再開
「ああああああああああああああああああ!!」
王子、ウォルの叫びが城下町にこだまする。
「俺の……俺の右腕!」
綺麗な断面からぼたぼたと血が滴る。
「次は左だ」
冷徹な声で、アムスはそう告げる。
「や、やめろ……!俺が悪かった!貴様の家族に手を出したりしない!だからどうか慈悲を…!」
「……………」
アムスは、ただ見つめる。
何をする訳でもなく、ただ見つめていた。
「答えを俺は最初に言ったはずだ」
そう言い、黒刀を振り上げる。
「全員殺す」
そして、ウォルの頭に黒刀を振り下ろす。
しかし、響いたのは金属音だった。
ジジッ…、と剣と刀が重なる
「そこまでだ、反逆者」
その声を聞き、アムスは目を見開く。
紅色の長髪、スラリとした体格、力強い声。
そして、女性ながらアムスの黒刀を受け止める力。
彼が知っている限り、そんな人物は一人しかいない。
「メルか?メルなのか…?」
「?、お前、なんで私の名前を知って——
彼女は顔を上げ、目を見開く
「アムス…おにぃ?」
瞬間、二人の剣に込めていた力が抜ける。
「ほんとにアムスおにぃなの?本物?」
声を震わせ、メルはそう聞く
「ああ、アムスお兄ちゃんだぞ」
その返事を聞いた瞬間、メルの目から涙がとめど無く溢れ出す。
「うぅ…….!アムスおにぃいいいいい!心配したんだよぉ〜〜!」
メルはアムスに抱きつく。
声を出して泣く彼女を、アムスはそっと抱き返した。
「団長!こちらアルファ部隊到着しまし………何やってるんですか⁈」
数人の剣を持った人物達がこちらを見るなりそう言う。
失礼だな、兄妹の感動の再開だぞ?
それから俺はメルにどうしてこうなったかを説明した。
「なるほど、つまりおにぃは本物に姫様に連れてこられただけなんだね」
「ああ、そうだ」
「で、ウォル様が間違えとおにぃを攻撃した、と…」
それを聞いていたウォルは声をあげる
「メル殿!こいつは王族である俺を侮辱し、さらに傷害行為までしました!」
「まさかあなたの兄上だからという理由で刑を軽くするおつもりじゃありませんよね?」
はぁ…もうだめだコイツ、自分の勘違いで始まった事なのにまるで自分が悪くない様なスタンスで話を勧めてくる。不快だ。
すると、ウォルはさらに口を開く
「これは王族命令だ!今すぐこの男を殺——
「それは困るなぁ」
次の瞬間、ウォルの真上に、まるで空間の裂け目の様なものが出現し、中から人が現れてる。
そいつはウォルを踏みつけ、彼の顔面は地面にめり込んだ。
「どおも、僕の名前はヴィルヘルム・クラウン」
「12使徒の一人、愛の裁きだ」
少年はそう言うと笑ってみせた