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第38話

「昨日は本当にゴメン!」


「ああ頭を上げてください!!」


謝る和樹に、あわわと慌てふためく少女。

現在昼休み。

優と紫織ちゃんに頼み、昨日、迷惑をかけた葵そっくりの少女を昼食に誘ってもらった。

そして今に至る。


「和樹、もう頭上げなよ?この子困ってるぞ?」


「うっ・・・重ね重ね申し訳ありません。」


俺の言葉に反応するのはいいんだけどさぁ・・・・。


「ああああ頭、ああ上げてください。」


さらに頭下げてどうするよ?


「だから、この子が困ってるから頭、上・げ・ろ!」


「うっ・・・まことに申し訳ございません。」


「あああの、頭・・・・あぅ・・・・。」


これは正しく永久ループだな。

俺が発言→頭下げる→少女慌てるってな具合に。

ならば和樹はシカトでいきますかね?


「え〜と・・・・非常に言いにくいんだけど。」


「はい!」


緊張しないように笑顔で言ったのに・・・・。

俺の笑顔は0円の価値もないのかと一瞬、悩んだがこれまた一瞬で脳内メモリーから消す。


「名前、教えてくれないかな?」


「あ、はい。坂本マナです。愛と書いてマナと読みます。よろしくお願いします。」


「愛ちゃん、俺は」


「火野先輩ですよね?」


エスパー?


「なんで知ってるのかな?」


「えっと・・・・有名ですから。」


「・・・・有名?」


「雑誌に載っていましたし・・・・」


「・・・・・?」


「・・・・・・。」


「・・・・・・?」


「・・・・・・。」


よし、軽めにツッコもう。


「あ」

「下田さんのお姉さんと付き合ってるってクラスの皆が噂してましたから。」


ニコリと笑い、さり気なく爆弾投下するのやめてください。

あと俺のツッコミを未然に防ぐのもやめてください。


「私達、付き合ってないから!デマだよ、それ!」


そんな力強く拒否しなくても・・・・。


「あ、下田さんのお姉さんですか?」


拒否しているんだから、改めて聞かなくても良くないか?


「そうよ?」


返事を聞くと俺と奈緒を何度も交互に見てくる。

なんか・・・・また爆弾投下しそうだな。


「確かにお似合いですね。」


笑顔で投下。


「だだだから、私達は付き合ってないんだってば!」


今なら血を吐ける。

生まれて初めて、そう思えた瞬間でした。


「あのさぁ、飯食いません?時間なくなりますよ?」


「私も優に賛成。」


賛成なのは良いんだけど何で実の姉をものごっつぅ睨んでるのですか?

気にするな。

気にしたら負けだぞ、螢。

・・・・よし。


「じゃあ食べるか。和樹、いつまで、その状態で居るつもりだ?」


しかも土下座かよ!


「ごめん、っ?!」


何かに気づいた和樹は急に驚愕した面もちで立ち上がった。

何事?


「ど」

「どうしたの?」


美帆、俺の台詞を奪うな。


「パンが・・・・潰れて。」


「「「「「「いただきます。」」」」」」


潰れても食える。

って俺と優はまだ弁当受け取ってないんだけど?

もしかして?!


「はい。」


奈緒の手には弁当が。

よかったぁ・・・・。


「サンキュー。」


さてさて・・・・中身は?

唐揚げ発見!!

箸にとり・・・・パクリと。


「うん、美味いっす。」


「ありがとう♪」


いつもの様に感想を述べる。

ホントに美味いわ。

中学時代の悲劇が嘘のようだ。



「本当に付き合ってないんですか?」


「「付き合ってない。」」


「息ぴったしですね?」


からかってます?

先輩なめんなよ?!


「愛?年上をからかったらダメだよ?」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」


すごい勢いで俺達に・・・・ではなく、笑顔ながら殺気を放つ紫織ちゃんに謝る。

このあと優と和樹の活躍で何とか場を落ち着かせ、平和的に食事(例の通り終始、優は苦しんでいた。)を終わらせ、これまた平和的に自己紹介をすませた。







隼人・・・・君が倒れたのに比較的みんな元気だよ?

理由はね・・・・昨日、優のみならず、いつものメンバーに君が目を覚ましていた事を告げたんだ。

さて夕方どうなるかな?

あ、因みに2人の会話の内容は言ってないから安心しろ。




テレパシー終了。



まぁ届くわけないんだけどね(笑)



《ピッピー!》


遠くから救世主が笛を鳴らした音が聞こえて、1人苦笑した。



放課後に予定はないという愛ちゃんと約束をして1年組と別れた。

そして今、先生に呼び出された奈緒と美帆を見送り和樹と2人っきりとなった。


「和樹、」


「俺なら大丈夫だから。安心して。」


綺麗な青の瞳は空を見たままの状態でそう告げる。


「ホントにか?」


ゆっくりと力強く頷く。


「螢も分かっただろ?愛と葵は全く違う人間だって分かっただろう?」


「ん・・・まぁな。」


顔はそっくなのに中身はまるで違った。

愛はホントに明るかった。

別に葵が暗かったわけではなくて、言い方を変えるなら物静かな子だった。


「俺はもう割り切れたから。」


「そっか。」


タイミングよく昼休み終了のチャイムが鳴り、慌てて教室に戻った。

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