最高のクリスマスプレゼント
電話が鳴る。今日はクリスマス。特別なことはなにもなかった俺は落ち込んだ気分のまま電話に出た。
「クリスマスだな!」
「そうだな」
「なんだ暗いな。街はこんなにも明るいというのに!」
いつにもましてテンションが高い声に更に気分が落ち込む。
「こんな時間になんだって言うんだ、もう少しすればクリスマスも終わりだぞ」
「ちょっと外に出てこいよ、お前に見せたいものがあるんだ」
「見せたいものだって?」
「いいから早く来いって!」
「しょうがないな…」
「お、来たな!」
「サンタが迎えに来ればよかったのに」
「悪かったな俺で。そんなことよりちょっと公園行こうぜ」
「公園?何でまたそんなとこに行かなくちゃいけないんだ」
「見せたいものがあるって言っただろう。走るぞ!」
言うなり彼は俺の手を取り走りだした。
「はあ…はあ…やっと着いたか」
「ちょっと走ったくらいでそんなに息が上がるなんて運動不足だぞ。それよりほら、あれ見ろよ!」
「一体何…だ…」
言葉を失った。其処にあったのはいつものちっぽけな公園などではなく、テーマパークに見紛うばかりの装飾に彩られた姿だった。
「凄いな、これ…」
「だろ?俺も最初見た時は度肝を抜かれたよ」
「言葉も出ない。いいもの見せてもらったよ…ありがとう」
「俺もお前と一緒に見られて良かった」
暫くただただテーマパークの虜であった。
ふと気が付くと、手を繋いだままであることに気がついた。なんだか恥ずかしくなったが嬉しくもあった。さっきまでの落ち込んだ気分はどこへやら、ある感情が強く湧いてきた。そして彼に抱きついていた。
「なっ…いきなりどうした」
彼が笑って言う。彼の明るさには何度も助けられた。彼が笑うとなんだかこっちまで笑顔になる。
「最高のクリスマスプレゼントだよ…ありがとう」
「そんな大げさな、ただのイルミネーションだろ」
「ううん、お前と見れたから最高に綺麗に見えたんだ。これからも色んな事を二人で見よう、二人でしよう、いつまでも一緒にさ…」
「…そうだな、お前と一緒ならなんだって最高になるかもな」
「じゃあこれもかい?」
そう言って唇を重ねた。
「最高だな…」
はにかみながら彼が言った。
こうして人生で最高のクリスマスが過ぎていった。
読んでくださってありがとうございます。クリスマスに間に合わせたかった…。
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