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第8話

ヤバい……間に合わない


これは今の私の心の声だ



時刻7:30




もうとっくに螢は家を出て学校に向かっているはずだ

風邪がようやく治ったと思いきや寝坊しちゃうなんて……



自分自身を呪いそうです




時刻7:34




―――走れば追いつく


「いってきま……」


ドアを勢いよく開け……

固まった


てゆうか……なんで?!


「おう!おはよう」


「おはよう……」


私が寝坊しても待つことのなかった螢が……


「なんだよ?何か付いてる?」

と言って着ている服のあちらこちらを見て回る


「……なんで?」


いきなり私からの疑問の声に螢はキョトンとする


「なんでって…何が?」


本気でわかっていない様子の螢に落胆する


「いつもは私のことなんて待たないじゃない?この間だって……」


この間だって………

紫織の言葉を信じて私を置いて先に行ったくせに……まぁ私も紫織に騙されゆっくりしてたけど………


「あぁ〜そうだったなぁ」


シラッとした顔で言う螢にイラッとした

だがその苛立ちも次に発せられた言葉によって


「今日から先はずっと待つよ」

跡形もなく消え去った


だがすぐに新たな疑問が浮上する


「なんで急にそんな事言い出すの?」


もちろんそのこと自体は嬉しいよ?

だけど急すぎるでしょ?


「なんで…か?」


螢は私の大好きな笑顔で言葉を続ける


「俺がそうしたいからだ」


私は嬉しくて飛び跳ねたかったが自重しようとなんとか抑える

「遅刻するぞ!」


走り出した螢を追いかける

もう朝から嬉しい気持ちでいっぱいいっぱいだ


「待ってよ〜」










今日はニヤケないように頑張った

だけど……


――ずっと待つよ


――俺がそうしたいから



その言葉を思い出すだけで頬が緩みそうになる


「奈緒……」


「ん?あ、美帆♪なになに?」


なんで引きつった笑顔なの?

空いている前の席に座り今度は悪戯な笑みになる

なに?

恐いよ?


「螢と何かあったでしょう?」

ストレートな質問にとっても驚いた


「え?!何で分かったの?!」

「今日の奈緒を見たら分かるわよ」


うそ!?

気づかれないように頑張ったのに……


「気づかれないとでも思ったの?」


「うん」


私が正直に応えて美帆にも正直にも応えてもらおう


美帆はクックックと意味ありげな笑い方をする


「何で笑うの?」


ムカッとしたので少し怒り口調になっているのに美帆は未だに笑っている


「クックック…じゃ話すわね?朝からアンタ超が付くほど元気だったし、授業中はずっとニヤツいてたし」


ニヤツいてた?!

しかも…ずっと??

私の頑張りは何だったのよ!??


「それにね…いつもはそういうトコに螢がツッコムのに当の本人はニヤツいてる奈緒を見て微笑んでたの‥よ!」


『よ』を強調すると同時に人差し指で私の額を強く押す


でも私はただただ唖然としていた

螢が私を見て微笑んでいた?

なんで?


「少しは期待しても良いかもよ?」


最後に美帆は軽く私の頭を撫でて隼人のもとに行ってしまった

売店から戻ってきて椅子に座った螢と目があった


「ん?なんか用?」


いつもの態度にしか見えない螢に心で問い掛ける


ホントに期待しても良いの?

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