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No.-

No.11 脳内会議

作者: 夜行 千尋

出されたお題を元に、一週間で書き上げてみよう企画第十一弾!

今回のお題は「城」「山道」「ホラー」


11/3 お題発表

11/4 現在のプロットの原型を思いつくが、風邪をひく

11/5 風邪が悪化

11/6 更に悪化し始めたため書ける間に書いてさっさと投稿

11/7 予約投稿で公開開始


んー

もうちょい煮詰めたかったな

 ワタクシは思った。


「やばい、お話が出来そうにない」


 これはそんなワタクシの脳内会議をそのままだだ漏れする作品である。



 今回のお題は「城」「山道」「ホラー」……さてどうすべきか。


「おーい! シナリオできたよ!」

「お? マジ? 見せてケロ」


 もう一人のワタクシが作品を持ってくる。何? もう一人のワタクシとは何か、と? いやいや、ここ、ワタクシの脳内です故。ワタクシが複数人居るのは分かりやすいイメージとして、というやつですね。


「いや、説明してないで読めよ」

「あ、そうか、すまん」


 さっそく、ワタクシが持って来たアイディアをワタクシが読む。







 俺の名はエディシュ・バウアー。吸血鬼ハンターだ。この山の上にある城へ吸血鬼ドラキュラを討ちに行く……だが、奴の攻撃はこの山道の時点ですでに仕掛けられていた事を、一路城を目指している俺はまだ知る由も無かった。







「却下」

「えぇー」


 ワタクシはワタクシが持って来たそれを無慈悲に突き返した。


「なんだよこのデニッシュみたいな名前は!」

「そこ!?」

「あと話がありきたり過ぎ。もっと捻りが欲しいよ。どうせあれだろう?この後……」

「おーい、おーい!」


 と、ワタクシとワタクシが話し合ってる間に別のワタクシが入り込む。


「シナリオ思いついたじぇ。読んでみてちょ」

「んー……今の話の流れで思いついたのって碌でもなさそうな……


 ともあれ、読んでみることにした。







 息を切らして、私は山道を駆け上がっている。山の上にある城を目指して……いいえ、他に建物らしい建物が無い、という方が正しかったかしら。“奴”は私を執拗に追いかけてきていた。

 私は咄嗟に振り返り後ろを確認する。……だが姿が見えない。どういう事だろう? 私は咄嗟に立ち止った。もと来た道を必死に見回り“奴”を探す。……居ない。もう危機は去ったのだろうか?

 そう思いながらも、私は城へ向かおうと思った。

 その時だった。


 ああ、私は見てしまった。“奴”のその姿を。“奴”は私が振り返った先に、どういう方法か分からないが瞬間移動して見せたのだ。私にその姿を見せるために!

 その姿は人のそれと酷似して居ながら、頭蓋からイソギンチャクの様な無数の触手をうごめかせ、妙に細い体に細長い腕、黒く色付いた全身から黒い霧を纏って、体中に有刺鉄線を巻いた痛々しい姿で、鳥類のそれを思わせる頭を捻る動きで私を見てくる。

 その存在は見た物を異世界に連れ込み部屋に心霊現象を起こしぬいぐるみにするために殺しに来







「まてまてまてまて!」

「え? なーに?」

「いやこれ……いくつ作品混ぜたんだよ!」

「……最近見たホラー全部」

「コラ!」


 ワタクシは頭を抱えた。なんでこんなどうしようもないアイディアしか出ないのだ。もう少し捻ってだな……んー、しかし最大限に困ったことがる。


「困ったな」

「どしたの?」

「この話、ネタが足りない」

「え゛!?」


 さすがに困る。毎回一週間チャレンジは平均して6000字だ。何時もその辺を目指して書いてる。だってあんまり短いと短編って言い張れないし。……いや、5000字以下ぐらいだとショートに入るんだっけ? どうだっけ?


「あーい。できたよー」

「お、良かった。ネタ切れかと思った」


 これまた別のワタクシがワタクシの元へ案を持ってくる。


「うんにゃ。今思いついたできたてホヤホヤさん」

「うーん。それ大丈夫かな?」


 ともあれ、読んでみることにした。







 その日もまた、僕は城から外を眺めていた。ここは何もない。誰もいない。一人で寂しくて……窓の外を眺めてしまうんだと思う。

 いつもと変わらない午後。誰も居ない城、誰もいない城下……そう思ってた。でもその日は違った。人だ! 人が居る! しかも二人! 城へ続く山道を人が昇ってくるのが見える。

 その時の僕の心の高揚感をどう言葉にすればいいのか……今でもうまい言葉が見つからない。さっそく“お出迎え”の準備をしなくちゃ。

 大なべに火を入れて、調理道具を確認。桶に水を張って食器を確認。今見た人は大きかったから、お野菜も一杯用意しなくちゃ。ああでも、ナスやパイナップルしかない。仕方ないからパイも用意しよう。

 そうこうしてたら城のドアが開いた。そして話し声が聞こえてくる。


「ここが例の城か」

「ああ、気を付けろ。奴は……」


 タイミングよくお客さんにパイナップルを投げる。美味しく召し上がれ!







