表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
551/573

第一百四十六節:好好教育

()れと(いえ)星道流派(せいどうりゅうは)蛊師(こし)ではないが、()星蛊(せいこ)煉製(れんせい)すれば、星門(せいもん)(ひら)狐仙福地(こせんふくち)(つう)じる(うえ)(おお)きく寄与(きよ)するであろう。」


方源(ほうげん)心中(しんちゅう)に、(かす)かな喜悦(きえつ)(じょう)()かんだ。


(かれ)以前(いぜん)狐仙福地(こせんふくち)において星蛍蛊(せいけいこ)培養(ばいよう)多額(たがく)投資(とうし)をしていた。(さら)気泡魚(きほうぎょ)多数(たすう)(もち)いて、星蛍蛊(せいけいこ)生産効率(せいさんこうりつ)(とく)向上(こうじょう)させていた。


(しか)(たと)如此(かく)(ごと)くしても、星蛍蛊(せいけいこ)消費速度(しょうひそくど)(なお)(すみ)やか()ぎた。


星門(せいもん)(ひら)(たび)に、多量(たりょう)星蛍蛊(せいけいこ)(うしな)われた。(しこう)して星蛍蛊(せいけいこ)培養(ばいよう)するには、膨大(ぼうだい)時間(じかん)(よう)するのである。


北原(ほくげん)外界(がいかい)では、方源(ほうげん)(すく)なくとも一基(いっき)星門(せいもん)夜空(よぞら)星光(せいこう)()りて作動(さどう)させることができた。()るに王庭福地(おうていふくち)(いた)っては、此処(ここ)には星光(せいこう)存在(そんざい)せず、星門(せいもん)起動(きどう)する(たび)に、必然的(ひつぜんてき)により多量(たりょう)星蛍蛊(せいけいこ)消費(しょうひ)せざるを()なかった。


(しか)()星道威能増幅(せいどういのうぞうふく)専用(せんよう)()煉製(れんせい)すれば、一匹(いっぴき)星蛍蛊(せいけいこ)数匹(すうひき)(ぶん)効果(こうか)発揮(はっき)するようになり、消費量(しょうひりょう)数分(すうぶん)(いち)削減(さくげん)できる。


()れに()蛊方(こほう)(おも)興味深(きょうみぶか)い。発想(はっそう)主流(しゅりゅう)観点(かんてん)(こと)なり、地球(ちきゅう)の科学データ(かがくでーた)に(もと)づく類推(るいすい)(ごと)きである。詩仙(しせん)たる都敏俊(とびんしゅん)(かく)奇抜(きばつ)発想(はっそう)があったとは。」


方源(ほうげん)蛊方(こほう)から、詩仙(しせん)知恵(ちえ)一片(いっぺん)(うかが)()ったのである。


幾つ(いくつ)かの部屋(へや)をくまなく(さが)()えた方源(ほうげん)は、悠々(ゆうゆう)として元来(もとき)(みち)()(かえ)した。


都敏俊(とびんしゅん)正道(せいどう)蛊師(こし)であったため、()(のこ)した伝承(でんしょう)正道(せいどう)様式(ようしき)(のっと)り、試練(しれん)(ひと)つの関所(せきしょ)のみで、別段(べつだん)(むずか)しいものではなかった。


山頂(さんちょう)(もど)った(とき)には、衆人(しゅうじん)(こま)らせていた虫群(むしむれ)(すで)(おの)ずと()()になっていた。


常山陰様(じょうさんいんさま)(つい)にお()でに()りましたか!旦那様(だんなさま)其中(そのちゅう)で、(なに)()るものは()りましたでしょうか?」


潘平(はんぺい)陰鬱(いんうつ)面持(おもも)ちで即座(そくざ)(ちか)づいて()た。()意味(いみ)(あき)らかである――狼王様(ろうおうさま)(にく)()らう以上(いじょう)、我々(われわれ)にも多少(たしょう)(しる)()(あた)うべきだ、と。


