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第181話 この世界の外


「黄龍が……消えた?」


 私と紅月の声が、ほぼ同時に重なった。

 だが、そんな偶然はどうでもいい。


「それは倒されたって、意味でいいんですか?」

「ちがう」


 私がそう尋ねると、黄さんは間を置くことなく首を横に振った。


「あー……そういうことじゃないんだ。黄龍は討伐されていない。だが、存在としては消えている」

「それはどういう……」

「それを今から説明する。……東雲たちをここへ転移させたのは、誰かわかってるよな?」

「は、はい。鳳凰を除く、三象の守護者たちですよね?」

「そうだ。だが、守護者は生物を転移させるなんて術は使えない」

「じゃあなぜ……?」

「守護者じゃなくなったからだ。鳳凰に吸収され黄龍の一部になった三象が、黄龍ごとこの世界から消えた。だからやつらは今や、本物の青竜であり、白虎であり、玄武だ。……名前は違うがな」

「じゃああの時、もうすでに黄龍は……」

「そうだ。現四象連中はその力を使い、東雲たちをこの鳳凰祠まで転移させた」

「なるほど。でも、消えたのに討伐されていないというのは?」

「それについてだが、もう会ってるかもしれないが、おまえさんらと入れ違うようにして、呂さんがそっちに行ったのは知ってるか?」


 そう言われ、巨鳥の背に乗っていた人のことを思い出す。


「やっぱり、あの方が……そうだ、じゃああの鳥は……?」


 なんとなくその鳥の正体に目星はついていたが、それはあくまでも予想。

 ダメ押しがほしかった私が、黄さんに尋ねてみるが――


「鳥?」


 その予想に反し、黄さんは小首を傾げる。


「いや、それは俺もよくわからねえ。実のところ、俺も今回の作戦についちゃ、俺の役割しか教えてもらってねえんだ。だから、あの人が何をしたいのかは、俺にもわからない」

「そうなんですか?」


 どういうことだろう。

 いちおうこうして黄さんが協力してくれているということは、黄さんは味方だということ。

 なら、呂さんも教えてあげればいいのにと思ってしまうが――


 とにもかくにも、今回のこの黄龍の騒動、呂さんはまず間違いなく何か知っている。

 今すぐにでも話を聞いてみたいが……またあそこへ行くとなると、身震いしてしまう。


「ただ、黄龍の暴走をどうにかしたいのは、俺も呂さんも同じだ。それに、呂さんがなにか準備していたと言ってたから、その鳥も、準備の一環なんじゃないのか?」


 そういえば、たしか黄龍は私たちが丹梅国にきてからのことを知っていた。

 しかし唯一、玄武祠での出来事は知らないようだったけど、あれは一体――


「話を戻そう。……その呂さんだが、いまあの人は黄龍と戦っている。それも、ここではない、別の世界でだ」


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