「まったぁぁぁあ! たんまあああああ!」

「ほえ?」

「これ全年齢対象だから! 何? 君、『パイナップル』って……これ手榴弾だろ?」

「あ、解った?」

「解った? じゃねぇよ! なんでそんな血みどろにしようとしたの! 理由を言いなさいワタクシ怒るから!」

「怒るならいわなーい」


 そういいながらワタクシが逃げ出すのをワタクシは見送った。


「まったく……碌な話を持ってこないな」


 さてどうしたもんか。


「おや、ずいぶん苦戦してんだな」

「ああうん。浮かばなくてね。困ったもんだ」

「ほほう、じゃあ俺が良いのをくれてやろう」


 と、ワタクシにワタクシがドヤ顔を決めて言う。


「ほほう。ならばそのドヤ顔を信じてみてみようじゃないか」


 ワタクシはワタクシからシナリオを受け取り読んでみる。


「おう、ほらよ」






 お空から氷の欠片が落ちてくるのを、僕は生まれて初めて見ました。

 先生が「それは雪というんだ」と僕に教えてくれました。手を伸ばして触れてみると、とても冷たいのに、手のひらの上では溶けてしまう……。僕はそれを先生に見せながら言いました。


「ほら先生。雪って溶けちゃうんですね」

「ふふ、君はそんなことも知らなかったのかい?」


 先生が寝間着姿で僕の後ろに立つ。先生のぬくもりを感じて、僕は自分が熱くなるのを感じた。


「はい。僕は先生しか知りませんでしたから」

「可愛いことを言うじゃないか。さあ、こちらへ」


 そう言って先生は僕の首筋に熱い口づ







 ワタクシはもらったシナリオを床に叩きつけた。


「阿呆かあああああああああああああああ!」

「なにをするんじゃああああああああああ!」


 ワタクシはワタクシに激高し、ワタクシはワタクシに激昂した。


「何書いてくれとんねん!」

「だからって投げることなかろうよ!」

「さっきも言ったがこれ全年齢対象だから!」

「それもうネタになってるじゃねぇか!」


 確かに。


「じゃなくて、お題はどうしたんだよ!」

「ふふふ、解らないかい?」

「おう、殴られたくなかったら早く言え」

「そ、そう急かすな」


 そしてワタクシは咳払いをしてワタクシへ説明をする。


「雪で白」

「漢字が違う!」


 ワタクシはワタクシの説明に怒り、怒られたワタクシが更にワタクシへ説明する。


「シナリオ作成はいつでも山登りのような物」

「ちげぇ! ならその作成過程を作品にしろ!」


 ワタクシの抗議にワタクシがへそを曲げて説明を放棄してしまったためワタクシがワタクシに謝罪してワタクシはそれを受け入れてワタクシに説明をするためにワタクシに向きなおった。


「落ち着いたか? で、ホラー要素は?」

「え? ……作中にはないよ」

「……え? は? ……え? 何、良く聞こえなかった。なんだって?」

「いや、だから……作品を渡すときに、なんて言う?」


 何を言ってるんだワタクシは。


「あい」


 ワタクシはワタクシに首を振る。


「どうぞ」


 また首を振る。


「……ほい」

「惜しい!」


 なにが惜しいのか……ん?


「ほらよ……ほらよ?」


 ワタクシがワタクシながらムカつく顔でワタクシに向かってワタクシが頷く様をワタクシはやはりイライラしながらワタクシを見ていた。


「まさか……」

「そのまさかだよ」


 おいおい。


「ほらよ、ほらぁよ……ほらーよ……ホラーよ、ってか?」


 ワタクシがワタクシにウザイばかりの顔でワタクシの苛立ちを煽るようにワタクシをみてくるのでワタクシはワタクシにワタクシをもってあーもうういいか?