「ははは、(きょう)しく狼王様(ろうおうさま)御出(ごしゅつ)(いわ)います。()伝承(でんしょう)()られて、(とら)(つばさ)()(ごと)くでございますな」


朱宰(しゅさい)拱手(きょうしゅ)して祝賀(しゅくが)()べたが、分配(ぶんぱい)(はなし)には(まった)()れようとしない。


方源(ほうげん)は淡々(たんたん)と(うなず)いた。「()伝承(でんしょう)詩仙(しせん)都敏俊(とびんしゅん)(もう)けたもの、(なか)には数多(あまた)貴重品(きちょうひん)(のこ)されている。各自(かくじ)自由(じゆう)取得(しゅとく)されよ。」


そう()()えると、天青万狼王(てんせいばんろうおう)()()わり、悠揚(ゆうよう)として空中(くうちゅう)浮上(ふじょう)した。


潘平(はんぺい)状況(じょうきょう)(おも)わしくないと()るや、(あわ)てて(さけ)んだ。「常山陰閣下(じょうさんいんかっか)!我々(われわれ)は散々(さんざん)苦労(くろう)して虫群(むしむれ)牽制(けんせい)を引き()け、貴方(あなた)伝承(でんしょう)精髄(せいずい)手中(しゅちゅう)(おさ)められた。慣例(かんれい)(したが)えば、(すく)なくとも幾許(いくばく)かの補償(ほしょう)(いただ)けるはずでは?」


補償(ほしょう)だと?」


方源(ほうげん)(おおかみ)(くび)()さえながら空中(くうちゅう)静止(せいし)し、(ふく)(わら)いとも()ややかな()みともつかぬ表情(ひょうじょう)で、眼前(がんぜん)単刀将(たんとうしょう)見下(みお)ろすように()つめた。


(なに)(のぞ)むというのか?」


方源(ほうげん)()いかけた。


潘平(はんぺい)無表情(むひょうじょう)要求(ようきゅう)した。「如何(どの)ような補償(ほしょう)かと(もう)しますと、(いま)すぐには(もう)()()ねます。旦那様(だんなさま)(よろ)しければ御手(おて)にされた伝承(でんしょう)(うち)()せて(いただ)き、(みな)評価(ひょうか)(いた)しとう(ぞん)じます」


「ふふふ……」


方源(ほうげん)一笑(いっしょう)すると、(おだ)やかな表情(ひょうじょう)潘平(はんぺい)(かた)りかけた。「其方(そちら)(のぞ)補償(ほしょう)とやらを、()れで()()すかどうか()てみよ」


そう()うや、(かれ)思惟(しい)ひとつ(めぐ)らすと、天青狼群(てんせいろうぐん)一斉(いっせい)潘平(はんぺい)(にら)み付け(つけ)、地上(ちじょう)より空中(くうちゅう)より(かれ)重重(じゅうじゅう)包囲(ほうい)した。


潘平(はんぺい)(いろ)(うしな)い、片手(かたて)金刀(きんとう)(つか)(にぎ)りしめ、驚愕(きょうがく)(こえ)()げた。「狼王様(ろうおうさま)(なに)()さるお()もりですか!?」


方源(ほうげん)(おおかみ)背中(せなか)端座(たんざ)したまま、足下(あしもと)単刀将(たんとうしょう)俯瞰(ふかん)し、(ひや)やかに嘲笑(あざわら)一声(ひとこえ)()らしただけだった。


「おおぅ――」


天青狼群(てんせいろうぐん)猛然(もうぜん)(うご)()し、潘平(はんぺい)目掛(めが)けて突撃(とつげき)開始(かいし)した。


潘平(はんぺい)驚愕(きょうがく)して顔色(かおいろ)(うしな)い、(みぎ)(ひだり)()(ひるがえ)し、(すべ)ての()()くして防戦(ぼうせん)した。


(かれ)四转巅峰(してんてんぽう)修行(しゅぎょう)(きわ)め、(たたか)いの(すえ)()(おこ)した。蛊虫(こちゅう)精良(せいりょう)多岐(たき)(わた)り、その戦闘力(せんとうりょく)以前(いぜん)(はる)かに凌駕(りょうが)していた。


