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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第五十七節:君子の嘘

賈富かふなやんでいた。いま方源ほうげんへの嫌疑けんぎはほぼえ、賈貴かき黒幕くろまだと確信かくしんしていた。


「だが真実しんじつったところで、どうしようというんだ?」賈富かふむねいかりが渦巻うずまいた。「証拠しょうこなにもない。父上ちちうえ賈貴かき悪事あくじぐちしても、ぎゃくわなだとうたがわれるだけだ!」


)ひからせ方源ほうげんにらみつける:「方源ほうげん賈金生かきんせい殺害さつがいしていないとどう証明しょうめいする?」


まわりの家老かろうたちは呆然ぼうぜんとした。あきらかな賈家かけ内紛ないふんなのに、なぜぞくもの追及ついきゅうするのか?


古月族長こげつぞくちょうだけが眼光がんこうするどくした。


証人しょうにんはいるのか?おまえにアリバイはあるのか?なければおまえ犯人はんにんだ!」賈富かふ指差ゆびさす。


家老かろうたちは顔色かおいろえた。「ぞくもの生贄いけにえにしようというのか!ふざけるな!」


方源ほうげん内心ないしんわらっていた。(証人しょうにんなどとっくに手配てはいみさ)表面ひょうめん言葉ことばまった様子ようすつくげた。


ほか)わけはいい!あるのかないのか!」賈富かふ怒鳴どなりつける。


「…ない」方源ほうげんいしばってこたえる。


「ハハ!ならおまえは――」


て!」学堂家老がくどうかろうさえぎる。「かれには証人しょうにんがいる。このわたしだ!」


貴様きさまが?」賈富かふうたがぶかる。


しかり!」家老かろう四転よんてん賈富かふ気圧けおされながらも、族長ぞくちょう激励げきれいいさつ。「方源ほうげん中階ちゅうかい昇格しょうかくしたため、ひそかに行動記録こうどうきろく調査ちょうさしていた。犯行はんこう時間帯じかんたいすきはなかった!」


かげかくれた方源ほうげん口元くちもとゆるんだ。


賈富かふ顔面蒼白がんめんそうはくとなった。学舎がくしゃ介入かいにゅう古月一族こげついちぞく後押あとおし――この状況じょうきょうおも意味いみびていた。


「わかったぞ!わたしいっしん方源ほうげん生贄いけにえにしようとかんがえていたが、みずからの立場たちばだけをかんがえ、かれらの感情かんじょうかんがえていなかった。そのとおり、方源ほうげんつみこうむれば、古月一族こげついちぞく賈家かけ族人ぞくじん謀殺ぼうさつした悪名あくめい背負せおうことになる。今後こんご賈家かけ報復ほうふく直面ちょくめんし、名誉めいよきずつき、将来しょうらい商隊しょうたい取引とりひきなくなるだろう。その損失そんしつはあまりにも大きい!」


このてんおもいたり、賈富かふみずからのひたいたたきつけたくなるほどくやしがった。


古月こげつ高層こうそうまさにこのようなかんがえをいだいていた。


方源ほうげんたんなる丙等へいとうぎず、もし本当ほんとう賈金生かきんせいがいしたのなら、かれしても問題もんだいない。しかし肝心かんじんなのは、現在げんざいかれ嫌疑けんぎれたあとで、もしかれした場合ばあい古月一族こげついちぞく多大ただい不必要ふひつよう損失そんしつこうむるのではないかということだ。


この矛盾むじゅん調和ちょうわできないことをさとり、賈富かふいしばって徹底てってい決意けついした。かれくちひらいた:「それでは、足跡蠱あしあとこ使つかわせていただきたい。この使つかえば、地面じめんもっとちか三万歩さんまんぽ足跡あしあと表示ひょうじできる」


学堂家老がくどうかろう即座そくざ不愉快ふゆかいそうに「ふん」とはならした。


賈富かふのこの発言はつげんあきらかに自分じぶんしんじていないことをしめしていた。しかしかれには阻止そしする理由りゆうもなく、からだよこらしてみちゆずった。


検査けんさしてやれ!」方源ほうげん賈富かふひやややかにながら、あたまたかかかげてかれ面前めんぜんあるた。


かれは自信満々(じしんまんまん)だった。この要素ようそすで予測よそくしていたため、ここ数日すうじつ山寨さんさいない活動かつどうし、いわ秘洞ひとうにはまったちかづいていなかった。


古月こげつ高層こうそうきびしい監視かんしもと賈富かふ細工さいくろうすることができなかった。


足跡蠱あしあとこ形状けいじょう非常ひじょう特異とくいで、ひと片足かたあしのようだった。材質ざいしつ半透明はんとうめいこおったちちのようで、なめらかでやわらかい感触かんしょくがあり、表面ひょうめん黄緑色きみどりいろ蛍光けいこうはなっていた。


