プロローグ
初投稿です。拙い文章ですが読んでやってください。
――どうやら俺は、死んだらしい。
おそらくあの時だ。信号待ちしてたところを誰かに後ろから押された。押したヤツが誰かなんてわからない。正直、俺は人様の恨みを買うような人生は送っていなかったはずだ。車の行き交う道路へと押し出された俺は、そのまま車に……
気が付いた時には、ここにいた。周りを見渡しても何も見えない真っ暗な空間。感覚でいえば、俺は今、座っている状態なのだろう。まあ、そんなことはどうでもいい。俺が何を言いたいかというと……
「そうか、ここが天国か……」
「お主、本当にワシの話を聞いておらんな!?」
さっきから俺に話しかけてるらしい、うっすらと薄汚く光ってるハゲの自称神様。何をそんなに怒っているのだろう? 年寄りなんだからカルシウム摂らなくては危険だと思うが。
「大体、何で自分が天国に行けると思っとるんじゃ。お主、生まれてきて碌な事しとらんぞ?」
「俺は一日一善を心掛けて生きてきたが?」
「お主の善行はありがた迷惑どころか、ただの地味な嫌がらせじゃ……このまま生き長らえていたとしても、悪人として、地獄行きじゃぞ?」
「我が生涯に一片の悔いなし」
「……もうよい」
今度は落ち込んだな。鬱かな?
「そんな事より先程のワシの話、理解しておるな?」
「ああ、まったく聞いてなかった」
「もうよい、お前はそういうヤツじゃ。初めから説明するぞ? お主の名前は山田太郎、年齢18歳、つい先程死んだ。理解しとるか?」
「おーけー」
「お主の様な奴が天国に行ける訳もない、じゃが現状で地獄に送るほど極悪人でもない。理解しとるか?」
「おーけー」
「こういう場合は生まれ変わって、もう一度、徳を積むのが一般的じゃ。じゃが、今は世界中で少子化が進んでおって、順番待ちで100年程じゃ。しかし、お主の様な魂を霊界に長い間待機させると、過去の経験上碌な事にならん。理解しとるか?」
「おーけー」
「じゃから、今回はお主を含めた面倒な魂、数名を異世界の神に丸投げする事にした。まぁ、向こうでは人口不足じゃから転生というより転移じゃ。肉体も生前のままじゃ」
「……」
「お主等の向かう世界じゃが、技術は地球より遅れておるが、魔術や魔物などが存在する世界じゃ」
「…………」
「そこで徳を積んでいけば、あるいは天国へと……」
「………………スヤァ」
「……もうよい、行け」
――さて、今まで転移させた者達、これから転移するであろう者にも、こちらの世界での経験を元に、向こうで生きていくには十分な能力と技能をつけてきた。向こうは命の危機が身近にある世界じゃ。こちらの技術を少しでも伝えてもらいたい、という思惑もある。しかし今の男、無職か……。まあ、あれほどの身勝手な男じゃ、適当に決めておいても問題ないじゃろ。
こうして俺は、異世界へと飛び立った――