(しか)天青狼(てんせいろう)は、普通(ふつう)野狼(やろう)ではない。一頭(いっとう)一頭(いっとう)(すく)なくとも百狼王(ひゃくろうおう)であり、つまり其々(それぞれ)の(からだ)多量(たりょう)野生蛊(やせいこ)寄生(きせい)していることを意味(いみ)する。


潘平(はんぺい)数頭(すうとう)天青狼(てんせいろう)()()せたものの、次第(しだい)(ふせ)()れなくなり、全身(ぜんしん)()()まり、危機一髪(ききいっぱつ)状況(じょうきょう)()()まれた。


狼王様(ろうおうさま)()れはあまりに横暴(おうぼう)ではありますまいか!()(わたくし)貴方(あなた)戦友(せんゆう)()()死地(しち)()()るお()もりですか!?」


(かれ)()(たて)()り、(こえ)()()げて抗議(こうぎ)した。


周囲(しゅうい)蛊師(こし)たちは如何(いか)すべきか途方(とほう)()れていた。


方源(ほうげん)横暴(おうぼう)さには反感(はんかん)(おぼ)えつつも、実力差(じつりょくさ)(おそ)れて口出(くちだ)しできずにいる。


狼王様(ろうおうさま)、どうか雷霆(らいてい)(ごと)(いか)りを(しず)めください。潘平(はんぺい)()(ほど)()らずな発言(はつげん)御無礼(ごぶれい)(はたら)いましたが、此方(こちら)(さま)(こう)(ちが)大人物(たいじんぶつ)(なん)とて(かく)(ごと)小輩(しょうはい)御見苦(みぐる)しい(あらそ)いをなさいまする?」


朱宰(しゅさい)(あわ)てて仲裁(ちゅうさい)()()った。


潘平(はんぺい)黒楼蘭(こくろうらん)()にいりの(しょう)であり、(すで)黒家(こくけ)(むか)()れられたと(つた)わる。もし(かれ)此処(ここ)()ねば、後日(ごじつ)黒楼蘭(こくろうらん)追及(ついきゅう)して(きた)場合(ばあい)常山陰(じょうさんいん)には手出(てだ)しできぬが、朱宰(しゅさい)には()からぬ結果(けっか)をもたらすだろう。


朱宰(しゅさい)黒家連合(こくかれんごう)参加(さんか)している以上(いじょう)当然(とうぜん)黒家(こくけ)(くみ)したいと考えている。


朱宰(しゅさい)()()苦労(くろう)も良い(よい)ところだ。()れは(べつ)(おこ)ってはおらぬ。」


方源(ほうげん)朱宰(しゅさい)に淡々(たんたん)と(わら)いかけたが、()(あやつ)天青狼群(てんせいろうぐん)攻勢(こうせい)(かえ)って激烈(げきれつ)さを()していた。


朱宰(しゅさい)焦燥(しょうそう)しつつ、方源(ほうげん)苛烈(かれつ)さにひそかに戦慄(せんりつ)した。


一方(いっぽう)潘平(はんぺい)最早(もはや)絶体絶命(ぜったいぜつめい)境遇(きょうぐう)(おちい)り、単刀蛊(たんとうこ)駆使(くし)して必死(ひっし)防戦(ぼうせん)するも、狼群(おおかみむれ)重囲(じゅうい)(やぶ)ることは(かな)わなかった。


狼王様(ろうおうさま)何卒(なにとぞ)御寛容(ごかんよう)を。潘平(はんぺい)(いま)にも()()かっております!」


朱宰(しゅさい)惶急(こうきゅう)面持(おもも)ちで、(ふたた)哀願(あいがん)した。


方源(ほうげん)()れを()けて(おもむ)ろに攻勢(こうせい)()め、朱宰(しゅさい)()かって嘆息(たんそく)()じりに()った。「ふう、()非情(ひじょう)なるにあらず。()後輩(こうはい)(あま)りに年長者(ねんちょうしゃ)への礼儀(れいぎ)()らぬ(ゆえ)よ。今日(きょう)(ひと)たび()らしめねば、後日(ごじつ)(てん)をも(ひるがえ)さんと(たくら)みかねん」


