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第51話

最近出番少なくないか?By螢

愛に螢さんが試合していると聞いて来てみた体育館。

私は我が目を疑った。

実はまだ寝ているんじゃないのだろうかと真剣に夢落ちまで考えた。

だが抓る頬の痛みは現実のもので・・・・見ている光景もまた現実なのだ。

優が再びコートの中にいる。


「紫織、こっちにおいでよ。」


「・・・うん。」


お姉ちゃんに呼ばれ、移動する間も優を見ている。

螢さんではなく優を・・・だ。


「どうして優が試合に出てるの?」


お姉ちゃんは凍りついた。

私は呪文を言った覚えはありません。


「怪我人が出たらしくてね。臨時でだよ。」


姉の隣にいた和樹さんが代わりに答える。


「あんなに・・嫌がってたのに。」


優は前もそうだった。

小学生の時からしていたバスケットを中学ではしないと言い張っていた。

結局は中学2年生からまた始めていた。

そして高校生でも私が『しないの?』と聞いても『しない。』と言っていた。


「あ・・始まるよ。」


愛の言われてコートに視線を戻すと、螢さんがボールを保持していた。

でもそれも束の間で、ボールはすぐに優へと渡った。


「優・・・。」


私は知っている。

優は本当にバスケットが好きなんだって。

でも私は知らない。

何でいつも優はバスケットをしようとしなかったのか。


「あー!取られちゃった!」


ハッとなり見ると優がボールを奪われていた。

敵はそのまま得点を決めた。

再び螢さんはボールを保持したかと思いきや、素早く隼人さんに渡り、これまた優に渡った・・・・と思った。

だが優はキャッチミスをし、ボールはコートの外にでた。


「おしかったね。」


お姉ちゃんの言う通り今のは決定的だった。

それからと言うものの優はミスばかりをしていた。

徐々に私の中で苛々が貯蓄されていき・・・・・。


《ブー!!》


3クォーター終了のブザーと共に爆発した。

私は階段を駆け下り、体育館入り口に到着した。

1度深呼吸をしてから中に入る。

近くに転がっていたボールを拾い上げ、優に近寄る。


「───。」


「──。」


優と螢さん、そして隼人さんが何やら話しをしているけど・・・・関係ない。

持っているボールを

「この馬鹿ぁぁああ!」

叫び声と同時に本気で投げつけた。


「だぁぁあ!?」


ボールは見事に優の後頭部に直撃。

呆然とする先輩2人。

少しスッキリしたがまだ終わっていない。


「何しやがる!!」


優との久しぶりの会話だと私は少し嬉しく思ったが、言わせていただきます。


「さっきのプレーは何?!何に躊躇してるのか知らないけどね、今は試合中なのよ!!」


グッと言葉に詰まった表情になる優。


「君!コートから出なさい!!」


審判らしい人が来て私に注意をする。

仕方なく私は下がろうとしたが、優の顔を見て最後に一言。


「アンタはあんなに下手じゃないでしょ?」


再び注意され、私は2階に戻った。


「あんな紫織さんは初めて見たなぁ。」


冷やかし1号和樹さん。


「ねぇ?ビックリしたわ。」


続いて2号美帆さん。

冷やかしはやめてください。

今更になって恥ずかしくなってきた。


「始まったよ。」


・・・・。


「・・・・すごい。」


呟く愛。

何がスゴいかって?

螢さんと隼人さん・・・・それと優の3人がだよ。

さっきとは別人のような動きをする優は皆からの注目の的になっている。

ただやはりブランクあるようで少しミスするがそれでもスゴかった。


「最初からやれば良いのに・・・・。」


「ふふふ、そうだね。」


私の呟きにお姉ちゃんが相槌をうつ。

お姉ちゃんだって知っていた。

優がバスケットを好きだって。

コートを走り回る優の顔は輝いて見えたのは気のせいなのかな?


「ほら、前みたい声・・出してあげなさいよ。」


「うぅ・・・・恥ずかしい。」


「さっきのに比べたら100億倍マシだから・・・ね?」


た、確かに先程の行為に比べたらマシだけど・・・。


「腹くくる!」


バシッと姉に背中を叩かれて、私は覚悟を決めた。


「優ーー!頑張れぇ!」


叫びました。

はい、叫びましたとも。

小中学生の時は平気でしていたけど・・・・恥ずかしい。

私が顔を赤くしていると・・・優が私を一瞬だけ見て・・・。


「おう!!」


そう・・答えてくれた。



















試合は勝利した。

試合後に監督が『またバスケットやってみないか?』と言われたが、『考えさせてください。』と逃げの回答をした。

そして体育館を出た俺は階段から下りてきた紫織に話があると言って中庭のベンチへ連れてきた。


「話しって何?」


少し戸惑った表情の紫織。


「何に躊躇していたか教えてやろうか?」


紫織の顔がマヌケになった。


「バスケ・・・本気でしたらまた始めたくなっちまうから・・どうしようか悩んでた。」


「また・・やれば良いじゃない?」


そう言うと思いました。


「何で・・俺が中学でバスケしようとしなかったと思う?」


「え・・・・?」


困惑する紫織。

まぁ分かったら凄いがな。

たぶん紫織は覚えてないんだろうな・・・・。


「紫織と“約束”したからだ。俺はそれを守るためにバスケをしなかった。ま、お前が吹奏楽部に入ったから俺もバスケに戻ったがな。」


「・・・約束?」


ほら覚えてなかった。


「結局は破っちまったけどな。」


「ねぇ・・何て約束をしたの?」


正直言いたくはない。

自力で思い出してほしい。

でも無理・・・だよなぁ。


「教えてよ。」


ジッと俺の瞳を見てくる。


「一緒に居てやる・・・・。」


「え・・?」


確かに俺はそう・・約束したんだ。

最近は更新が遅くなって申し訳ありませんでした。ですが作者、頑張っていきますので【光】をこれからもよろしくお願いします。

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