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第47話

お久しぶりです。なんかもう・・・・激しくすいません!

「紫織と喧嘩でもしたの?」


堂々と前の席に座りジーッと俺の目を見てくる愛。

その席の人が横で困ってるだろうが・・・・。


「喧嘩なんてしてない。」


「なら何で避けてるの?」


コイツ・・・・性格が兄貴そっくりだ。

俺は黙って席を立ち、教室を後にした。

愛が何か叫んでいたが、耳を塞いでいたため聞こえなかった。

階段をダッシュで上がる。チャイムが鳴り響く中、俺は屋上の扉を開く。

久しぶりのサボリだ。


「・・・・へ?」


予想外の出来事にマヌケな声を出してしまった。


「・・・君は誰だ?」


扉を開くと先客がいた。

しかも美人。

艶のある長い黒髪。

キレイに整った顔。

襟の刺繍からして2年生。


「そのまま返します。」


謎の女子生徒はピクと眉を動かした。

この顔・・・・どっかで見た事がある。


「私の名前は竹内早苗(たけうちさなえ)だ。君の名は何だ?」

その名を脳内で検索し見つかった。

・・・・とんでもない人と会ってしまった。


「火野優。生徒会長が堂々とサボリですか?」


「どっかで聞いた事のある名前だな・・・。それと私はサボリではない。」


授業を抜け出し、屋上にいるという現実。

これをサボリと言わず、何というのだろう?


「授業がツマラナいので抜け出しただけだ。」


「それは・・・サボリです。」


「・・・・そうなのか?」


この人の常識とはいったい何なんでしょうか?

絶対に普通ではないのは確かだ。


「まぁいい。とりあえず座ったらどうだ?」


自分のすぐ隣をバシバシと叩く生徒会長さん。

そこに座れと言うことか?

そう思いながらも、指定された場所に座る。


「君は・・・!」


何かに気づい顔つきになる。


「校則違反だらけじゃないか!?」


今更・・・・?


「注意でもするつもりですか?」


生徒会長だもんな?

そりゃ注意するよ。


「私は生徒会長だ。」


うんうん。

知ってるから。


「風紀の事は生活委員に任せているから私には君を注意する義務はない。」


・・・・俺の中で変な人と確定。


「それに興味がない。」


なら何故この話題を出したんだ?


「それで君はここでいったい何をしているんだ?」


人生ゲームじゃあるまいし・・・・振り出しに戻るな!


「授業がツマラナいので抜け出してきました。」


「おぉ!私と一緒ではないか?」


嬉しそうに笑う顔がアイツと被った。

俺は急いで脳から消す。

忘れろ・・・。

そうすれば楽になるんだ。

傷つく事もないんだ。


「おい、どうしたんだ?」


「・・何でもないです。」


瞬時に笑顔を作る。


「嘘をつけ。そんな作り物の笑顔では私は誤魔化されないぞ?」


「・・・・。」


なぜバレたんだ?

今までバレなかったのに・・・。

兄貴にすらバレなかったのに初対面のこの人は何故分かったんだ?


「優!!」


後方から俺を呼ぶ声がした。

だが振り返る気など毛頭無い。

分かったから・・・・声の主が分かったから・・・・。


「優!先生がアンタを呼んでるわよ!」


スタタタ──と急ぎ足で俺に近づき、腕を掴む。

コイツには生徒会長が見えていないのだろうか?

そんな疑問を浮かべながら手を振り払う。


「俺は行かない。戻れ。」


冷たい言葉。

俺だって分かっている。

だからって止めるわけもない。

「なんで・・・?そんな」

「戻れ。」


俺は声を遮った。

今、彼女がどんな顔をしていようと関係ない。

彼女が俺の言葉で傷つこうが関係ない。

俺はもう別れの言葉を述べたのだから。


「私が何かしたの?ねぇ!?教えてよ!?」


黙って前を見つめる。


「頼むから・・・俺にもう近づくな。」


「何でそんな事を言うの!?」



「・・・・“さよなら”と言ったはずだ。」


そう言うと彼女は走って出て行った。


「ふむ、先程の笑顔はこれが原因だな?」


今まで黙りきっていた生徒会長は納得した表情になる。

てゆうか鋭すぎでは・・・?


「君は彼女から逃げたのだな?」


「逃げてなどいない。」


「いいや逃げた。」


「違う!逃げて何ていない!俺は!」


傷つきたくないだけ・・・・。


「君にとって彼女は特別な存在なのだろ?だったら逃げずに彼女を見るんだ。」


「・・・・俺はもう決心した。だからアイツとは前みたいに接することはない。」


腰を上げ、屋上から出ようとドアノブを回す。


「生きているなら傷つかない事なんて有り得ない。それだけは覚えておいて欲しい。では、またな?火野優。」



無言でドアを開き中に入った。

傷つかない・・・・それは有り得ない?

