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第49話

最近、優の様子がおかしい事は気づいていた。

昼食の時に顔は出さなくなってたし、口数だって減っていた。

でも・・・まさか、こんな事になっていたなんて知らなかった。


「以上が私の知っている火野優の情報だ。しかし、どっかで聞いた名だと思ったが君の弟だったのか。」


と納得している女子生徒。

肩書き、生徒会長。

通称、救世主。

本名、竹内早苗。


「話してくれてありがとう。だいたいの状況は分かった。」


分かったけど・・・・。


「今君にできることはないと思うが、君はどうする?」


そう・・・・俺には何もできない。

どうする?

俺はどうすればいい?


「・・・君はどうしたい?」


どうしたい?

俺は・・・・俺は・・・。


「優の助けになりたい。」


「兄らしい回答でご立派だが、彼からしたら良い迷惑だろうな。」


「迷惑?」


「たぶん彼は今こう思っているはずだ。兄貴なんか居なければ良かったのに・・・・てね。」


彼女の言葉は胸に突き刺さった。


「優はそんな奴じゃありません!」


怒鳴る紫織ちゃんを早苗は睨む。


「彼は優しい人だから、そんな事は思わない・・・・とでも言いたいのか?彼だって人間だ。そう言った感情も持っている。君だってそうだろ?今まで一度も姉が居なければ良かったのにと思ったことがないのか?」


彼女の言葉に身に覚えがあるのか紫織ちゃんは何も言えずにいる。


「君は聞いたんだろ?彼の想いを。そして火野螢、君も下田紫織の想いを知っただろ?そんな君達に何ができる?助けになりたい?一番無理な事だ。」


厳しい彼女の言葉。

だが全てが正しい。

でも・・・それでも俺は・・!


「それでも俺は優の助けになりたい。」


「何故だ?」


早苗の視線が厳しいものに変わった。

怯むわけにはいかない。


「俺が優の兄だからだ。理由なんてそんだけだ。」


「ふ・・ふははは!」


気が狂ったのか?

彼女の突然の笑いに皆が皆固まった。


「兄弟そろってバカだな。もちろん良い意味でだ。」


立ち上がった彼女を見上げる一同。


「ひとまず彼女の君への想いに対する返事をしたらどうだ?私はこれで失礼する。」


俺達を再び凍らせて彼女はファミレスを立ち去った。


さて・・・・・・どうしようか?


「私は・・・もう聞いたからわかっていると思いますが螢さんが異性として好きです。あの日から・・・・。」

















・・・・神よ・・。















「・・・どの日?」


答えない俺の代わりに処刑が確定しているアホが口を開いた。


「迷子になった私を助けてくれた時からです。」


「「は?」」


迷子の紫織ちゃんを助けた?

脳内メモリーにはそんなものは存在しない。


だが迷子で該当する記憶が1つだけ存在するが──

でも・・まさか・・・・。


「それって小学生で秋の時の話かな?」


「はい。」


予想は確信に変わった。


「螢・・。」


奈緒が何か言いたげに俺を見ている。

奈緒の言いたいことはわかる。


「見つけてくれて、安心して眠ってしまった私をおぶって家まで送ってくれた時から私は螢さんが好きになったんです。」


「あの・・・ね、紫織ちゃん。」「返事はまだ良いです。じゃ私は失礼します。」


「あ!ちょっと紫織!」


奈緒の制止する声を無視して紫織ちゃんは立ち去った。

そして取り残された俺達4人。


「・・・・帰らないか?」


親友隼人はそう提案した。

もちろん賛成だ。

だけど・・・ね?


「隼人・・・・処刑。」


右手スタンバイOK♪


「え?何で・・・い、いやがばら?!!」


語尾は日本語になっていなかった。

テーブルに倒れる親友。

後悔?ないない。


「美帆、それ取って。」


「ん?はいは〜い♪」


美帆は螢にある紙を手渡す。

その紙には機械で文字や数字が打ち込まれていた。

打ち込まれた文字を読むと・・・・ドリンクバー。

横に数字が4とある。


「美帆、いいよな?」


「お構いなく。」


果たしてコイツは本当に隼人の彼女なのか?と疑問を抱きながらも紙を隼人に握らせる。


「お先に失礼するぜ?親友。」


ポンと肩をたたいて俺達はファミレスを後にした。


途中で美帆と別れ、現在奈緒と2人で帰宅中。

会話なしで空気が重いと言うこの現状は何事ですかい?


「怒ってんの?」


「・・・・不機嫌なだけ。」


回答になってねぇし、何故に不機嫌?


「何で?」


「先越されたから・・・。」


理解不能・・・・。


「誰に何を?」


ピタリと歩みを止めたので、とりあえず俺も止まる。


「・・教えない。」


「は?」


「だから・・教えない!」


プンスカと怒りながら奈緒は前に進んでいく。

て言うか置いていくな!

横に並ぶも・・・・何か話題を出さないと!!

何か・・・何かないのか?!




・・・・。




あ・・あった!


「ど、土曜日に練習試合があるんだけど・・こないか?」


「・・・・来て・・ほしい?」


この空気で、冗談を言える程に俺の肝はすわっていない。


「うん。」


は・・恥ずかしい・・・・。

明日、隼人で晴らそう。


「じゃ行かない。」


真面目な顔で俺の目を見てくる。


「え・・・?」


人類初の生身で大気圏突入をしてやっても良いぞ?

それ程にショックだ。


「嘘♪行く。」


エヘヘと笑顔な奈緒。

ルンルンと軽い足取りで歩み出した。

結論・・・遊ばれた。


「こ・・この野郎!」


「野郎じゃないよ?女だもん。」


「じゃからしぃわ。」


とフザケている俺だが、今後どうするか不安でいっぱいだ。

優と紫織ちゃん。

この2人への対応は何をどうすればいい?

お袋に相談するか?

・・・ダメだ。

あの人は笑うだけ笑って、それで終わりにしてしまう。

バカップルは頼りにならない。

隼人は今頃どうしてるだろう?

──興味がない。


「2人の事なら私・・協力するから。だから、そんな怖い顔をして1人で悩まないで・・ね?」


「あ・・・おう。」


1番身近にいた。

頼りになる人。


「じゃ協力してもらえますかね?」


「してやりましょうかね?」


「まず・・どうすれば良いと考える?」


「簡単よ?あのね───。」




・・・・神よ・・・。







「ほ、本気かよ?!」


「本気だよ。だいたい螢だって、それが切っ掛けで優君がまた始めたら嬉しいでしょう?」


「それはそうだけど・・・・。」


「大丈夫だよ!巧くいくから!」


不安だ・・・・。

とてつもなく不安だ。

例えるならば総理大臣が猿になるくらいに不安だ。


「・・・・ひとまずこの作戦で決定。異論は?」


「多々ある。」


「却下♪」


なら聞くな・・・・。

遠くにいる拓也に助けを求めたいと考えながら歩き出した螢は電柱に頭突きをするファインプレーで奈緒に大笑いされ帰宅した。

非常にまずい状況です。スランプ・・・なんて言葉は使いたくはないのですが、それに等しい状況です。今後も更新が遅くなりますがお許し願います。 ── 月明かり──

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