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家族のこと

数ある作品の中から、本作を選んでくださり、ありがとうございます!

5回くらいのエピソードとなる予定ですので、最後までお付き合い頂けると光栄です!

私の家は、他の家より裕福だった。

祖父母は医者で、母は細菌研究者。父は寄生虫学者だった。

私も研究の道に進みなさい、と言われているようなものだった。


私が七歳のとき、母は教えてくれた。


「詩織、細菌っていうのは、怖いものだけではないのよ。

だけど、怖いもの。っていうイメージが、世界に広まってるの。

詩織だって、そう思っていたでしょう?

だからね、詩織。 詩織は当たり前に囚われちゃだめよ。」


その言葉を、ずっと信じていた。

でも、今思えば ただの束縛でもあったのかもしれない。


実家の研究室は北向きで、夏でも薄暗かった。

母が原因不明の寄生虫で死んだ、高校二年の春。

私はその部屋に入ることをようやく許された。

以来私はそこで母の形見とともに、母を殺した原因をひたすらに研究していた。


家族は誰も止めなかった。

父はその寄生虫を私に持ち帰ってきてくれた。

本当はだめなはずなのに。

父は手伝おうとしてくれた。

世界に名を馳せる学者の父なら、既に解明できていたのかもしれない。

だけどそれは私が許せなかった。

父にすら頼りたくなかった。

私の大切な母親を殺した寄生虫を、この手で暴いてやると、心に決めた。


8月の終わり、私は一人で刺身を食べていた。

刺身の上で、白い糸が動いていた。


「なんだ、アニサキスか。」


箸をおいて、アニサキスを殺そうとした。


でも殺せなかった。


「ただのアニサキスじゃない」


と震えながらも声にしたと同時に、私は研究室へ動いていた。


冷凍庫で2日以上冷やしたはずなのに。

熱湯で1分以上加熱したはずなのに。

どうして君は生きているの。


「なにかがおかしい。

こんなはず、あっていいわけないじゃない」


声に出すことで、目の前の怪物を信じないようにした。

私は顕微鏡で何度も何度も観察した。


分かったことはひとつしか無かった。





「お母さんを殺した虫と、同じ虫だ」

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

また次回お会いしましょう!

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