御尤(もっと)も、御尤(もっと)もでございます!旦那様(だんなさま)御訓示(ごくんじ)(いた)拝承(はいしょう)いたしました!」


朱宰(しゅさい)(あわ)てて(うなず)き、附和雷同(ふわらいどう)した。


方源(ほうげん)()()げるや、天青狼群(てんせいろうぐん)猛攻(もうこう)(またた)くに()み、(ゆる)やかに後退(こうたい)した。()しながら包囲網(ほういもう)()かれず維持(いじ)された。


外界(がいかい)からの圧力(あつりょく)()るや、潘平(はんぺい)其処(そこ)(くず)()ちた。


(かれ)全身(ぜんしん)()(まみ)れ、傷跡(きずあと)()()なく、(おお)きな(いき)()らして(あえ)ぎ、一対(いっつい)(ひとみ)には(うら)みを宿(やど)し、方源(ほうげん)直視(ちょくし)した。


方源(ほうげん)()(よう)()微笑(ほほえ)んだ。「(いま)納得(なっとく)いかぬ様子(ようす)であるな? ()懲罰(ちょうばつ)(ほど)()りぬ(ゆえ)か、朱宰(しゅさい)如何(いか)(おも)う?」


朱宰(しゅさい)全身(ぜんしん)(ふる)わせた。(かれ)方源(ほうげん)平静(へいせい)眼差(まなざ)しの(おく)(ひそ)殺意(さつい)明確(めいかく)(かん)()った。(あわ)てて()()りながら()った。「充分(じゅうぶん)でございます!潘平(はんぺい)(すで)十全(じゅうぜん)教訓(きょうくん)()ました。潘平(はんぺい)(はや)狼王様(ろうおうさま)謝罪(しゃざい)するのです!」


潘平(はんぺい)(こぶし)(にぎ)()め、()()(しば)り、数度(すうど)呼吸(こきゅう)(あいだ)沈黙(ちんもく)(つう)した(のち)(つい)()()じ、艱難辛苦(かんなんしんく)(てい)(くち)(ひら)いた。「狼王様(ろうおうさま)(わたくし)は……(あやま)ちを(みと)めます!」


(こころ)(うち)では咆哮(ほうこう)していた。「今日(きょう)屈辱(くつじょく)(かなら)ずや将来(しょうらい)倍返(ばいがえ)しして()せる!狼王(ろうおう)(おぼ)えておけ!()(わたし)(あなど)(とお)せると思うな!」


元来(がんらい)潘平(はんぺい)慎重(しんちょう)低姿勢(ていしせい)人物(じんぶつ)であった。(しか)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)での経験(けいけん)が、(かれ)(こころ)奥底(おくそく)(ねむ)(ほこ)りを()()ました。(とく)劉家(りゅうか)との大戦(たいせん)において、一度(いちど)三頭六臂(さんとうろっぴ)()(ころ)され、(のち)太白云生(たいはくうんせい)人如故蛊(じんにょここ)使(つか)って復活(ふっかつ)させた経験(けいけん)が、(かれ)をして()わらしめた。


()()して復活(ふっかつ)するという経験(けいけん)が、()性情(せいじょう)()えさせ、「天命(てんめい)()する(ところ)」という(かん)じを(いだ)かしめたのである。


規則(きそく)(したが)えば、()れは本来(ほんらい)伝承(でんしょう)獲得物(かくとくぶつ)確認(かくにん)する権利(けんり)がある。狼王(ろうおう)貴様(きさま)(あま)りに横暴(おうぼう)だ!今日(きょう)所業(しょぎょう)を、(かなら)後悔(こうかい)する(とき)()る!(いま)(つよ)いと(いえ)ども、()()れより数年(すうねん)(はや)修行(しゅぎょう)したに()ぎぬ。何時(いず)(かなら)()()き、()()し、今日(きょう)恥辱(ちじょく)倍返(ばいがえ)しして()せる!」


