第21話
「拓也、薫!こっち。」
寺の前には椎名夫婦を呼びながら手を振ってくる閻魔大王・・・・瞳姉達がいた。
近づくと瞳姉の夫であるケン兄が俺を見て不思議そうな顔をしていた。
「久しぶり・・・・夫婦喧嘩でもしてるのかな?」
「「誰が夫婦だ!?」」
重なる叫び声が怒り混じりであることに全員が気づいた。
「螢達。」
元希さんは落ち着きのある声で俺達を指さしてきた。
ちなみに、その落ち着きのある雰囲気から特別に『さん』づけだ。
「誰がこんなヤツと。」
「はいヤメヤメ!!」
少し落ち着きなさいと言って瞳姉は俺を睨む。
こわい・・・・。
暗に『謝れ』と言いたいんだろうか?
「すいませんでした。」
「よろしい。じゃあ行くわよ?」
「はぁい♪」
あれ?
「桜姉いたの?」
「ちょっと久しぶりに会ったのにそれは酷いわよ!?」
「兄貴たしかに今のは酷いぞ?」
「そうだそうだ!もっと言ってやれい♪」
ちっ!
ウルサい。
「いくら桜姉が珍しく静かだったからって気づかないなんて酷すぎる。」
そう言うお前の言葉も酷すぎるぞ?
あ、ニヤツいてるって事はワザトなんだな。
「そうだそう・・・・は?」
そして、この人は気づくの遅いな・・・・。
まぁ反応が面白いんだけど・・って元希さんから殺気が・・・・。
「ほら早く行くわよ!?」
瞳姉の眼は元希さんの殺気を上回った。
「「「「「「「「「はい。」」」」」」」」」
皆さんコノ眼には逆らえないんだよね・・・・。
「っで?これは何だ?」
拓兄の質問は
「「「「「「「以下同文。」」」」」」」
真田夫婦以外の全員が思ったことだった。
「何って看板よ?」
「瞳姉さんだってここお寺だよ?」
「だから?」
「Welcomeって看板はおかしいって事!!」
「桜姉が珍しく正論を言ったね。」
「あ、それ俺も思った。」
さすが兄弟。
思ったことは一緒か。
そんな事を考えている俺の隣にケン兄が近づいてきた。
「奈緒となんで喧嘩したのかな?」
「・・・・。」
「まぁ早く仲直りしとかないと後悔するよ?」
俺は目をパチクリさせた。
「後悔?なんで?」
「人は時として悪魔になるんだよ。」
ケン兄の視線の先には瞳姉がいる。
どう言うことだろ?
「ほらルール話すから全員集合して!」
「今いく。」
ケン兄に続いて俺も近寄っていく。
途中奈緒と視線があったがお互いにすぐに逸らした。
「じゃ話すわね♪」
上機嫌ですね・・・・。
「ここから離れた所に石段があるわ。その石段を登りきったら鳥居があってその前にテーブルを置いてあるの。っでテーブルの上に蝋燭があるからこの提灯の中の蝋燭に移して帰ってくる。簡単でしょ?」
「わかった。誰から行く?」
元希さんもしかして早く帰りたいのか?
まさか怖いのか?
「まぁまぁ慌てない。まず皆この割り箸を1人1本引いて。」
瞳姉が再度あの眼で見てきたため、全員無言で割り箸を引く。
「色が付いてるでしょ?同じ色の」
「暗くて色が分かりません。」
今は夜だよ?
色の識別なんて無理だって。
「携帯の光で確認しなさい。」
命令形ですね。
まぁ皆従うんだけど・・・・。
《カチ・・・・》
周りから見れば変な光景なんだろうな・・・・。
寺の入り口付近でこんなことするのは。
「皆わかった?まず青の人は誰?」
「僕だよ♪」
「あ、俺だ。」
「じゃあ1組目は健太と拓也ね、次緑!」
緑は薫姉と桜姉、紫は優と紫織ちゃんだった。
優良かったな・・・・と普通なら小声またはアイコンタクトで伝えるんだけど、この状況では言えない。
あと残るのは俺、瞳姉に元希さんと・・・・喧嘩中の奈緒。
元希さんを希望します。
何故かって?
瞳姉みたいに俺に危害を与えないからだ。
あと喧嘩している奈緒は論外だ。
「次は赤。」
「俺・・・・です。」
果たしてパートナーは誰!?