表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/58

第19話

夏だから汗をかくのは当たり前だが今の俺がかいている汗は熱さとは無関係なもの

通称『冷や汗』だ


――――1時間前――――


紫織ちゃんの態度に対する恐怖も段々と薄れつつあり、ドキドキワクワクといった感じになり始めている


外の風景を見る

この公園を右に回れば・・・・見えた!

青色の屋根に白色の壁でできている家

その家の前でリムジンは止まった


「奈緒。着いたから起きな」


そう呼びかけながら左手で奈緒の頭を軽く揺さぶる

やがで不機嫌そうな声を出したながら目が開かれた


そして、なぜかフリーズした

あ、瞬間沸騰してるね


「奈緒」


「なななに!?」


「起きたのなら頭を退けてくれ」


ホントは退けて欲しくないだけど・・・・・

いい加減その部分だけが痺れて痛いんですよ



「ごごごごめん!!」


慌てた様子ですぐに頭を離す


「ほら降りようぜ?」「え?着いたの!?」



「着いた。だからもう降りよう?」


「うん♪」


元気のいい返事をして奈緒と一緒に降りて、玄関前にいる優と紫織ちゃんと合流・・・・


「螢君と奈緒ちゃん!元気だった!?」


相変わらずのハイテンションだなこの人は


玄関前には優と紫織ちゃんと薫姉がいた


「お姉ちゃん!久しぶり」


「薫姉久しぶり」


「みんな久しぶりだな」


家の中から声を出しながら1人の男が出てきた


「「拓兄!久しぶりだね!」」

優と被ってしまった


「「お兄ちゃんこんにちは!」」


下田姉妹も被ってしまったようだ


言っておくが、この夫婦の片方が俺の本当の兄だったり姉だったりってわけではない

また親戚でもない

下田姉妹も俺等同様だ

昔、俺が道路に飛び出して車にひかれそうになった時に偶々旅行で訪れていた拓兄に助けられたんだ

つまりは命の恩人ってこと


「外は暑いだろ?2人とも早く上がりなよ」


「「「「は?2人??」」」」


今度は4人の声が見事にハモってしまった

拓兄はそんな俺達の反応を見て無表情になった

そして錆びたロボットのようにギギギと音がでるような感じで薫姉の方を見る


「薫・・・お前まさか言ってないのか?」




「え?何を??」


薫姉はキョトンとしている

それを見た拓兄はガックリと肩を落として、溜息を吐く


「すまんコイツが説明してなかったみたいでさ・・・・ってだいたい薫が誰を泊めるか決めたんだろうが!!」


「え?それは拓也もでしょう?」


「いや・・まぁそうだけどさ、あれだけ言っとけよって注意したのに」


「・・・・ごめんなさい」


薫姉は俯きながら謝る

仕方ないなと言って拓兄はこちらを向く


アンタ相変わらず薫姉には甘いな


「はぁ・・で説明するけどこの間台風がきたときに和室の窓が割れて大量の雨が入り込んで畳み部屋が使えなくなったんだ。それで今4人全員が泊まれるだけの部屋数がなくて半分はケンの家に行ってもらうことになってるんだ」



ケン兄のところに?

絶対にいやだ!!

アソコは行きたくない


「っで誰がこの家に泊まるの?私とお姉ちゃん?それとも螢さん達?」


紫織ちゃんが核心に迫った

そして我思う・・・・俺はこの家がいい!!

なぜなら、ケン兄の家には閻魔大王がいるからさ!!


「えっと実は」


薫姉が申し訳なさそうな顔をする

マズい・・・・


俺を見ている=俺と優は地獄行き

なんて簡単な公式なのでしょか?

畜生・・・・


「螢君と奈緒ちゃんの2人なの」


「「「「・・・・。」」」」


沈黙






「「「はぁ?!」」」


優以外の俺を含む3人が叫んだ


「え、えへ♪」


笑って誤魔化すな


「『えへ♪』じゃない。とにかくそう言うことになってるから」


「なってるからって・・・・」


奈緒に視線を移すと溜息を吐いていた

そら吐きたくなるわな


「ちなみに2人には同じ部屋に泊まってもらうからな」


空気が凍ったのがわかった



―――――――――――


ってなわけで、


今晩泊まる部屋に奈緒と荷物を置きに来たんだけど・・・・・


「「・・・・・。」」


非常に気まずい!!


あの後、必死で椎名夫妻に反論したもののアッサリと却下され優と紫織ちゃんは地獄に送られた

優は仕方ないと言って再びリムジンに乗っていたのに対して紫織ちゃんは最後まで駄々をコネていた

まぁ結局、強制送還されたけどね


「2人とも早く降りてきてね♪」


下から薫姉の呼ぶ声がした


「い、行こっか?」


「そ、そうだね」


うまく笑顔を作れない自分を心底ダメに思う

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