表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/31

光の天使 5

 一斉に白軍服の者達が拘束され、静まり返る教会。結構、汚くなってしまった会場。


『ひどい…』

 ソフラの悲しそうな声。


「…すまなかった。私が動くのが、遅かったんだ」


 床ギリギリまで、頭を下げるミカエル。ユミィもそれに習って、頭を下げる。不意に、頭を上げられる2人。目の前に立つ花婿。蒼白な顔つきで、物凄く苦しいハズなのに、微笑んだ。



「大丈夫です、こちらこそすみません」


 謝るルーフォス。倒れそうになる彼を支えるレーネ。ルーフォスは振り返り、彼女を見て微笑む。そして、壇上の牧師を見つめる。


「…続けますか」


「おケガは?今後の方が、良いのでは?」

 丁寧なミカエルの言葉使い。ユミィは、滅多に聞いた事がない。


「大丈夫です。レーネが治してくれました」

 自らの脇腹を指差すルーフォス。赤く染まった服も傷も、元通りに戻っていた。ただ服は、そのままだったが。


「そうですか、良かったです。私は、これで失礼します。ユミィ、後で泊まったホテルの会場で待ってる」

 そう言い残し、去っていくミカエル。その背中を見つめた。何かあったのかな…?





 

 その10分後。婚儀の続きが行われた。汚れた物全て取り外されて、さっきの続きが始まった。正面ガラスの薄布が外される。

 何もないハズの透明ガラス…なのに。太陽の光が石の中に差し込み、光の向きが変わり重なりあう。石の中心に、何かが浮かぶ。


 あまりの驚きで、目を見開くユミィ。ざわめく客席。

 光の中から浮かぶ物…それは、光で出来た天使。




 両手の指を組み合わせ、閉じた目から静かに涙を流す…『聖天使』。彼女の背中に大きな翼、流れるような長髪に痩身に纏う羽衣。

腰には、2本の剣がぶら下がる。



 神聖なる彼女の美しさ。



 それを、尚さら引き立つように、彼女は両足の間に腰を下ろしていた。…つまり、祈る姿勢。




 そんな綺麗な彼女を背後にして、レーネ達はキスした。慌てて顔を背けるユミィ。…私は、まだこんなシーンになれていない。見つめる先に顔を赤らめる2人…見ているコッチまで顔が赤くなる。



『ユミィ、顔真っ赤』

 ソフラに指摘され、顔をさするユミィ。

「…分かってる」


 

 教会の鐘が鳴り響く。優しく力強い音色。そう、レーネ達を祝福していた。一斉に空へ目指し羽ばたいた、白い鳩たち。


 ユミィは、ソレを見て微笑む。視線を変え、壇上の彼らを見つめる。泣きながら、抱き合う新婚さん。

 先程の事件から、よっぽど大変な事があって今があるのだろう。それを乗り越えたのいうのは、すごいと思う。だから…



「…幸せであれ」



 彼らの真の幸福を、願った。身勝手だが、この願いが天に届け…と。




 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