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「ラルト、下がってろ」


私の見た今までの彼では想像できない様な低い声が、そう告げる。


「なんだ?やるのかシスコン」


兵士の人がそう彼に挑発する。


すると彼が口を開く。


「魔力変化・黒刀」


直後、アムスの手から全て漆黒色の刀が出現する。


その刀は光すら映さず、ただひたすらに暗く沈んだ色をしていた。


アムスは刀を構える。


それを見た王子は言う。


「言っておくが、俺はウォール流剣術の免許皆伝だぞ?」


「で?それを聞いて俺がビビると思ったのか?」


アムスは真顔で答え、逆に問う


「お前は蝿の出す羽音に意味があると思う?」


「あ?」


「俺はないと思う、だって意味があった所で危機も恐怖も感じない、それはこちらからすれば意味がないのと同じだから」


「何が言いたい?」


「察しが悪いなつまり……」





「お前の言葉は俺に意味がないって事」





瞬間、王子は距離を潰す。


「ならあの世に行ってから理解すればいい!!」


彼の剣はアムスの首筋に迫る。


彼の剣は避けられない


正確に言えば避けられる、だが、完璧に避けられるタイミングは、剣の迫る0.1秒間のみ。


つまり、実質的に不可避なのだ。

アムスに剣が、迫る。


迫る。


迫る。


迫る。



「は?」




だが、届かない。


確かにその剣は確実にアムスを捉える間合いだった。


確実に殺した筈だった。


しかし、現実はそれを否定した。


アムスは避けたのだ。


あまりにも綺麗に、一寸の狂いもない完璧タイミングで。



全自動回避(フルオートアヴォイド)


アムスはそう呟いた。


「…なんだ今の技は?」


「技?これは技じゃない」


「そんな訳がないだろう!!」


王子は激怒する。


「なんの流派を使った!まさか魔法と言う訳ではあるまいな」


「そのまさかだよ、残念だったね」


「魔法?笑わせるな、護神でもなければあんなもので俺の剣術が躱せる訳がないだろ?」


「でも現に今躱わしただろ?」


「っ………!!」


「あんまり自分を過大評価しない方がいいよ?自信を失った後が大変だから」


「黙れ!!」


再び、彼は斬りかかる。


「一つ教えてあげる。剣術ってのはこういうのを言うんだ」


アムスが黒刀を振り下ろす。







刹那、王子の腕は宙を舞っていた。










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