツ。


「大丈夫なのか? なんならさっき私が言った様に…………」


「……………はぁ、あーあ、分かりましたよ。 今回は私も悪かった面もあるので、大人しくギルドの犬になりましょう」


申し訳なさそうに口を開くベルセルクに、さしものセレスも良心が咎めた様で、仕方なく受け入れた。


ともあれこれからはギルドで冒険者として働いていかなければならない。


それはきっとマンガや小説の様に淡々と事が進んでいく訳じゃないだろうし、辛く苦しい事なのだろう。

多分そうなる事は俺が初期装備にブテ○ロックを選んだ時点で決まってしまっていたのだ。


しかしそれでこそ異世界転移だ。

色々な苦難を超えて強くなり、ハッピーエンド。 はたして俺はそんな人生をこの世界で送れるのだろうか………いやないな、うん。


今から考えても苦難しかなさそうだ。

いい感じで纏めようとしても纏まらないレベルで現状が酷すぎる。


そんな絶望感に打つひしがれながら俺はため息まじりに呟いた。


「それじゃあ始めますか、いまどき流行りの異世界生活を………」


こうして俺達は冒険者を始めたのだった。















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