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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百四十四節:借力雪蝠御天青

()くして方源(ほうげん)(さら)(みっ)日間(かかん)飛行(ひこう)(つづ)けたが、地平線(ちへいせん)には(いま)聖宮(せいきゅう)(かげ)さえ()えない。


方源(ほうげん)(くら)(はか)った:「()れでは、(わたし)王庭福地(おうていふくち)進入(しんにゅう)した(のち)(きわ)めて遠方(えんぽう)転送(てんそう)されたようだ。()もなければ、()速度(そくど)三日(みっか)聖宮(せいきゅう)到達(とうたつ)できない(はず)()い。」


()道中(どうちゅう)方源(ほうげん)(すく)なからぬ蛊師(こし)凡人(ぼんじん)遭遇(そうぐう)した。


彼等(かれら)(みな)黒家連合(こくれんごう)成員(せいいん)であり、福地(ふくち)進入後(しんにゅうご)には、能力(のうりょく)ある(もの)中心(ちゅうしん)聖宮(せいきゅう)()かって集合(しゅうごう)し、能力(のうりょく)()(もの)(ちか)くの場所(ばしょ)(えら)んで定住(ていじゅう)している。


王庭福地(おうていふくち)(けっ)して安全(あんぜん)ではなく、大量(たいりょう)野生虫群(やせいちゅうぐん)凶禽猛獣(きょうきんもうじゅう)(ひそ)んでいる。


黒家軍(こくかぐん)到来(とうらい)は、此処(ここ)存在(そんざい)していた均衡(きんこう)()(やぶ)り、獣群(けものむれ)虫群(むしむれ)が元々(もともと)形成(けいせい)していた縄張(なわば)りを混乱(こんらん)(おとしい)れた。


()(ゆえ)に、衝突(しょうとつ)殺戮(さつりく)()けて(とお)れない。


しかし全体(ぜんたい)としての環境(かんきょう)は、北原(ほくげん)外界(がいかい)(おそ)暴風雪(ぼうふうせつ)よりも、数段(すだん)(まさ)っている。


方源(ほうげん)道中(どうちゅう)(いく)つもの殺戮後(さつりくご)光景(こうけい)目撃(もくげき)した。()場所(ばしょ)では(けもの)死骸(しがい)が累々(るいるい)と(よこ)たわり、(べつ)場所(ばしょ)では人間(にんげん)散乱(さんらん)する四肢(しし)砕骨(さいこつ)(ころ)がっていた。


王庭福地(おうていふくち)狐仙福地(こせんふくち)よりも、底知(そこし)れぬ(あつ)みを(ゆう)している。狐仙福地(こせんふくち)には天象(てんしょう)変化(へんか)存在(そんざい)しないが、王庭福地(おうていふくち)には()れが存在(そんざい)する。


(さら)に、王庭福地(おうていふくち)には(ひる)(よる)区別(くべつ)さえ存在(そんざい)するのである!


()(てん)凡人(ぼんじん)()には、(とく)(めずら)しいこととは(うつ)らないかもしれない。何故(なぜ)なら北原(ほくげん)外界(がいかい)にも同様(どうよう)(ひる)(よる)存在(そんざい)し、彼等(かれら)()れに()(した)しんでいるからだ。


(ただ)方源(ほうげん)(ごと)識者(しきしゃ)のみが、()(なか)(ひそ)貴重(きちょう)価値(かち)理解(りかい)()るのである。


福地(ふくち)において天象変化(てんしょうへんか)存在(そんざい)するだけでも、(すで)得難(えがた)特性(とくせい)である。(さら)昼夜(ちゅうや)区別(くべつ)存在(そんざい)するということは、()小世界(しょうせかい)深厚(しんこう)基盤(きばん)(ゆう)している証左(しょうさ)であり、(すく)なくとも宙道法则(ちゅうどうほうそく)がある程度(ていど)完備(かんび)されていることを(しめ)している。


一般(いっぱん)に、天象変化(てんしょうへんか)(ゆう)する福地(ふくち)第一等(だいひとつ)福地(ふくち)見做(みな)される。方源(ほうげん)狐仙福地(こせんふくち)は、(いま)天象変化(てんしょうへんか)(しょう)じていない。


