第4話
「はい」
「どうも…」
奈緒から弁当を受けとる
これはいつも通り…なんだけどど
「「いただきます」」
なぜ屋上に2人っきりなわけ!?
「螢?食べないの?」
くっ!
この状況では聞けない
「食べるよ……」
卵焼きをパクリ
……うまい
「どう?美味しい?」
そんな目をキラキラさせなくても……
「うまいっす」
「よかった♪」
この際どうでもいいや
奈緒の機嫌も良くなったみたいだし
「螢…あのね…日曜日ヒマだよね?」
この姉妹の上目遣いは一発退場ものですよ
しかもヒマと決めつけちゃってますね
「ヒマ…じゃない」
「え?!なんで??」
そんなに驚かれても……
こっちも困る
「紫織ちゃんと映画観に行く約束が…って奈緒!?」
なんで?!
再び奈緒から怒のオーラが……さっきと違い全快です(泣)
「アイツウゥゥ!」
「あ?おい!奈緒さ―ん!」
屋上から走って出て行く奈緒を追いかける
てかメチャクチャ速いな……
距離が縮まらないんですけど……
そしてあっという間中庭に到着
そこには例の4人がいた
若干1名苦しんでるけど…
「紫織!アンタちょっときなさい!」
ここまでブチギレタ奈緒を見るの久しぶりだな
「わかった…」
紫織ちゃん冷静だね…
ん?
美帆が俺に向かって手招きをしてる
「なんだよ?」
「今朝に紫織ちゃんとデート…しかもあの映画観に行く約束したんでしょ?」
デートではないからね…
ちなみにあの映画とは今話題の恋愛小説をもとに作られた映画のことだ
「したけど?」
後ろに振り向くとあの姉妹はいなくなってるし
「はぁ……一時奈緒の機嫌の悪さ続くわよ」
えぇぇ?!
何でですか?!
だが美帆の言うとおりだった
土曜日になった今も機嫌が悪い
一緒に登下校するこっちの身にもなってほしいものだ
「よぉし!号令」
日直の号令により授業は始まった
暇だ……
いつもなら奈緒と話しているんだが…今は無理っす
携帯を開くと1通のメールが……
美帆か……
『まだ機嫌悪いでしょ?なんとかならない?』
すぐさま返信
『いや無理!逆に俺がお前に頼りたいぐらいです』
『とにかく今日中に何とかしないと明日を過ぎたらもっと悪くなるかもしれないわよ?』
なんで?
と聞いても無駄だろうな…
しかも今日中かよ!
無理無理無理(泣)
チャイムの音が鳴り授業が終わった
はぁ……とりあえずトイレにいくべ
ーーーーーーーーーーー
「はぁ…」
この数日間だけで何度ため息を吐いただろうか
「奈緒…もう正直に言っちゃいなよ」
美帆は唯一私が落ち込んでいるワケを知っている
「でも……」
言ったところでどうにかなるような気がしない
むしろ悪化するような
「いつまでこれバッグの奥に入れているつもり?」
美帆は私のバッグから2枚の紙を取り出した
「なんなら優でも誘って4人で行けばいいでしょ?」
「でも……」
「あ!それ映画のチケットじゃん」
出た……
と私は心の中で呟いた
「なになに?俺誘ってくれんの?」
私はこの人…五十嵐くんが苦手だ
見るからに不良だし軽いって有名なんですよ
普段は話しかけてこないくせにこういうときに限ってくるんだよなぁ……
「誘うつもりはありません……」
「だってよ?失せな」
実を言うと美帆はこの不良が大嫌いなんだ
「ハハハ!ちょっと恐いぜ?それより一緒に映画行こうよ」
もうホントやだ!
「他に行く人いますから」
「嘘だぁ!さっきのしんみりした空気からして断られたんでしょ?だったら俺と行こうよ」
肩に手を置かれた
美帆を見てみると殴る体制に……
あれ?
手が離れていく
「おい五十嵐…汚い手で奈緒にさわんな」
「螢?!」
内心驚いたと同時にほっとした
「うんだよ…映画に誘ってただけだろ?」
「は?映画?」
ここで螢は私の机にあるチケットの存在に気づいた
「これはテメェが持ってきたんか?」
「いや…そのぉ」
螢に睨まれる五十嵐くんが惨めに見えてきた
「違うんだな…だったら失せろ」
ここで五十嵐くんが逆ギレした
「何でお前に命令されなくちゃいけないんだよ!?下田の彼氏でもないくせによ!」
彼氏でもない
その言葉は私の心に突き刺さった
「コラァ!お前達なにしとるか?!」
先生の登場によりなんとか騒ぎは終わった
着席して授業は始まった
「奈緒」
隣から私を呼ぶ声がした
振り向くと螢は私の大好きな笑顔を私に向けていた
「映画一緒に行こうな」
わかっちゃったんだと確信した
でもわかってくれて嬉しい気持ちになったのは事実だ
「うん♪」
だから今回は4人でいいや