第106話 試練は麻雀で
「――うん、完璧」
百爪はそう言って、楽しそうに卓上の上の牌を眺めた。
それぞれ分担して作業を行ったため、同じ牌でも若干模様は違うが、136枚きっちり掘り終えた。
フェニ子は途中、飽きてどこかへ行ってしまったため、かなりの重労働だったが、こうして並べてみると壮観である。
満足だ。もう帰ってもいいかもしれない。
「ははは、なんか満足してない?」
顔に出てしまっていたのだろう。
百爪は私の顔を覗き込んで、呆れたように笑った。
「いちおう麻雀が試練だからね。悪いけど、まだすこし付き合ってもらうよ」
「それで、ルールはどうするのかしら?」
満足している私とは違い、紅月は麻雀に前向きのようだ。
私は少し離れた場所で、地面に絵を描いて遊んでいたフェニ子を呼び戻した。
「うーん、そうだねえ。持ち点は25000点で、飛びはなしにしよう」
「とび? ……って、あれ、もしかして麻雀って、点数とかあるの!? 上がったら終わりじゃないの!?」
私がそんなことを言うと、紅月がわかりやすく頭を抱えた。
せめてなんか言ってほしい。
「まぁまぁ、点数計算なんて出来なくても麻雀はできるからさ、気にしないでいいよ」
まさかここへきて守護者側にフォローされるとは思ってなかった。
「……けど、マイナスで終わったらペナルティもあるから、そこらへんは覚悟してね」
「えぇ……」
その笑顔が今は不穏すぎる。
守護者が与えるペナルティかぁ。
〝祠に入れなくなる〟……とかいう生易しいものにはならなさそうだ。
「……して、まあじゃんとはなんじゃ?」
フェニ子はしゃべると余計ややこしくなるから黙っててほしい。
「よし、じゃあ混ぜようか」
こうして、百爪の号令で麻雀の試練が始まった。




