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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第五十六節:嫌疑を完全に晴らす

解封かいふうしただと?」古月博こげつはく眉根まゆねを深くきざんだ。


「はい。いまとなってはかくとおせません!」方源ほうげん覚悟かくごめたように早口はやくち説明せつめいはじめた。「賭石場とせきじょう六個ろっこ紫金石しきんせき購入こうにゅうしましたが、真元しんげんきて五個目ごこめまでしか解封かいふうできず、最後さいご一個いっこ宿舎しゅくしゃに持ちかえりました。ひらいてみると酒虫さけむしあらわれ、資料しりょうんだとお資質ししつおぎなえる珍品ちんぴんだとり、即座そくざ煉化れんかしたのです」


て」家老かろう一人ひとりしんがたい表情ひょうじょうさえぎった。「六個ろっこ購入こうにゅうして蟾蜍がま酒虫さけむし同時どうじてたというのか?」


なん問題もんだいですか?」方源ほうげん当然とうぜんのごとく反問はんもんし、女蛊師おんなぐし指差ゆびさした。「彼女かのじょ証明しょうめいできます!」


場内じょうない視線しせん一斉いっせい女蛊師おんなぐしそそがれた。


圧力あつりょくかんじた女蛊師おんなぐし正直しょうじきこたえた。「たしかに六個ろっこ購入こうにゅうし、五個目ごこめ蟾蜍がまを、六個目ろっこめ未解封みかいふうのまま持ちりました。最終結果さいしゅうけっかわたしりません」


六個ろっこ二体にたいてるとは、これがうわさ強運きょううんか?」家老かろうたちがささやった。


理解りかいできぬか? 賭博とばくうんとはそういうものだ」

たれよ。煉化れんか容易よういだったというのか?」

耄碌もうろくしたか? 解封かいふう直後ちょくご衰弱すいじゃくしている。越級煉化えっきゅうれんか可能かのうだ」ととなり家老かろうこたえた。


方源ほうげんつづけて説明せつめいした。「翌日よくじつ酒屋さかや猴児酒こうじしゅ購入こうにゅうし、よる再訪さいほうしたさい賈金生かきんせいぞく蛊師ぐし偽物にせもの黒豚蛊こくとんぐけようとする詐欺さぎ現場げんば目撃もくげきしました。賈富かふさま仲裁ちゅうさいはい解決かいけつ)されました」


「その酒屋さかや偶然ぐうぜん賈金生かきんせい遭遇そうぐうし、酒虫さけむし価値かちたずねたところ、強引ごういん要求ようきゅう)けました。など毛頭もうとうなかったので、そのったのです」


方源ほうげん証言しょうげん賈家兄弟かけきょうだい確執かくしつ暴露ばくろし、家老かろうたちの視線しせん賈富かふあつまった。


重苦おもくるしい空気くうきなか賈富かふ咳払せきばらいをして眼光がんこうするどくした。「そのおとうと貴君きくんったか?」


方源ほうげん真実しんじつ虚構きょこうぜてこたえた。「五十元石ごじゅうげんせき上乗せしてせまってましたが、ことわると『古月一族こげついちぞくごとき』と罵倒ばとうし、おどしてりました」


賈富かふ内心ないしんうなずいた。おとうと性格せいかくかんがえれば、まさにあり展開てんかいだった。


正直しょうじきえ! 貴様きさま賈金生かきんせいころしたのだな!?」賈富かふ怒声どせいびせた。


方源ほうげん一貫いっかんして否定ひていつづけた。証拠しょうこ不十分ふじゅうぶんのまま、審議しんぎ膠着状態こうちゃくじょうたいおちいった。


古月博こげつ はくは話を聞くにつれ、次第に不機嫌な表情を浮かべた。この賈金生かきんせいめ、青茅山せいぼうざんで古月一族の者を脅すとは。明らかに我が一族を軽んじている!ましてや賈富かふが古月の高層部を前にして、このように古月族民を詰問するとは。確たる証拠があればともかく、肝心な物的証拠もない現状で、これが外部に漏れれば我が面子は丸潰れだ。


賈弟かていよ、余計な口出しと思うが」族長は賈富の詰問を遮り、「賈金生が行方不明になって既に数日、最早や凶事の可能性が高い。犯行があれば必ず痕跡が残るもの。何か新たな手掛かりはないか?」


賈富は方源ほうげんを鋭く睨みつけ、天を仰いで深い嘆息を漏らした:「兄貴の言う通りだ。もし証拠があれば、わざわざここまで来はしない。犯人は確信犯で、手口が残忍かつ周到。率直に申せば、全ての手がかりが途絶えておる。我々が去った日は大雨で、血の匂いさえ洗い流された」


古月博は淡く笑みを浮かべた:「賈弟、聞くところによると賈家には『冥路蝶めいろちょう』という追跡用のがおるそうだな。魂香こんこうを発し、蛊に仕掛ける。この香りは無色無臭で永続する。賈家族の蛊には皆この魂香が染み付いており、冥路蝶を使えば蛊の所在を突き止められるという」


