第3話
「おはよう」
今日は朝から違った光景を見ることになった
「あぁ……紫織ちゃん…奈緒は?」
毎朝同じ時間に家を出てくるはずの奈緒じゃなくて紫織ちゃんが今横にいる
「寝坊ですよ♪」
と言うなりスキップし始めましたね
「ご機嫌だね…何かあったの?」
「え?…まぁ……」
なぜ赤くなる!?
「あの……」
あ、その上目遣い反則ですから止めましょうね?
「なにかな?」
「今度の日曜日…暇ですか?」
「日曜日?…ちょっと待ってね」
今日は水曜日だから……
日曜日は……部活休みだな
なんでかって?
バスケ部は2日練習1日休みなんですよ
「暇だよ?」
とたんに明るい笑顔になる紫織ちゃん
「じゃ映画に行きませんか!?」
「映画か……」
そういえば最近見てないしなぁ……
「いいよ」
さっきの倍以上の輝きが……
眩しい
「やったぁ!約束ですよ!?」
「はいよ」
そしてまたスキップですか………
「じゃまた昼な」
「はい」
靴箱で紫織ちゃんと別れて教室に行くとすでに隼人と美帆が来ていた
「めづらしく早いな」
そう言った俺を見て隼人が目玉が飛び出るんじゃないかと思えるくらい目を開く
「めづらしいのはお前だ!なぜ隣に奈緒がいない?!」
「なぜって…紫織ちゃんが言うには奈緒は寝坊だそうだ」
「え?紫織ちゃんに聞いたって事は一緒に通学したんか?」
「そうだが?」
隼人は机から立ち上がり俺の両肩を掴み激しく揺らす
「浮気か?!浮気してがばあ!!」
俺の右パンチが隼人の鳩尾をとらえた
まぁこんだけ近けりゃ避けれねぇのは当たり前か……
「あ〜…美帆悪いな。隼人寝ちまった」
床に崩れ落ちた隼人に向かってとりあえず拝む
「気にしなくて良いわよ?それより……」
え?
何でいきなり真剣な眼差しになられるのですか?
「今日は奈緒の機嫌ぜえぇぇったいに悪くなるわよ」
予言ですか?!
でも美帆の場合当たるだからタチが悪い
「ってなんで?!」
「螢?朝練は?」
この声は……
振り返ると奈緒がいた
てゆうか何の話?
「朝練??」
「え?!違うの?」
驚きたいのこっちだ
誰に聞いたんだか……
「そういうお前こそ寝坊なんてめづらしいな」
「は?寝坊??」
え?
違うの?!
「だって紫織ちゃんがそう言ってたぞ」
「紫織が?……アイツゥゥ」
奈緒の後ろから怒のオーラが……
「なな奈緒…さん?何キレてるんですか?」
笑顔になる奈緒
だが…長いつき合いだから分かる
この笑顔の奈緒はキレてます
「気にしないで。螢は悪くないから」
いやいや気になるから
視線を横に向けると美帆はあちゃーってな感じでこっち見てるし……
隼人は寝てるし………
誰か助けて!
1日中こんなキレた奈緒の隣で過ごすのは勘弁です……
朝からため息を吐かずにはいられなかった
ーーーーーーーーーーー
「それに対抗するために幕府は―――――」
今は日本史の時間なんだけど……内容が頭に入らない
これも全部我が妹である紫織のせいだ
なにが『螢さんなら今日は朝練だって昨日優が言ってたよ』だ!
オマケ……に私が寝坊ですって!?
嘘ついてんじゃないわよ
しかも美帆の話によると一緒に登校したらしいじゃない
許せない……
今朝こそ螢とあの約束しようと思ってたのに
あ……そうだ!!
《キーンコーン》
「はい今日はここまで」
先生が出て行った後にすぐ私は美帆のもとへと向かった
「美帆!」
「なななに?!」
何で怯えてるのかな?
まぁいいや
「あのね…今日」