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魔術師達の舞踏会  作者: 夢見 隼
第一章
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襲われた町

「おら、起きろ!」

 大きな声と共に僕の身体に衝撃が走った。

「ううん……。」

 僕は目を覚ますと真上に中野先生が立っていた。

「出るぞ。」

「はい?」

「迎えが来た。」

 僕は少し戸惑いながら身支度を整えていると、先生は剛らにも蹴飛ばし、同じ事を伝えていた。

「迎えって?」

「出れば分かる。」

 中野先生は素っ気なく答える。どこか不機嫌そうだ。

 僕らはぞろぞろと小屋の外に出ると、外には騎馬隊がいた。

 十人ほどの騎馬である。

「これらが君の言う、四神の希望なのか?」

 騎馬兵の一人がハスキーな声で言う。

 全員、仮面に鎧だから分からないが、今、発言した人以外からは不信感が感じられた。

 何者だ……この人達は。

「ああ、そうだ。見かけが謝っていなければな。」

「そうか!それは良かった。」

 騎馬の人はそう言うと、仮面を外した。

 その下にはふっくらとした中年の優しいそうな顔があった。

 好々爺、という印象が相応しい。

「私の名前は武田蔵人というんだ。よろしく頼むよ。」

 武田さんはそう言って馬上で頭を下げる。

「光忍です。」「羽賀剛です。」「草薙牧人です。」「高田正樹です。」

 僕らはおずおずと自己紹介すると、武田さんは満足げに頷いた。

「良い子達だ。さすが、名教師だな。」

「うるせぇ。」

 中野先生はそっぽを向いて言った。どうやら、先生は武田さんのことが嫌いらしい。

 武田さんはクスリと笑うと背後を振り返って言った。

「立花、黒田、ミルシェ、サブリナ、後に乗せてやれ。」

「はっ!」

 武田さんの一声に背後にいた四人の騎兵は反応した。

「さぁ、忍さん。」

 僕が馬に近寄ると、一人が僕に手を差し伸べた。

 頷いてその手を掴んで馬の背に乗る。

「私は黒田と言います。」

「よろしくお願いします、黒田さん。」

「堅苦しくなくて結構です。」

「―――じゃあ、黒田君。」

 そう言い換えると、彼はフフッと笑った。

「分かりました。」

 一方、剛、ガルム、牧人も馬に乗せられていた。中野先生は武田さんの馬に乗っている。

「つ、剛君、お、お願いだから腰には……ひゃうっ!」

「ご、ごめん……。」

「このセクハラ!」

「ぎゃうっ!」

 ―――若干一名は無事でないようだが。

 武田氏は苦笑しながら手をすっと上げた。

「出るぞ!」

「はいっ!」


 騎馬隊はしばらく道を駆けていたが、道の先に町が見えると武田さんは手を上げた。

 それと同時に騎馬隊は馬を止めた。

「ん、どうしたんだ?」

 中野先生が武田さんに問うと、彼はうむ、と頷いた。

「怪しい。」

「あの町がか?普通の町ではないか。」

 先生の言う通りだ。僕は道の先に眼を凝らしながら頷いた。

 何も異常はない。煙一つもたっていない。

「念のため、うちの兵を数人残しておいたが……。」

「なるほど、炊煙がたっていないな……。」

「す、炊煙って?」

「炊事の時に生じる煙のことだよ。」

 剛と牧人の問答を聞きながら、僕はスッと剣の柄に手を滑らせた。

(どう思う?)

(―――確かにおかしいわね。)

 精霊はすぐに答えを返した。

(危機は避けて通るのが無難だと思うけど。)

 彼女はそう遠慮がちに言う。だが、僕の心は決まっていた。

「ここは助けに行くべきでは?」

「元より、そのつもりだ。」

 中野先生は唸ると、武田さんは頷いた。

「よし、立花、黒田、ミルシェ、サブリナは私と中野さんについて。他は町の裏に回り込んでくれ。」

「はっ!」

 六人の騎馬は素早く町の裏に馬を向けた。

 別動部隊が立ち去った後に武田さんは馬に鞭をやった。

 馬たちが駆けていく。


 町の中に入ると、町の真ん中は怪物達が占領していた。

「ナンダ、人間ガ来タゾ。」

「一人残サズ、地下牢ニ閉ジコメタハズダゾ。」

「構ウモノカ。捕ラエロ。逆ラウノデアレバ、殺セ。」

 ガーゴイルに似た造形だが、言葉を発するし、何より表面が石っぽい。

 神話で出てくるガーゴイルともまた違う。

 何なんだ?あれは。

 と、その途端、僕の乗っている馬が急に駆け出した。

「うわっ!」

 予期せぬ出来事に、僕は咄嗟に前に跨っている黒田君にしがみついた。

「うおおおおおお!」

 黒田君は大声を上げながらそのガーゴイルに向かって突っ込んだ。

「止めろ!黒田!迂闊に突っ込むな!」

 武田さんはそう叫ぶが、黒田君は止まらずにそのまま剣を突き出した。

 次の瞬間、黒田君は真上に弾き飛ばされていた。

「な!?」

 僕は驚きつつも剣を抜き払い、馬の手綱を握った。

 どう扱うかは知らないが……!

 僕は反射的に手綱を引くと、馬はその場で止まった。

 すると、その僕をガーゴイル達を包囲した。

 え……まずくね?

「大人シクシロ。サモナクバ、殺ス。」

「はい分かりました。大人しくします。」

 僕は剣を鞘に収めて両手を上げた。

 やっぱり、無駄な抵抗はよくないよね!

「貴様ラモ大人シクシロ。サモナクバ、コノ小僧ノ命ハナイ。」

「くっ……。」

 ガーゴイルの一匹が僕を馬から引きずり降ろして剣を突きつけると、そう高らかに宣言した。

 皆は歯噛みをする中、静かな術が聞こえた。

「雷陣、《雷撃》。」

 中野先生らがいる場所からびゅんっと何かが駆け抜けた。

 それは僕に剣を突きつけていたガーゴイルに違いもなく命中した。

「ぐっ……。」

 そのガーゴイルが倒れる。と同時に剣は吼えた。

(今よ!)

 僕はその声で我に返ると、腰の剣を抜いた。

 まだガーゴイルは仲間が打ち倒されたという認識がない。

 その隙に僕は印を組むと叫んだ。

「風陣、《青龍乱舞》!」

 一度、戦場で用いた術。それは記憶に残っている。

 次の瞬間、僕の全身から魔力があふれ出し、それは風となる。

 そしてその流れに従って僕は剣舞を舞った。

「ギアアアアアアアア!」

「ナンダ、コイツ……化ケ物カ!」

 剣の一薙ぎでガーゴイルは切り裂かれ、吹き飛ばされる。

 見る間に半分のガーゴイルが吹き飛ばされていた。

「今だ!畳み掛けろ!」

「うおおおおおおおおおっ!」

 武田さんの号令で待機していた皆が攻める。と共に裏手に回っていた別の部隊も合流して殲滅に掛かった。

 よし、後はあの一団。

 僕は視界にガーゴイルの集団を認知すると、そちらに剣舞をせむと地を蹴った。

 その瞬間、くらっと視界が揺れた。

(いけない!)

 精霊の声が耳に響く。

 と、その瞬間、ひどい目眩が僕を襲った。

 そして、視界が一気に暗くなった。


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