賈富の顔が暗く沈んだ:「冥路蝶は既に試したが効果なし。古月兄もご存知の通り、蛊が死ねば魂香は消える。明らかに犯人は弟の蛊を全て破壊したのだ」


古月博は突然話の矛先を変えた:「では奇妙だ。犯人は弟君の蛊も奪わず、身代金の要求もなし。たかが一转蛊師を殺す動機がわからん」


重い沈黙が議事堂を包んだ。


賈金生の生死に関わらず、犯人には動機が必要だ。蛊でも金でもないなら、恋愛沙汰か? しかし情熱犯罪なら時間をかけた経緯が必要で、賈富がここまで来る道理はない。商隊の者たちこそが最も嫌疑をかけられるべきだ。


方源は人目につかぬよう周囲を見回し、突然賈富に向かって言い放った:「貴方が賈金生を殺したのでは? 賈家の財産分配で弟が亡くなれば、貴方の取り分が増えるという噂を耳にしたが」


「黙れ!」「根拠のない誹謗は許さん!」家老たちが即座に怒声を上げた。


方源は直ちに口を閉じたが、目元にかすかな光が瞬いた。既に目的は達成されていた。


彼の一言は小さな石が家老たちの思考の湖面に投げ込まれたようなものだった。波紋が広がるように、家老たちの思考が自然と広がり始めた:「賈富自らが弟を殺す道理はない。損失が利益を上回る。だが彼が手を下さねば、他の者が...」


「賈家の内紛ないふんか!」どこの誰かがひらめいたように呟いた。


その声は小さかったが、静寂の広間では明確に響き渡った。


家老たちの目が一斉に輝きだした。


「ようやく気付いたか」方源は口元を歪ませ、瞼を伏せて冷たい眼差しを隠した。


賈家かけ族長ぞくちょう家督かとく相続そうぞくひかえ、子女しじょたちははげしい後継こうけいあらそいをひろげていた。特に四転蛊師してんぐし賈富かふ賈貴かきは、それぞれ支持者しじしゃしたが対立たいりつしていた。


この数年間すうねんかん賈家かけ内情ないじょう周辺しゅうへん山寨さんさいでもひろわたっていた。


賈金生かきんせい殺害さつがい事件じけん不可解ふかかいきわまりない。方源ほうげん犯人はんにんだと立証りっしょうする直接ちょくせつ的な証拠しょうこ存在そんざいせず、酒虫さけむし目当めあての殺人さつじんでは動機どうき薄弱はくじゃくだ。ましてやこれほどの完璧かんぺき犯行はんこう手口てぐちは、少年しょうねん仕業しわざとはおもえぬ。


しかし賈貴かき暗躍あんやくと考えれば全て(すべて)が説明せつめい可能かのうだ。


居並いなら高位こういものたちは、政治せいじてき謀略ぼうりゃくたいする嗅覚きゅうかくするどい。「賈家内闘かけないとう」の四文字よんもじは、かれらの想像力そうぞうりょくつばさあたえた。


賈金生かきんせい商隊しょうたいくわえた族長ぞくちょう真意しんいは、賈富かふ兄弟きょうだい抑圧よくあつせず仁愛じんあいぶかいかをためすためだった。


賈金生かきんせい不測ふそく事態じたい賈富かふ失脚しっきゃくすれば、最大さいだい利益りえきるのは競合きょうごう相手あいて賈貴かきほかならない。


犯行はんこう完璧かんぺきさからも、老練ろうれん犯人はんにん存在そんざいうかがえる。15さい少年しょうねん可能かのうなわざではない。


全て(すべて)の答え(こたえ)は明白めいはくだ!


おも沈黙ちんもくつづ議事堂ぎじどうで、家老かろうたちは意味深いみしん眼差まなざしをわした。


ひとこころ確信かくしんけるには説得せっとくではなく誘導ゆうどうだ」方源ほうげん冷笑れいしょうむねめ、冤罪えんざいしの表情ひょうじょうくずさなかった。


賈富かふ顔色かおいろなまりのようにくもった。


賈家内闘かけないとう」の言葉ことばあたまかすめた瞬間しゅんかんかれたましいふるえた。賈貴かき以外いがい嫌疑けんぎけるものなどいない!


理解りかいした」学堂家老がくどうかろう方源ほうげんつぶやいた。「うんわる最終接触者さいしゅうせっしょくしゃとなっただけだ。この年齢ねんれい証拠しょうこ隠滅いんめつなど不可能ふかのうかれがここまで計算高けいさんだかければ、あんな反抗的はんこうてき態度たいどらぬ。酒虫さけむし存在そんざいかくすため虚勢きょせいっていたにぎん」


瞬時しゅんじ方源ほうげんへの嫌疑けんぎ霧散むさんした。


嫌疑けんぎらしは第二段階だいにかい本番ほんばんはこれからだ」方源ほうげん賈富かふ見据みすえ、計画けいかくどおりの展開てんかい内心ないしん嘆息たんそくした。


賈富かふもまた方源ほうげん凝視ぎょうししており、そのひとみけわしいひかりしていた。



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