第七節:蛊师有九转,花酒留遗藏
「あっという間に一週間が過ぎたね。さて、今日の授業を始めるぞ」
学堂の家老が教壇に立ち、熱く語り始めた。「人間は万物の霊長、蠱は天地のエッセンス。この世界には数えきれない種類の蠱が存在してる。鉱山の土の中、草原の草むら、はたまた獣の体内にだって潜んでるんだ」
教室に並ぶ57人の少年たちが目を輝かせる。蠱師の不思議で強力な話は、もう何度聞いてもワクワクするんだ。
「昔の賢人たちが蠱の秘密を解き明かしてな。体内に空竅ってスペースを開拓して、真元海ってエネルギーで蠱を飼ったり鍛えたり操ったりする──そうやって特殊能力を使う人々を、俺たちは蠱師って呼んでる」
家老が黒板をバン!と叩き、「お前たちも先週の開竅式で空竅を開いた立派な一转蠱師だ。胸張っていいぞ!」と言うと、少年たちの顔が一斉にほころんだ。
「質問がある人は?」学堂の家老が厳かな視線を巡らせた。挙手した少年が許可を得て立ち上がる:「家老様、蠱師の位階について教えてください!」
家老は頷きながら解説を始める:「蠱師の境界は一转から九转までの九段階。各転に初階・中階・高階・巔峰の四境がある。お前たちは皆一转初階だ」
生徒たちが前のめりになる中、家老は真元海と空竅の関係を黒板に図解:
丁等(20-30%):二转が限界
丙等(40-50%):稀に三转初階
乙等(60-70%):四转可能
甲等(80-90%):五转の潜在力
「六转以上は伝説の領域。我が古月一族でも五转が最高だ」と締めくくる。
生徒たちの視線が一斉に最前列の古月方正に集中。甲等の申し子が背筋を伸ばしている。しかし教室の隅では、古月方源が窓辺に頬杖をつき、陽光を浴びながら居眠り。
少年たちの囁き:
「甲等の方正さん…羨ましい」「あの角落の方源? 丙等なのに毎日寝てるらしい」「弟が天才で兄が凡人なんて…」
「ほら、まだ寝てるぞ。」誰かが小声で言った。
「一週間も寝続けてるのに、まだ立ち直れてないのか?」口を尖らせながら言う者もいた。
「それどころか、夜は外泊して村の周りをうろついてるらしいぜ」
「何度も見かけた人がいるんだ。夜な夜な酒の壺を抱えて、ベロンベロンに酔っ払ってるんだって。この頃は村の周りも安全になったから良かったものの」同級生たちがひそひそ話を広げていた。
「あーあ、ショックでかすぎだよな。天才って名前にしがみついてたのに、結局は丙等だったなんてね。はは」
「それだけならまだしも、実の弟が甲等判定されて脚光を浴びてるんだから。弟は天国で、兄は地獄ってわけだ。まったく……」
耳元で膨らむ噂話に、学堂家老は眉根にしわを寄せていた。
教室内では、少年たちは皆姿勢を正して座り、活気に満ちていた。そのため、机に突っ伏して寝ている方源の姿が一層目立って見えた。
「一週間が過ぎたというのに、まだこんなに落ち込んでいる。ふん、最初は見込み違いだったな。こんな奴が天才なわけがない!」家老は内心不愉快に思った。この状況について、彼は方源に何度も注意してきたが全く効果がなく、相変わらず我が道を行く態度に頭を悩ませていた。
「まあ、丙等の資質だ。この程度の挫折も乗り越えられないなら、育てても使い物にならん。家族の資源を無駄にするだけだ」家老は方源に失望を隠さず、代わりに甲等の資質を持つ弟の方正こそが家族が注力すべき存在だと確信していた。
家老は話を続けた:「我が族の歴史には多くの強者が現れた。中でも五転の域に達したのは二人。初代族長である我らの祖、そして四代族長だ。あの方は卓越した才能で五転蛊師にまで上り詰めたが、卑劣な魔頭・花酒行者の不意打ちがなければ、六転にまで至ったかもしれぬ…」
深いため息と共に、教室の少年たちは憤慨して叫び始めた:
「あの花酒行者、本当に陰険な奴だ!」
「四代様は寛大すぎて、若くして亡くなられた…」
「何百年か早く生まれていたら、あの魔物の醜い顔を暴いてやったのに!」
教室の隅で眠りから覚めた方源は、伸びをしながら内心呟いた:「花酒行者…いったいどこに遺産を隠したのか? ここ一週間、寨の周りをくまなく探したのに見つからん」。記憶では、二ヶ月後に失恋で酔っ払った族の蛊師が酒虫を追いかけ、地下洞穴で花酒行者の遺骸と秘宝を発見するはずだった。
「酒虫さえ見つかれば、族が支給する月光蛊よりずっと有用な本命蛊にできるのに。もう四月か…時は待ってくれん」方源は窓の外に視線を移した。青茅山特有の槍のように真っ直ぐな矛竹が春風に揺れ、新緑の芽吹きが彩雀の羽ばたきと共に広がっていた。
家老の最後の通告が響いた:「本命蛊を煉化する時だ。授業後、蛊室で蛊虫を選び、煉化成功まで修行せよ。最初に成功した者には二十枚の元石を授ける」。
教室中が歓声に包まれる中、方源の瞳だけが静かに輝いていた。「さて、どの蛊を選ぶべきか…」