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殺せばいい

「アムス様、着きましたよ?」


「う〜ん……」


俺は重い瞼を開ける、どうやら馬車の中で寝てしまったらしい。


「あ、やっと起きましたね」


ラルトは薄目を開けた俺にそう言う。


「すまん…寝てた?」


「はい、それはもうぐすっすり」


もう28歳だからな…朝5時起きはキツかったか?


そんな事を考えながらラルトと一緒に馬車を降りる。


「おぉ!!ここが王国!」


賑やかな市場、背の高い建物、そして色鮮やかな服を着る人々。


その奥に構える俺には縁がない様な巨大な城。


「改めて、ウォール王国へようこそ」


ラルトが笑顔でそう言う。


輝く様な場所では、より一層彼女の王女らしさが引き立てられていた。


「では参りましょうか」


そう言いながらラルトはくるりと城の方に体を向ける。


「行って…どこに?」


「決まってじゃないですか、お城ですよ」


「あ〜、お城か……お城ねぇ……お城…?お城⁈」


「はい、そうです」


「いや…あの…そこまで行くなんて聞いてな——


「では参りましょうか」


「おーい、無視しないで?」


「着いたら美味しい紅茶を淹れますね」


「だから無視しないでって!」


そんな事を言いながら俺とラルトは進む。


「着きましたよ」


「ねぇ…ほんとに行くの?」


「ここまで来たんですから、お茶だけでも」


「はぁ……わかったよ、でもお茶だけだからね」


「はい!」


そんな会話をしていると、鎧を着た男がこちらに向かってくる。


「あの…ラルト王女ですよね?」


そいつはラルトにそう質問する、いや、当たり前だろ王女だぞ?こいつら王女の顔知らないのか?


「………」


しかしラルトは答えようとしない


「おい、ラルト、聞かれてるぞ?」


「やはりラルト王女なんですね!おいお前ら!ラルト様が帰ってこられたぞ!今すぐ王に知らせろ!」


「は?え?ちょ…ラルト?どういう事?」


俺は状況が分からずラルトを見る。


「アムス様…」


すると俯きながら彼女は俺を呼ぶ


「逃げますよ!」


「なんで⁈」


ラルトは俺の手を掴み走る。


「あ!王女が逃げたぞ!追え!」


俺達は必死で逃げた、そしてなんとか逃げ切れる………訳がなかった。


一瞬で囲まれ、武器を向けられる。


すると、気品の良い服を着た人物が目の前に立つ


「俺の名前はウォル・ウォール、この国の王子だ」


「そこの男、妹を離して貰おうか」


最悪だ、どうやら王子様の目には、俺が妹を誘拐するように見えているらしい。


「いや、俺はラルトに連れてこられて…」


「妹がお前の様な男を連れてくる訳がないだろ、笑わせるな」


「いや…だからほんとに違——


「それに、貴様、今王女の声を呼び捨てにしていたな、不敬罪だぞ」


「いやいや、本当に違うってば!わざとじゃないよ!!」


「関係ない、不敬罪はこの町では重罪だ。お前は今この場で即刻処す」


そう言った瞬間、王子が剣を向け斬り掛かってくる。


「あっぶないなぁ⁈やめろよ!」


「なるほど、避けるか、だが次は当てる」


王子はさらにアムスに追撃を仕掛ける。


「ウォール流・舞斬り」


しかし、その攻撃はアムスに当たる事はなかった。


「何故当たらん」


ウォルはさらにギアをあげる。


だが、それでもアムスには当たらない。


「君程度じゃ俺は倒せないから、ね?だからやめよ?」


アムスがそう言うと王子はピタリと止まる。


決してアムスに悪意があった訳ではない、だかその言葉は王子のプライドを傷つけるには充分だった。


「貴様、家族はいるか?」


彼の突然の質問にアムスは一瞬戸惑うが答える。


「ああ、妹が5人いる」


すると、それを聞いたウォルの口がニヤリと歪む。


「そうか、知っているか?不敬罪の処罰方法?」


「?、いや、知らないな」


「なら教えてやる、処罰方法は……」


「対象者とその身内の人権剥奪だ」


「…………何が言いたい?」


「おや?察しが悪いな、お前は妹共々奴隷になるという事だ」


「……………」


「この俺を怒らせたんだ、お前の妹達を全員飼って、お前の前で恥辱を味合わせてやる事だってできるんだぞ?」


「……………」



「それが嫌ならさっさと詫びろ、額を地面に叩きつけて、惨めに許しを乞え」


「……………」


「なんとか言ったらどうだ?」


「……………」


時が止まったと錯覚するような静寂が広がる


そんな中、アムスが口を開く



「なら、お前ら全員殺せばいい」


アムスの目は光を失ってように暗く沈んだ色をしていた。











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