(しこう)して昼夜(ちゅうや)区別(くべつ)(ゆう)する福地(ふくち)は、往々(おうおう)にして洞天(どうてん)特徴(とくちょう)なのである。


福地(ふくち)小世界(しょうせかい)であり、()(うえ)には(さら)完璧(かんぺき)小世界(しょうせかい)存在(そんざい)する。(すなわ)洞天(どうてん)である。


王庭福地(おうていふくち)(すで)洞天(どうてん)特徴(とくちょう)(そな)えており、準洞天(じゅんどうてん)見做(みな)して差支(さしつか)えない。琅琊福地(ろうやふくち)は元々(もともと)洞天級(どうてんきゅう)であったが、現在(げんざい)墜落(ついらく)し、今日(こんにち)(いた)るも昼夜(ちゅうや)区別(くべつ)存在(そんざい)しない。


やがて(よる)(とばり)()りた。


方源(ほうげん)(そら)(あお)ぐと、(かがや)ける金色(こんじき)(ようや)淡雅(たんが)銀色(ぎんいろ)へと()わっていった。


王庭福地(おうていふくち)昼間(ひるま)は、錦繍煌(きんしゅうきら)びやかな(こん)(てん)である。(よる)(いえど)暗黒(あんこく)()(つぶ)される(わけ)ではなく、銀燦々(ぎんさんさん)たる(よる)(とばり)(つつ)まれるのである。


方源(ほうげん)(そら)(なが)め、(かがや)かしい金色(こんじき)から淡雅(たんが)銀色(ぎんいろ)へと(おもむ)ろに()わっていくのを目撃(もくげき)した。


王庭福地(おうていふくち)(ひる)は、錦繍輝(きんしゅうかがや)かしい(こん)(てん)である。(よる)になっても、真っ(まっくら)(やみ)ではなく、銀光燦爛(ぎんこうさんらん)たる(よる)(とばり)(ひろ)がる。


高空(こうくう)飛行(ひこう)しながら、方源(ほうげん)天空(てんくう)変化(へんか)を目の(まのあ)たりにした。


銀色(ぎんいろ)(ひかり)()(そそ)ぐ。昼間(ひるま)金色(こんじき)(かがや)きや灼熱(しゃくねつ)はなく、(やさ)しいが、かすかに(するど)さを(ひそ)ませている。


方源(ほうげん)飛行速度(ひこうそくど)次第(しだい)(おそ)くなり、(かれ)下方(かほう)見下(みお)ろし、視線(しせん)(めぐ)らせた(のち)(ひと)つの(ゆる)やかな(さか)()つけた。


長年(ながねん)経験(けいけん)から、(かれ)はこの(ゆる)やかな斜面(しゃめん)良好(りょうこう)野营地(やえいち)となると(さと)った。


しかし、(いそ)いで着陸(ちゃくりく)しようとはせず、緩斜面(かんしゃめん)(かこ)むように中空(ちゅうくう)数度(すうど)旋回(せんかい)し、その()のこなしはあたかも(とり)のように悠然(ゆうぜん)()()びとしていた。


ついに、その緩斜面(かんしゃめん)安全(あんぜん)(たよ)りになると確認(かくにん)した(のち)(かれ)(はじ)めてゆるやかに降下(こうか)し、(たか)(つばさ)をたたんだ。


(ひろ)力強(ちからづよ)鷹翼(ようよく)は、漆黒(しっこく)(てつ)のごとくであった。方源(ほうげん)鷹揚蛊(ようようこ)駆動(くどう)()めると、(つばさ)無形(むけい)となり、漸次(ぜんじ)空中(くうちゅう)消散(しょうさん)した。わずか一二枚(いちにまい)黒羽(こくう)が、緩斜面(かんしゃめん)草地(くさち)()りばめられるだけとなった。