潘平(はんぺい)心中(しんちゅう)怒号(どごう)した。


方源(ほうげん)当然(とうぜん)(かれ)心中(しんちゅう)など()(よし)もなかった。(しか)方源(ほうげん)は、(かれ)(おも)いなど微塵(みじん)()りたいとは(おも)わない。


假令(たと)此場(このば)(かれ)(ころ)しても、黒楼蘭(こくろうらん)(なに)()うまい。(しか)()れは赤裸々(せきらら)な魔道(まどう)所業(しょぎょう)であり、()身分(みぶん)相応(ふさわ)しからぬ。()れに()計画(けいかく)には(なん)(えき)()い。(むし)()潘平(はんぺい)()かして(のち)(ため)()って()(ほう)が……」


潘平(はんぺい)()(もの)で、方源(ほうげん)()()まるのは単刀蛊(たんとうこ)(ひと)つだけだった。


しかし(いま)(かれ)(ころ)しても、()()()出来(でき)可能性(かのうせい)(ひく)い。


そこで方源(ほうげん)(くち)(ひら)いた。「其方(そちら)(あやま)ちを(みと)めたなら、本望(ほんもう)である。()善意(ぜんい)(つい)(つう)じたと()うことだ。後輩(こうはい)後輩(こうはい)らしく()るべきである。()れが(いま)理解(りかい)できたか?」


「理、理解(りかい)しました……」


潘平(はんぺい)()(つよ)()じ、()(あい)から(しぼ)()すように(こた)えた。内心(ないしん)怒涛(どとう)(ごと)渦巻(うずま)いていた。


方源(ほうげん)(ひや)やかに(わら)い、(かれ)感情(かんじょう)看過(かんか)できながらも、()えて指摘(してき)せず、(うなず)きながら(つづ)けた。「()かろう。()らば賠償(ばいしょう)()くぞ。其方(そちら)教育(きょういく)する(ため)に、()れは(すく)なからぬ代償(だいしょう)(はら)った。()よ、()()()らばる(おおかみ)(しかばね)(ゆう)十五頭(じゅうごとう)()るのだ。」


(なに)だと!?」


潘平(はんぺい)激怒(げきど)し、(まぶた)()()るように()けた。


「どうやら、其方(そちら)不承知(ふしょうち)のようだな?」


方源(ほうげん)は淡々(たんたん)と微笑(ほほえ)み、潘平(はんぺい)()()ろす視線(しせん)には(もてあそ)ぶような嘲笑(ちょうしょう)(いろ)(かく)さず、(あた)かも(ねこ)(ねずみ)(もてあそ)ぶが(ごと)くであった。


(わたくし)……承知(しょうち)いたしました!」


潘平(はんぺい)幾度(いくど)(ふか)(いき)()い、最期(さいご)には(うなず)いて応諾(おうだく)した。


「ふむ、()れでこそ後輩(こうはい)のあるべき態度(たいど)というものだ。」


方源(ほうげん)呵呵(かか)(わら)い、(いつく)しみ(ふか)(おだ)やかな笑顔(えがお)()かべた。(しか)周囲(しゅうい)(もの)()には、()笑顔(えがお)一層(いっそう)(おそ)ろしいものに(うつ)った。


(なに)()れも、旦那様(だんなさま)御指導(ごしどう)賜物(たまもの)でございます。」


朱宰(しゅさい)(そば)()びへつらうように(わら)った。


「ふむ、()ちろんの(こと)である。」


方源(ほうげん)は厚かましくも、()虚偽(きょぎ)()ちた追従(ついじゅう)(あま)すところなく()()れた。()(あと)一同(いちどう)見渡(みわた)して()(はな)った。「其方達(そちらたち)如何(いか)だ? ()(おし)えを()けてみたいか?」


