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6/11

どこ

「はぁ…お兄様は何処に行かれたのでしょうか…」


お兄様を探してもう3日、私達姉妹が総力を決して探しているが未だに見つかっていない。


「きっと今頃寒くて寒くて凍えているのでしょうか…うぅ……お兄様ぁ〜…」


リリアはそう口にすると泣き出してしまう。


「り、リリ…リリア様!!」


用心棒が慌てたように急にドアを開け入ってくる。


「なんですの…?レディーの部屋にノックもなしで入ってくるなんて…非紳士的ですわ。お兄様なら——」


「そのお兄様が見つかりました!」


「何ですって⁈」


リリアは一気に泣き止み、パァッと顔を晴らす


「ど、どこにいらしたのですか⁈」


「山小屋を降りてすぐの町で見かけたと証言が複数ありました!」


「やりましたわ!他の姉妹にも知らせてください、それと、今すぐ馬車の準備を!」


そう言うとリリアは出掛ける準備をしだす。


「しかしリリア様、この後重役会議が…」


「そんなもの出るわけないでしょう」


「で、ですが…」


用心棒は少し狼狽えながらも説得しようとする


「うるさいですわね…()()ますわよ?」


「いってらっしゃいませ!!」


「よろしいですわ」


リリアはそう言うと用意を済ませて部屋から出て行ってしまう。


「はぁ…まったくあの方はわからない……」


用心棒はヘナヘナとしゃがみ込んでしまう。


「最近は黒龍が再び襲来すると言う噂もあるのに………まぁ、あの人なら大丈夫か、一応この国の護神の一人なだし」




一方その頃アムスは……



「この先が待ち合わせ場所か…」


アムスは見慣れた様で変わった町を見渡しながら、例の王女との約束の場所を目指す。


「たく、大将め…俺がアムスって事なんでバラしたんだよ」


まぁ大将の事だから何か訳はあるんだろうけど…


俺は「ハァ」と小さくため息を吐く。


しばらく歩いた町の外れ、畑が地続きしている様な場所


そんな所には似合わない様な煌びやかな洋服を纏った少女が、俺を待っていた。


彼女は俺を見るなり顔をパァ、と輝かす。


その顔にある人物の面影を感じつつ、俺は彼女に近づく。


「来てくださったんですね!」


「まあ王女さんの頼みですしね」


「ありがとうございます、昨日はアムス様ご本人と知らずに失礼な事を…」


「別にいいですよ、隠してた俺も悪いですし」


俺は王女様とある程度会話をする。


すると、彼女がそわそわし出す。


「あの…どうかしました?」


体調が悪いのだろうか。


すると、彼女は少しもじもじと口を開く


「あの…わたくしの事は名前で呼んでいただけませんか?」


「え………いいのか?」


「はい、その方がお互い気が楽でしょうし」


「ほんとに大丈夫?言った瞬間俺の首飛んだりしない?」


「わ、わたくしを何だと思っていらっしゃるんですか!そんな事しません!」


「ならいいけど……じゃあこれからはラルトって呼ぶよ」


「はい!」


俺はラルトと一緒用意されていた馬車に乗る。


「では行きましょうか、王国に」


ラルトがそう言うと馬車が動き出す。


王国、そういえば行こうとは思ってたけど、実際に行くのは初めてだな、割と楽しみだ。


そんな事を考え、窓から変わっていく景色を俺は眺めていた。




だが、この時の俺は知らなかった


王国に、俺の義妹(いもうと)の一人がいるという事を。













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