ホントに・・・?

早苗さんの言葉を理解しようと考えながら教室に入ると教師に怒鳴られた。










翌日の昼休み。

毎度なら兄貴達と合流し、紫織の手作り弁当を口に詰め込んでいる。

だが今俺の居る場所はグラウンドの端にある部室の屋根だ。

さらに言えばコンビニで購入しておいたパンを淡々と口に運んでいる。


《ピッピッピー!》


急に耳に入った笛の音に、食べていたパンが咽に詰まった。

急いで水を飲む。


「コラァ!屋根から降りないか!!」


もしかしなくても・・・・・俺?


そろ〜っと下を見ると誰の姿もなかった。


「早く降りないか!」


後ろ?!

いつの間に!?


「すいま・・・早苗さん?」


「君か。まさかこんなに早く、こんな場所で再会するとは思わなかったぞ?」


全くだ。


早苗さんの胸元には昨日はなかった笛がぶら下がっていた。


「因みに早苗さんは何してたんです?」


「生徒を注意し回っていた。食べ歩きしている生徒は停学。体育館裏で煙草を吸っていた教師は減給処分にしてやったぞ。」


食べ歩きだけで停学?!

しかも教師は減給?!


「いったい早苗さんは何者なんです?」


少々ビビっている俺。

だって・・・停学はいや!


「聞かない方が身のためだが・・・・どうする?」


「聞カナクテ結構デス。」


裏の有りそうなブラックな笑みを見た俺は即座に知ること拒否した。


「賢明な判断だ。話しを戻るが君は此処で何してるんだ?」


「何って・・・メシですけど?」

食べかけの焼そばパンを前に出す。


「こんな場所でか?変わった趣味だな。まぁとりあえず、停学になりたくなければ」


パン入りのコンビニ袋を持って飛び降りた。

だって怖い・・・。


「おもしろいヤツだな。」


後ろを取る趣味でも持ってるのか?

しかも気配消してるし・・・。


「そう言う早苗さんも変わってると思いますけど?」


部室前にあるベンチに座り、食事を再開する。


「私は普通だ。」


隣に座った早苗さんの手には可愛らしい弁当箱が・・・。

こんな行動をしてて、よく普通と言えるな・・・。


「いただきます。」


しかも食べ始めてる。

俺、この人の動きに付いてけないっす。


「美味い。」


感想を述べながら幸せそうな顔をする。

食べることが好きなんだと見た。


「ん?アレは誰だ?」


箸の動きを止め、前方を見据える。

俺はそれに続く。


不意に食事を再会し始めた俺を早苗さんは不思議な感じで見てきた。

その間にもさっき見た人は徐々に近づいてきている。

だが俺は知らんフリをしている。


「何か私に用かな?」


「違います。私は優に用があるんです。」


「ん?あぁ君は昨日の?どうぞ。」


俺との間にスペースを作る早苗さん。


「優・・・私何かした?」


残りのパンを飲み込み視線を合わせる。

ただ俺のは攻撃的な視線だけど。


「邪魔・・・・しないでくれる?」


離れた早苗さんの手を掴み、引っ張り抱き締める。


「今、彼女と仲良く食事中なんだけど?」


「え・・あの・・・。」


動揺する紫織。

だけど関係ない。


「邪魔だから早く消えてくんない?」


「っ?!」


紫織は慌てた様子で俺の視界から遠ざかっていき、今もう姿は見えない。

俺は早苗さんから急いで離れた。


「すいませんでした!」


もちろん謝る。

だって・・・・色々と怖いじゃん?


「ふむ、停学で良いか?」


えぇぇぇ?!


「それはちょっと・・・。」


「罪名はセクハラ。良いではないか?」


火野優 セクハラで停学処分。


・・・・・。


















一生の恥だ。



















「勘弁してください。」


たぶん俺・・・・笑えてないと思う。


「ははは。冗談だ。」


アンタのはマジで冗談にならねぇっつうの!


「にしても私を利用するとは・・・・。」


ニヤニヤする早苗さん。

俺は逃げる準備万全だ。


「罰としてパフェでも奢ってもらおうか?」


・・・・罰?

利用した罰がパフェですか?

ブラックな笑みには逆らえず、首を縦に動かす。


「よし。では放課後7時に正門前だ。よいな?」


授業が終わって3時間あるんですけど?

だが逆らえるわけもなく首を縦に動かした。

たぶん・・・・今日は厄日だと思う。

この話長くなりそうです・・・・。次回から螢の視点に戻ります。

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