表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/58

第23話

奈緒の捜索を始めてから10分経ったが未だ見つけられずにいた。


「お〜い奈緒!」


叫べども叫べども返事はなく木が揺れ葉の擦れあう音だけが聞こえてくる。


「あぁ〜!くそ・・・!」


1人嘆いても見つかる訳じゃあない。

嘆く暇があれば探さんか!

と死んだ爺さんが言ってる声がした。


「ったく。」


愚痴りながらも再び走り始めたが体に異常を感じた。


「なん・・だ・?」

こんな感覚初めてだ。

体が重い。

視界が歪む。

なんだよコレは!?


そう思った時には地面に倒れていた。


「うっ・・・・く。」


必死に体を動かそうとするが全く言うことを聞かない。

脳からの指令は途中で何かによって遮られてでもいるのだろうか?

周りの風景は徐々に見えなくなっている。


いや違う。

瞼が俺の意志とは関係なく閉じられているんだ。


「・・・る・・たる!?どう・・の・・・。」

すぐ目の前で誰かが叫んでいるのが辛うじて分かり何とか少しだけ瞼を開く。

目に映ったのは必死な顔で何か叫んでいる・・・・。




「な・・お。」


そこで俺の意識は途切れた。










「う・・う・・・・ん?」


目を開くと見知らぬ世界だった。

わけではなく見知らぬ部屋で白いベッドの上にいた。


「ここは・・・・病室??」


白い天井に白い壁、そして白いベッド。

間違いなく病室だ。


ってアレ??

俺どうしたんだっけ?


ここで俺は右手の自由が奪われていることに気づいた。

サッと首を曲げ見てみるとベッドに頭だけをのせてイスに座っている奈緒がいた。

眠っているにも関わらずしっかりと俺の右手を両手で握っているけどね。

訳の分からない事ばかりで完全に脳がノックアウト状態の中、病室のドアが開かれ見知った人が入ってきた。


「おはよう。目が覚めたみたいだね」




「ケン兄?!って事はもしかして此処」


「お察しの通り真田病院の一室だよ。」


「・・・・何で??」


「まず奈緒を起こそうか?」


「・・・・わかった。」


左手で奈緒の肩を揺らす。

数秒後に不機嫌そうな声を上げて奈緒は目を覚ました。


「おはよう。」


時計は12時を回ってるけど・・・・。

ん?


「奈緒?」


なぜ俺を見て固まってるのですか??


「奈緒も起きたことだから説明するね?」


ケン兄タイミング良いな・・・・。


「螢が倒れた原因は・・・・。」


「・・・・。」


「・・・・。」


「・・・??」


「・・・・。」


「?????」


「・・・・。」


「!」


おいコラ。


「勿体ぶるな!!」


「あはは、ゴメンゴメン♪原因はね疲労だよ。」


「疲労??」


「うん、少し休みが必要だよ。今日はもうタクの家に帰って何もせずに体を休めること。いいね?」



うっ・・・・。

目が怖い。


「はぁい。っで?お前はいつまで固まっているつもりなんだ?」


「え?いや・・・・その。」


だから何だよ!?


「だって君達は喧嘩の真っ最中なんだろ?」


ニヤリと笑うケン兄の笑い方は奥さんそっくりだ。

ってそう言えばそうだっけ?

奈緒と喧嘩してたなぁ・・・・。



「でも奈緒に感謝しなよ?偶々近くにいた奈緒がすばやく僕達に連絡してくれたから重い症状に成らずにすんだのだからね。しかも夜中遅くまでずっと螢に付き添っていてくれたんだよ。手をつないだ状態で♪」


言われて気づいた。

未だに奈緒は俺の手を握っていた。


「あわわわわ!」


今離れました。

少し残念。


「じゃ椎名家まで送るからついてきて。」


ケン兄について行くためにベッドから立ち上がろうとしたが体が思うように作用せず、バランスを崩す。


「危ない!」


が奈緒によって地面とのキスから守られた。

危ない・・・・か。

昔の事故を一瞬で思い出した。

あの時も奈緒が叫んでいたなぁ。


「奈緒。」


「うん?」


なんとか自分の力で床の上に立つ。


「ありがとう。」


俺の感謝の思いは


「どういたしまして。」


微笑む奈緒を見て伝わったんだとわかった


あ!


「お前迷子に」


「その話は体の調子が戻ったときにね。」

「なんで?」


「何ででも!」


疑問に思いながらも下で待つケン兄のもとへと歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