第15話
「兄貴?俺もう行くけど?」
「おう、気をつけてな」
行ってきますと機嫌良く家を後にする優を見送る
昨夜、優は紫織ちゃんからメールで祭りに誘われたと大喜びで騒いでた
勿論すぐにお袋によって沈黙させられたけどね・・・
家のことをアレやコレやとしているうち時計は6時を指していた
急いで用意をして奈緒を迎えにいくために家を出た
はい、意味が分かりません
俺が何かしましたか??
全く心当たりないぞ?
下田家のインターホンを押して姿を現したのは白色に花模様の浴衣を着て・・・・・
私は今とても怒っていますオーラを全身から発している俺の想い人だった
俺を一度睨みつけ、俺の横を通り抜けて行った
っで今前方約1メートルに奈緒はいる
ってゆうか歩いてる
祭り会場に着いたのだが現在も無言で俺の前を歩いている
「奈緒さん?どうして怒っていらっしゃるんでしょうか?」
「・・・・・。」
「奈緒さん?」
「・・・・・。」
「お〜い」
「・・・・・。」
はい俺のスイッチがオンになりました
「おい!」
「なによ?」
振り返った奈緒の顔を見て怒りは何処かへ吹っ飛んでいった
「なんで泣いてんだよ」
「うるさい!螢のバカ!」
そう言って奈緒は人混みに紛れ込み、見えなくなった
急いで追いかけたのだが結局見つけられなかった
あぁもう!
何なんだよ!?
俺が何したって言うんだよ!?
「はぁ・・・・」
とにかく見つけてから話を聞くとしますか?
「ハァハァ・・隼人?お前・ハァ・・・・どこにいる?」
40分間ずっと走り回ったが見つけられず、祭りに来てるであろう隼人に助けを求めようと電話をした
「ハァハァってお前は変質者か?」
耐えろ・・
耐えるんだ俺
「・・・・・お前どこにいんだよ?」
「祭りだ。何かあった?」
俺の今の状態を告げた上でもし奈緒を見つけたら電話をしてもらえるよう頼む
「いいけどよ・・お前さぁ奈緒がどこ行ったか心当たりないわけ?」
「・・・・・あ!」
「行ってらっしゃい」
通話は切られた
俺は再び走り始めた
肺が痛い
全力疾走ぶっ続けは流石にキツい
だけど・・・・
携帯のサブ画面を見る
歩いてたら間に合わない!
俺は祭りの会場からでて歩いてきた真っ直ぐの道を駆け抜けて行き、途中で右に曲がると目的地である西小学校見えてきた
校門を通り抜けてグラウンドに着いて走るのをやめた
「ハァハァ・・・奈緒」
暗くて周りが見えないせいでどこかに人が居るのかわからない
もし奈緒がいるのなら――
そう思いながらグラウンドの端にある遊具、ブランコに向かってある来だした
周りは静かで俺の歩く音だけが聞こえる
「いねぇか・・・」
ブランコには奈緒の姿はなかった
溜息を吐き、ブランコに腰を下ろす
「ドコにいんだよーー!!」
思いっきり叫んで俯く
マジでドコに
「なんで・・・・」
「あ?」
顔を上げると驚きの表情をした奈緒がいた
「お前さぁ」
《ヒュルルル・・ドン》
「「あ」」
夜空には色とりどりな花火が咲いては散り、また咲いてを繰り返していた
「綺麗・・・」
呟く奈緒の瞳はとても輝いていて少しドキッとした
「座れば?」
視線を隣のブランコに移しながら言ってみる
「う、うん」
奈緒が隣のブランコに座ったのを確認すると夜空に一瞬だけ咲く花に視線を移した
そして、そのままの状態で奈緒が怒っていたワケを聞こうと口を開く
「ごめんね」
前に謝られた
「べつに良いけどよ・・・」
いや、良くないか?
「なんで怒ってたんだ?」
「うっ!そそそれは・・・・」
動揺丸出しだ
眼が左右上下に動きまくっている
多少面白い
「『そ』の回数多いぞ?」
「あう・・・・」
チラリと横を見ると奈緒は俯いてた
「言いたくないなら言わなくてもいい」
「うん・・・」
まだ俯いている奈緒の頭に手をのせ、優しく撫でる
そうしながら黙って2人で花火を見る
「俺さ」
――奈緒が好きだ
そう言いたかったのに口が動かなかった
「なに?」
頭を上げて俺の目を真っ直ぐに見てくる
すいません、言おうとしたことと別のことを言わせてもらいます
「去年のことギリギリまで忘れてた」
「それって・・・・此処で美帆達と4人で花火見たこと?」
「うん」
「ひど!!」
「「え?」」
バッ!と前を向くと声を出した乱入者×2がいた
お前らいつの間に来たんだよ!?