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第190話 次なる一手 その1


「ああ。それについてはいくつか、呂さんから仮説は聞いてある」

「呂さんからですか? それも仮説って……」

「これもすでに言ってあるが、俺は今回の件については、本当に断片的にしか聞いてねえんだ」


 たしかにそう言っていた。

 私は変なところで話を中断させてしまったことを詫びると、黄さんはそのまま話を続ける。


「まずは、実際におまえさんらが、黄龍と接点を持ったからだな」

「接点……」

「そうだ。一度、ボコボコにされて死にかけた。表現が合ってるかどうかは知らねえが……接点ではあるだろ?」

「ま、まあ、そうですね……」


 たしかに、これ以上わかりやすい接点はない。


「ですが、黄さんは接点を持っていませんよね?」


 紅月がすかさず疑問をぶつける。


「そう、ここからが最初に言っていた仮説にあたる部分だな」

「つまり、接点さえ持っていれば、世界から消えたとしても忘れないと?」

「ああ。それは確実だ。だから、俺も黄龍と接点を持っている……なんて、考えるかもしれんが、あいにくそんなもんはない」

「じゃあ……」

「仮説は二つある。で、まずはひとつめ。俺が〝勇者〟だからだ」


 黄さんはそう言って親指と人差し指を立てた。


「ご存知の通り、勇者ってのは既に次元の壁を、世界の壁を越えて、この世界に召喚された存在だ。おそらく、召喚の時点で、世界の書き換えに対する〝耐性〟ができた。だから、世界の認知が書き換わっても、その影響を受けない」

「なる……ほど……?」

「だが、もちろんこれに関しては、その事象の観測者が俺たち勇者しかいないため、事例が圧倒的に足りねえ。だから、なんとも言えねえんだ。これが」

「つまり、免疫があるから、同じ風邪にはもう罹らないんじゃないかと」

「ま、まぁ、その認識で合ってるとは思うが……風邪?」


 黄さんはしきりに首を傾げつつも、話を続ける。


「で、ふたつめ。〝祠〟の存在だ」

「祠。鳳凰祠ですか?」

「そうだ。だが、すこし違う。青竜も、白虎も、玄武も、どの祠もこの世界から、若干浮いてるんだ。それは、各祠を巡ってきたおまえさんらが、一番実感してると思うが……」

「そう……ですね。そもそも内観と外観で、広さからなにから全然違いますし」

「ああ。俺は鳳凰祠の中にいた。……呂さんに居ろと言われた。だから、影響を受けなかったとも考えられる」

「つまり、新年を迎えた瞬間にジャンプしていたから、年を越していない判定になると」

「……おまえ、なんか微妙な例えにハマってねえか? 反応に困るから、そういうのやめろ」

「す、すみません」

「……話はこっからだ」


 黄さんはそう言って腕を組み、椅子の背もたれにもたれかかった。


「誰も黄龍を……危険を、危険と認知できない世界で、俺たちが次にどう動くかだ」


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