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第114話 消えた守護者


「あ、しまったな……」

「真緒?」

「ほら、青竜の祠では螭龍さんすぐ消えちゃって、色々訊けなかったじゃん?」

「たしかにそうね。百爪といい、守護者は用がなければすぐ消えてしまうのかしら?」

「いるよー」


 そんな軽薄な声とともに、また白金髪の男が現れた。


「いや、いるんかい」

「いるさ。いつまでも」

「じゃあなんで一旦消えたの?」

「そっちのほうがなんか神秘的っぽいでしょ? やるべきことを終えたら、風と共に去る」

「それじゃ出てこないままのほうがよかったんじゃ……」

「おいおい、勝手だなあ。それを承知で、こうして出てきてあげたのに」

「まぁ、それはありがたいけどさ……」

「それで、何か用かい?」


 百爪にそう尋ねられると、私は一度深呼吸をして、頭の中の順番を整えた。


「まず――あなたたち〝祠の守護者〟って結局、何者なの? 人間?」

「……キミたちが人間をどう定義しているかわからないけど、オレは人間ではないかなぁ」

「なんか、まわりくどいね」

「だってしょうがないよ。人間なんて曖昧だもの。……ま、ネタバラシするともう一柱の四象って感じかな」

「もう一柱の?」

「そう。えっと、どこから話すべきかな……神魔大戦は知ってるんだっけ?」

「うん」

「そのあと四神から四象へと貶められたことは?」

「うん、それも」

「で、その時、そこの鳳凰に異常があったのは?」


 百爪はそう言って、フェニ子を見た。


「残響種になったってやつだよね?」

「そうそう。結果、神魔大戦の余波で影響を受けたのは鳳凰だけだったんだけど、他の四象もそれを見て、ただ手をこまねいているだけじゃなかったんだ。きちんと有事に備えて、対策は取っていたんだよ」

「対策? それはどういう……?」

「戦争が終わった直後は、世界のなにもかもが不安定だったらしいよ。四象たちも、自分たちがいつ、どうなるか、わかってなかったみたいだね」

「対策……一柱……もしかして、あんたたち守護者って――」

「そう。俺たち守護者は、四象たちの予備なんだ。もし四象になにかあれば、俺たち守護者が四象になる」

「なるほど、そういう……」

「分霊とか写し身とか眷属とか、呼び方はいろいろあるけれど、オレたちはいちおう守護者を名乗ってる。今のところ四象も健在だし、やる事と言えば祠を守ることくらいだしね」

「なるほどね。……って、オレたち(・・)ってことは、やっぱり他の守護者のことも知ってたりするの?」

「いや、顔合わせは昔に一度だけかな。だから、名前と顔だけは知ってる。趣味とか、能力とか、そのほかは全然。もしかして、誰か気になる守護者でもいる感じ?」

「気になるっていうか、こうして各々の祠に守護者がいるって聞かされたあとに、違和感を持ったのは、やっぱり鳳凰かな。今のところ、あそこだけ誰もいなかったし」

「あそこは……どうだろうな。いちおう白虎はオレ、青竜は螭龍、玄武は玄冥(げんめい)って守護者がいるけど……鳳凰の祠は特に守護者とかいなかったような気が……」


 私は百爪の話を聞くと、改めてフェニ子を見た。


「どうフェニ子? 今までの話を聞いて、何か思い出した?」

「守護者についてか……まったく思い出せんのう」

「そっか。玉触らないとダメかな」

「あ、ちょっと待って。そういえば――」


 百爪が何かを思い出したように手をポン、と叩いた。


「白虎から聞いたことがあるよ。鳳凰にもそれっぽいのはいたって。名前はたしか――朱雀(すざく)


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