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第191話 次なる一手 その2


「そうですね。魔王の協力を取り付けられれば、一番いいんですけど……」

「エイハーザヤの様子を見たろ。あれだといくら説明しても難しい。それはおそらくビアーゼボのほうも変わらねえだろう。だから、俺たちでなんとかするしかねえ」

「なんとか……あ、そうだ! もっさん!」

「もっさん?」


 黄さんが眉を顰める。


「魔王アスモデウスです。私たち、燦花……白雉国では、彼女の助力もあって、フェニ子を抑えることに成功したんです。たぶん事情を話せば……」

「はぁ……あのね、真緒。忘れたの? アスモデウス様は白雉国から出ることはできないのよ」

「あ、そうだっけ」

「まったく……」


 紅月がこめかみを人差し指で押さえた。


「……もっさん。あだ名か? それ?」


 黄さんが真剣な表情を崩すことなく私に尋ねてくる。

 私はそれに頷いて見せると――


「すげえな。魔王と友達か……」


 ドン引いているような、感心しているような、そんな微妙な表情で驚かれた。


 でも、そっか。

 あまりにももっさんがフレンドリーで疑問に思わなかったけど、〝魔王〟だもんね。

 私たち異世界人の感覚からしても、少し変に思ってしまう。


「も、もっさんはもっさんで、いい人……魔王ですよ」


 いちおう彼女のフォローはしておく。

 実際そうだからだ。


「いや、それは知ってるさ。俺だって、燦花には行ったことがあるからな」

「そうなんですか?」

「おう。男の夢だぜ、あそこは。ある程度旅慣れている野郎が行く、外国の観光地っていやあ、白雉国の〝燦花〟か〝スラット〟だからな」


 黄さんはそう言いながら、なにかを思い出しているのか、口角をだらしなく下げている。

 そしてそれを、紅月がゴミを見るような目で見ていた。


 たしかに私からするといまいちピンとこなかったが、男性からするとそうなのだろう。実際、あそこはかなり国際色が豊かだと思っていた。

 そう考えると、私が差し止めた彼女の出版も、白雉国にとっては大きな痛手かもしれない。

 けど、そもそもあの依頼はギルドから――


「まあ、魔王がそこまで悪い存在じゃないってのは知ってるが、そこまで気安いところを見るのもビビるよなって話だ」

「それは……」


 それに関しては、たしかに皆口を揃えていっている気がする。

 たしかにたまに、もっさんと話しているとゾクっと悪寒のようなものが走るときはあるが、それを含めて彼女はいいやつだ。


 ……でも、そう考えると今更だけど、たしかに妙ではある。

 他の人から語られるアスモデウスと、私が知っているもっさんとでは、あまりにも印象が乖離し過ぎている。


 私にだけ優しい魔王様。

 ……どんな乙女ゲーだよって話だ。


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