からだの大き(おおき)さはてのひらほどしかなかった。


賈富かふひらり、真元しんげん噴出ふんしゅつさせて足跡蠱あしあとこそそんだ。


足跡蠱あしあとこ次第しだいあかるくかがやき、突然とつぜん「パン」というかるおとてて爆散ばくさんし、大量たいりょう黄緑色きみどりいろ蛍光粉けいこうふんとなった。


蛍光粉けいこうふんは「ヒュー」とおとてて方源ほうげんつつみ、かれ周囲しゅうい一周いっしゅうまわると、議事堂ぎじどうおおきなとびらそとしていった。


蛍光粉けいこうふん通過つうかしたみちすじには、即座そくざ一連いちれん足跡あしあとあらわれた。


これらの足跡あしあとは全て(すべて)黄緑色きみどりいろ蛍光けいこうはなち、方源ほうげん両足りょうあし寸分すんぶんたがわないおおきさだった。まさにかれ議事堂ぎじどうはいったさい足跡あしあとである。


足跡あしあと族長ぞくちょう屋敷やしきからし、学堂がくどう宿舎しゅくしゃ到着とうちゃくしたあと学堂がくどう周辺しゅうへんをぐるぐるとまわり、さら山寨さんさい旅館りょかんたっしていた。


黄緑色きみどりいろ蛍光粉けいこうふんぶにつれて次第しだいり、最終的さいしゅうてき第三万歩目だいさんまんぽめ完全かんぜん消滅しょうめつした。


結果けっかあらわれると、人々(ひとびと)はけんまわり、即座そくざ方源ほうげん完全無欠かんぜんむけつ潔白けっぱくであることをった。


賈富かふふか嘆息たんそくし、ふところからちいさな玉箱たまばこを取りした。ふたけると、半透明はんとうめい翠色みどりいろ玉片ぎょくへんおさまっており、なか封印ふういんされていた。


竹節虫たけのふしむし姿すがたをしたこのは、碧玉へきぎょくのような細長ほそながからだ通常つうじょうてのひらおおきさだが、この個体こたいつめさきほどのながさで、表面ひょうめんしろかすかにひかっていた。


青玉せいぎょくからだ白華はっかまとう…竹君子ちくくんしだ!」家老かろう一人ひとりさけんだ。


古月族長こげつぞくちょう顔色かおいろいさめた:「賈殿かどの四転よんてんをここで使つか必要ひつようがござろうか?」


賈富かふくびり、方源ほうげんにらみつける:「この竹君子ちくくんしいしったさいたもの。誠実せいじつさをらい、うそ感知かんちする。生涯しょうがい一度いちどうそをつかぬ聖人せいじんでなければえぬ」


「まったく問題もんだいない」方源ほうげん玉片ぎょくへんり、衰弱すいじゃくした竹君子ちくくんし空竅くうこうおさめた。


竹君子ちくくんし空竅くうこうはいると緑光りょくこうはなち、真元海しんげんかいらしした。方源ほうげんうそけばいろわるのを感じったが――


春秋蝉しゅんじゅうせみ!」意識いしきますと、太古たいこ気配けはい竹君子ちくくんし圧倒あっとうした。ひかりおさふるがり、機能きのう停止ていしした。


賈富かふ質問しつもんはじまる:「方源ほうげん賈金生かきんせいころしたか?」


「いいえ」


かれに関する情報じょうほうは?」


らない」


いまはなし虚偽きょぎは?」


「ない」


竹君子ちくくんしを取りすと、依然いぜんとして翠色みどりいろのままだった。家老かろうたちは安堵あんどいきをついた。



家老かろうたちは安堵あんどいきをついた。賈富かふけわしい表情ひょうじょうやわらぎ、竹君子ちくくんし慎重しんちょうおさめながら古月博こげつはく拱手きょうしゅした:「今回は大変たいへん失礼しつれいいたしました」


かまいません。真実しんじつあきらかになれば本望ほんもうです」古月博こげつはくりながら歎息たんそくした。「ただ竹君子ちくくんししい…」


四転よんてん竹君子ちくくんしうそ見破みやぶ能力のうりょくを持つが、生涯しょうがい一度いちどうそをつかぬ聖人せいじんでなければ飼育しいくできない。真実しんじつ)らい、誠実せいじつな者の空竅くうこう必要ひつようがある。


いま解封かいふうされた竹君子ちくくんし衰弱すいじゃくしきっており、方源ほうげん使用しよう確定かくていしていた。


賈富かふてのひらうえいきえかけたながめ、しむ様子ようすもなくひく宣言せんげんした:「全力ぜんりょく)くしたがおよばなかった。帰還きかん鉄血冷てっけつれいやと真相しんそう)あばく。では」


そでひるがえ颯爽さっそう退出たいしゅつする賈富かふ背中せなか見送みおくり、古月博こげつはくふかいきいた:「みなかえってよい。…学堂家老がくどうかろうだけのこれ」


方源ほうげんごうきず)つかず族長邸ぞくちょうていあとにした。

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