お笑い芸人から歌手へ
最初、デビューしたジャンルは芸人だった。
相方と二人、若手芸人として番組を盛り上げていった。
俺の相方は女だ。
女優みたいに綺麗な相方だ。
俺より少し背が低いが、スタイル抜群。
相方はツッコミ担当だ。
俺がボケて相方である相方がツッコむ。
二人で地道に頑張っていた。
そんなある日。
事務所の人に呼ばれた俺と相方はマネージャーから会議室に連れて行かれた。
会議室の扉を開ければ、事務所の社長が一人座っていた。
事務所の会議室に来て一言。
「歌手になれ」
言われて、理解するのに時間がかかった。
相方も同じだったようで、驚いたようだった。
相方と視線がぶつかって。
俺と相方は…お互いに顔を見合わせた。
「「はい?」」
と見事に声が、はもった。
「歌手って、あの歌手?」
俺の声が静かに会議室に響いた。