 ワタクシはワタクシを殴った。


「なんなんだどいつもこいつも碌なのを書いてきやがらねぇ! 本当にシナリオ作成は山道だよ!」

「で、下りは何時だ?」

「さあな! 知るか!」


 思わずワタクシはワタクシに噛みついた。

 そんなワタクシにワタクシが言う。


「まぁ、そういうな。だったらこの作成過程をそのまま書けばいいじゃないか」

「いや、だとしてホラーと城は?」

「ホラーは心配ない」

「ほらよ、で渡してくるなよ!」


 ワタクシがアンニュイな顔をするのをワタクシは握り拳を構えて見た。案の定、ワタクシが身構えて言う。


「違う違う、そうじゃない。ホラー要素はちゃんと回収してある」

「へ? ここまでで?」

「そうだ。ここまでで」


 疑問符が浮かぶワタクシにワタクシが言う。


「まぁ、今回の話で取ってつけた感が否めないのは『城』だな。『人は城、人は生垣』というから、これだけワタクシが居れば『ワタクシが城、ワタクシが生垣』ということでここはひとつ……」

「いやダメだろう」

「えぇー」

「えぇーじゃねぇよ」


 わははと笑いながらワタクシが言う。


「いいか? 『城』とは『敵が攻めてきた時の防衛拠点』だ。自己という存在は、他者とかかわる時の防衛拠点だ。そうだろう? 自己を保つことで、他者の意識に引っ張られずに居られるわけだ。そうなれば、自己というのは『城』であると言っても過言ではなかろう」

「んー……ちょっと無理やりな気もするなあ」

「まぁそういうな。もうここまで書いてきたんだ。もう後戻りも出来んだろう」

「メタイよ! どっかで蛙がパンチ喰らってるよ!」


 ともあれ、ワタクシはワタクシから渡されたワタクシのシナリオを見てみることにした。







 作業しても何も浮かばない時、人は何を考えているのだろう? 僕の場合はさまざまである。

 家族、隣人、好きな人、好きな物、好きなお話。

 見たことの無い話を聞いたり見たりしてインスピレーションを沸かさせる。

 その時何を考えているのだろう? 僕の中に居る僕に問い、話しを考える。



……



 そして訪れる自己の沈黙。



 静寂という名の一定のリズム。



 静寂よりもたらされるある種の周期的な狂気の音程。



 狂気という名の自己による自問自答から得られる狂人の作成リズム。



 自己という存在の論争における事故に基づいて享楽をもたらす狂気の静寂。



 規則性を持って事故を起こす静寂という狂気と脅威と健気な作品思考プロセス。



 それは一重に、脳内に自己多数抱えるという思考パターン。



 あれが僕であり、それも僕であり、これも僕である。

 ではあれは誰か? 僕である。

 何? それは現実ではなく幻想である、と? 面白いことをおっしゃる。



 君の脳内で、君が見た世界は映像化されている。

 さて、君が見た物は現実と言えるのかね?

 自己に問いかけて帰ってくるのは狂気の沙汰。視界に入るその人物が事故が故に生み出されたもう一人の自分でないとなぜ言える。すべて君の脳内で行われた喜劇でないと誰が保証できる。その保証する人すら君の脳内住人ではないとなぜ言える。


 今の君が、君の幻想でないと保証する君もまた幻想でないと、誰が保証できるのか?



 ホラー……horror 【髪の毛が逆立つこと、が原義】

1) 恐怖、恐ろしさ、恐ろしい人、物、事。(terrorとは違い嫌悪感を伴う)

2) 憎悪、嫌悪。

3) ぞっとする気持ち。ふさぎ込み。アルコール中毒の病的震え(振戦)。


概要


怖さを意図していなくても、怖さを感じることはある。漠然とした恐怖。



引用:ニコニコ大百科







「待てコラ!」

「あり?」

「なんでここにきてニコニコなのー?」

「締りねぇなぁ」

「いやぁ、なんかそのまんま終わりたくなくて」

「この捻り渇望症患者! 素直に終わればよかったじゃねぇか!」

「だってやりたかったんもーん」

「見も蓋もねぇな」

「そんなことなかろう。こんな形とはいえちゃんと作品としてだな」

「良いのかこれ、良いのかこれ、良いのかこんなの作品にして!」



 そんなワタクシの脳内で行われる混沌なる狂気じみた会議という内容の話を脳内会議するワタクシを書いたワタクシの話。


このホラー要素……分かりにくい


いや

先週ホラーやったんですよ

にもかかわらずだったのでさすがに困りました


で、困ったもんだから

もうあとはこじつけですね

「シナリオ作成は山道だ」なんて無茶もいいとこです

あと

「自己という存在を城とすればいい」的な事を書きましたが

ワタクシは三匹の子豚の藁の家より軟弱な犬小屋ですハイw

城が聞いてあきれるなぁw


とかなり無理やりな作品でした

申し訳ない

……個人的には楽しかったですが



ここまでお読みいただきありがとうございます

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