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第11話

「あの〜奈緒さん…」


螢はなぜか急にしゃべり方が敬語になった


「毎日弁当作ってんのお前じゃねぇ?」


「え?!」


心臓がドキンとした

驚いた


「やっぱり…」


「あぅ……」


表面温度も急上昇

あつい……


「『なんでわかった?』って言いたそうな顔だな」


彼は呆れ顔で私の心を読んだ


「じゃあ聞くけど何で分かったの?」


彼は唐揚げがのったお皿を指差す


「味だよ。あ・じ!」


「味?」


「弁当に入ってる唐揚げと全く同じ味がしたんだよ」


そう言って唐揚げを指でつかみ口に運ぶ


「うん、旨い」


ニッと笑いながら感想を言ってくる


「ありがとう」


彼は一瞬だけ…

悲しい瞳をした

それを私は見逃さなかった


「気づかなくで悪かったな」


ごめんと言って頭を下げてくる

私は焦った

こんなことになるとは思っていなかったから


「そんな謝らないでよ!」


焦ったからかな?

声がいつもより大きくなる


「いやだって」


「私が!…私が初めにママが作ったなんて言ったのが悪いんだし」


そう……

私が嘘を言った

彼はそれを信じていただけ


「ね?だから謝らないで」


「…わかった」


うん、顔は全然納得してないね

「新学期が始まったらまた作ってくるから感想聞かせてね」


「おう、約束する」


「はい!じゃこの話はお終い」

《コンコン》


いきなりの音にビックリして体が少しビクついた


「あ…開いて…る」


螢はそれがツボに入ったらしく俯いて笑うのを我慢している


《カチャ…》


やはりきたか…


「螢さん風邪大丈夫ですか?」

我が妹でありライバルの紫織が部屋に入ってきた

その後ろには……恐い顔をした優君がいた

何でそんな恐い顔をしてるのかな?


「兄貴…バイト行ってくるから」


螢は視線を紫織から優君に移して引きつった笑顔になった

こんな顔をする螢初めてだ


「おおう…気をつけてな」


「ちっ!」


《バタン》


今舌打ちしたよね?

あの文字通り優しい性格の優君が舌打ちする不機嫌だなんて……目面しい


「優の奴どうかしたんですか?明らかに不機嫌でしたけど」


紫織は不思議そうに螢に尋ねる

てゆうか私は完全に無私なわけ?


「さあ?わからないな」


そう言って苦笑して前髪をイジった時点私は嘘だと確信した

前髪をイジっる…螢が嘘をついた時にする仕草だ


「そうですか。っで風邪の具合は?」


「だいぶ良いみたいよ。ねぇ?」


「おう!」


「そうですか!良かったですね」


だから私をシ・カ・ト・しないでよ!

ムカつくなぁ…


「お腹空きませんか?私が何か作ってきましょうか?」


「ありがとう。でもさっき奈緒が作ってくれたから大丈夫だよ」


「あ、そうですか。ちょっとすいません」


友達にメール返さなきゃと言って携帯をポケットから取り出して扱い始めた


「あ、そういえば奈緒」


「ん?なに?」


横からスゴい睨まれてるのは気のせいだよね?


「明後日に試合あるんだけど見に来ないか?」


ちょっと不安そうな顔でのお誘い

もちろん…


「行く♪」


やっぱ最近になって螢…変わった

以前は試合があることは伝えてくれてたけど誘うなんてこと全然なかった

この変化は私にとって嬉しいことだ


《〜♪〜♪》


「電話なってんぞ?」


「え?うん」


携帯を開く

メールだ……

え?紫織から?


「螢さん。私も見に行っても良いですか?」


螢に話しかける紫織を睨んだ


『いい気にならないでよね』

これはさっき紫織から届いたメールの内容だ

何でいきなり文句言われないといけないのかな?


『なってない。へんな言い方やめてよね』


返信


紫織がメールに気づく

そして私を睨みつけメールを返信する


………きた


『五月蝿い。ちょっと料理できるからって調子にのらないでよね』


ムッカァ……


『のってないわよ。できないからって僻まないでよ』


『僻んでなんかない!私だってやればできるわよ!』

『へぇ〜……弁当を食べた優くんは毎回苦しんでたよね?あれは何かな?』


『あれは優の舌がオカシなだけ』


『螢も苦しんでたけど?』


『それはお姉ちゃんの弁当食べたてからでしょ?』


『……アンタ消すわよ?』




『あのさぁ…2人ともどうした?めっちゃ恐い顔してメールしてるみたいだけど』


顔を上げると螢は携帯を右手に持って心配そうにこっちを見ていた

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