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山田と訓練所

「お前が、ヤマダタロウだな。話はギルドから聞いている。ついてこい」


 受付に行くと話はすでに通っていたらしく、建物の奥から教官らしき男が出てくる。男について建物の中を歩いて行くと、中庭が実技の訓練場所らしく色々な職種の人々が剣、弓、素手、様々な訓練を行っている。中には2足歩行の犬や猫も訓練している。あそこはサーカスかな? 部屋の方へ目をやると、中では座学が行われている。この山田に必要なのは戦士だ! 座学など男には不要である!! 


『特殊技能訓練所』 そう書かれた部屋へ入ると、中にはいつぞや見た二人の人物がいる。王都に来た初日に出会った侍モドキと、その後ろにいた女プロレスラーだ。


「とりあえず、自己紹介させてもらおうか」と女プロレスラーが言う。


「アタシは中野 恵、日本人だ。向こうでは女子プロの悪役レスラーをやってた。こっちじゃ聖女なんて訳がわかんねぇモンやらされてる」


「拙者はマイケル・ラインウェーバー、アメリカ人でござる。拙者は2流のアクターでござったが、こちらへ来て待望の忍者へとなれたでござる。こちらでは中野殿の護衛をしてるでござる」


 おいおい、何言ってるんだコイツ等? 悪役メイクして聖女とか、今時のAVでもやらんぞ。後、アメリカ人、お前の格好は侍だ。


「アンタも、あのハゲ神にこっちへ飛ばされたのかい?」


 神? 宗教の勧誘はご遠慮していただきたいのだが……


「いや、神など会ったこともないが?」


「ん? そうなのか? じゃあ、アタシ等とはまた違う状況なのかねぇ。ところでアンタのギルドカード、よかったら見せてもらってもいいかい?」


 特に不備もないので、カードを差し出すと、双方に「うわぁ……」という顔をされた。解せぬ。


「アンタも苦労してるねぇ……。どういう生き方すれば皆殺しなんてスキル付くんだろうね」人生自体、批判されてしまった。ちょっとピキッてきた。


 悔しいので2人のカードも見せてもらうことにする。





 名前:中野 恵


 人種:異世界人


 年齢:24


 職種:悪役レスラー


 固有技能:自動翻訳 反則攻撃ヒール





 名前:マイケル・ラインウェーバー


 人種:異世界人


 年齢:28


 職種:エキストラ


 固有技能:自動翻訳 侍役





「ああ、そうか。悪役ヒール治癒ヒールをかけてるんだな。クソつまんねぇな! 後、侍モドキ盛ってんじゃねえ! お前、2流にすらなってないぞ?」と、口と心の両方で発言しておく。


「上等だ、クソガキ!!」と、鎖で打たれる。……ああ、癒される。これが治癒ヒールか。


「まあまあ、落ち着くでござるよ」


 2人は国の点数稼ぎの仕事がある為、頻繁ではないが、ちょくちょくは自分達の知っている事を教えに来てくれるらしい。ここでは食事と寝る場所も提供してくれるみたいだから世話になることにする。


 今日わかったのは、向こうの世界でやってた仕事が職種に反映されるみたいだ。じゃあ、せめて狂戦士ではなく、ニートであってほしかったものである――













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