衆人(しゅうじん)(あわ)てて「(おそ)()ります!」と答え、顔面(がんめん)蒼白(そうはく)となり、全身(ぜんしん)(ふる)わせ、(きも)()やしていた。


方源(ほうげん)哄笑(こうしょう)(はっ)(はつ)し、衆人(しゅうじん)面前(めんぜん)潘平(はんぺい)から、()()蛊方(こほう)数種(すうしゅ)蛊虫(こちゅう)数匹(すうひき)強請(ゆす)()った。


潘平(はんぺい)憤怒(ふんぬ)(あま)全身(ぜんしん)(ふる)わせた。方源(ほうげん)(えら)んだ蛊虫(こちゅう)は、(いず)れも(かれ)()組み(くみあ)わせの中核(ちゅうかく)()重要(じゅうよう)なものばかりで、()れらを(うしな)えば、()戦闘力(せんとうりょく)二段階(にだんかい)低落(ていらく)するのだった。


潘平(はんぺい)(もてあそ)()くした方源(ほうげん)は、満足(まんぞく)した様子(ようす)(おおかみ)(あたま)(かる)(たた)き、悠々(ゆうゆう)と空中(くうちゅう)浮上(ふじょう)した。「()くの(ごと)くで()かろう。其処(そこ)には(いま)(おお)くの良品(りょうひん)(のこ)されている。(いず)れも唯一無二(ゆいいつむに)(しな)ぞ。各自(かくじ)自由(じゆう)取得(しゅとく)されよ。」


(みな)()れを()いて、俄然(がぜん)活気(かっき)()いた。(おお)くの者が(こころ)の中で(おも)った:狼王様(ろうおうさま)(なさ)()るお(かた)ではある。(おお)きな()(ぶん)()にされるのは当然(とうぜん)であり、潘平様(はんぺいさま)(すこ)血気(けっき)(すぎ)ていたのではあるまいか。


方源(ほうげん)天青狼群(てんせいろうぐん)幾重(いくえ)にも(かさ)なる(かげ)地平線(ちへいせん)彼方(かなた)()()せるまで、一同(いちどう)(あし)()()勇気(ゆうき)()かった。


(ようや)星光(せいこう)小門(しょうもん)()かって(ある)()した(もの)たちは、年功序列(ねんこうじょれつ)(したが)い、朱宰(しゅさい)潘平(はんぺい)二人(ふたり)先頭(せんとう)()てた。


両名(りょうめい)()()小院(しょういん)(はい)ったが、発見(はっけん)できたのは都敏俊(とびんしゅん)創作(そうさく)した詩篇(しへん)のみであった。蛊虫(こちゅう)蛊方(こほう)(かん)しては、(すで)方源(ほうげん)によって完璧(かんぺい)収奪(しゅうだつ)され、(なに)ひとつ(のこ)されてはいなかった。


狼王様(ろうおうさま)()われた通り、(じつ)唯一無二(ゆいいつむに)貴重(きちょう)な品々(しなじな)でございますな」


朱宰(しゅさい)()にした詩集(ししゅう)(あお)()ながら、苦笑(くしょう)()()なかった。


一方(いっぽう)(すこ)しでも利益(りえき)()損失(そんしつ)()めようと期待(きたい)()せていた潘平(はんぺい)は、顔面(がんめん)蒼白(そうはく)となった。


ぷはっ——


突然(とつぜん)(かれ)(くち)から鮮血(せんけつ)()()し、()()憤慨(ふんがい)(あま)気絶(きぜつ)した。


数日後(すうじつご)


()速度(そくど)()けば、聖宮(せいきゅう)間近(まぢか)であろう」


天青万狼王(てんせいばんろうおう)()騎乗(きじょう)する方源(ほうげん)は、(ひと)推測(すいそく)(めぐ)らせていた。


(たちま)ち、()(ひとみ)(するど)(ひか)り、視線(しせん)地上(ちじょう)(ひと)(てん)()(そそ)がれた。


「あれ?()地形(ちけい)(なん)となく見覚(みおぼ)えが……もしかしすると……」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