方源(ほうげん)(こころ)(うご)かし、蜥屋蛊(とかげやこ)起動(きどう)した。


瞬時(しゅんじ)一道(いちどう)奇光(きこう)(かれ)空竅(くうこう)から(ほとばし)()て、眼前(がんぜん)落下(らっか)した。


(ひかり)膨張(ぼうちょう)し、(はげ)しく(みなぎ)り、最終的(さいしゅうてき)には巨大(きょだい)大蜥屋蛊(だいとかげやこ)へと変貌(へんぼう)した。


蜥蜴(とかげ)大口(おおぐち)()け、(した)()()し、口内(こうない)(とびら)(あら)わにした。


()(した)緋色(ひいろ)絨毯(じゅうたん)()いた階段(かいだん)(ごと)く、方源(ほうげん)(やす)らかな足取(あしど)りで(のぼ)り、戸口(とぐち)自然(しぜん)(ひら)いた。(かれ)蛊屋(こや)(なか)(はい)ると、戸口(とぐち)(ふたた)自然(しぜん)()まり、同時(どうじ)蜥蜴(とかげ)大口(おおぐち)隙間(すきま)(ひと)つないほどに閉鎖(へいさ)された。


方源(ほうげん)旺盛(おうせい)精力(せいりょく)()(ぬし)ではあるが、所詮(しょせん)血肉(けつにく)(からだ)である。疲労(ひろう)がある程度(ていど)蓄積(ちくせき)すれば、適切(てきせつ)休息(きゅうそく)()らねばならない。()うしてこそ、充実(じゅうじつ)した精神(せいしん)戦闘態勢(せんとうたいせい)維持(いじ)できるのである。


きゃっきゃっきゃっ……


方源(ほうげん)蛊屋(こや)(はい)って()もなく、屋外(おくがい)から喧騒(けんそう)()こえてきた。


(かれ)()(ひから)せ、独り(ひとりごと)のようにつぶやいた。「()たして極楽雪蝠(ごくらくせっぷく)()れか……」


方源(ほうげん)はとっくに規則(きそく)見極(みきわ)めていた。白夜(はくや)転化(てんか)する(たび)に、天際(てんさい)から(かなら)大群(たいぐん)極楽雪蝠(ごくらくせっぷく)(あら)われるのだ。


極楽雪蝠(ごくらくせっぷく)全身(ぜんしん)(ゆき)のように純白(じゅんぱく)で、ふわふわとした体毛(たいもう)(おお)われている。普通(ふつう)蝙蝠(こうもり)(よう)醜悪(しゅうあく)さはなく、()外見(がいけん)(きわ)めて(いと)おしい。


()(しゅ)獣群(じゅうぐん)規模(きぼ)膨大(ぼうだい)で、各群(かくぐん)数十万(すうじゅうまん)単位(たんい)である。其中(そのなか)には多量(たりょう)獣王(じゅうおう)混在(こんざい)する。万獣王(ばんじゅうおう)(めずら)しくなく、(さら)には雪蝠獣皇(せっぷくじゅうこう)さえ存在(そんざい)する。


(たと)方源(ほうげん)現在(げんざい)二つ(ふたつ)の空窍(くうこう)()ち、四臂風王(しひふうおう)という殺招(さっしょう)(ゆう)していようとも、極楽雪蝠(ごくらくせっぷく)大群(たいぐん)には太刀打(たちう)ちできず、三舍(さんしゃ)()けるより(ほか)なかった。


極楽雪蝠(ごくらくせっぷく)空中(くうちゅう)でのみ()りを(おこな)い、風中(ふうちゅう)微粒子(びりゅうし)飛翔虫(ひしょうちゅう)捕食(ほしょく)する。大蜥屋蛊(だいとかげやこ)()食餌範囲(しょくじはんい)(がい)であるが、方源(ほうげん)慎重(しんちょう)()して、大蜥屋蛊(だいとかげやこ)缓斜面(かんしゃめん)背面(はいめん)移動(いどう)させた。


大蜥蜴(おおとかげ)(くび)()(みみ)()せ、()(ちぢ)めて(まる)くなる。高空(こうくう)から見下(みお)ろせば、(あた)かも巨岩(きょがん)(ごと)風貌(ふうぼう)である。


方源(ほうげん)寝台(しんだい)(よこ)たわり、(ねむ)りについて()もなく、屋外(おくがい)極楽雪蝠(ごくらくせっぷく)鳴声(なきごえ)は、何故(なぜ)(きゅう)()(ぱく)して喧騒(けんそう)(きわ)め、()(なか)には(おおかみ)遠吠(とおぼ)えも()じっているように(おも)われた。


何事(なにごと)だ?」


方源(ほうげん)()物音(ものおと)(おど)き、()見開(みひら)くと、寝台(しんだい)から()()がり窓辺(まどべ)(ある)()った。


銀色(ぎんいろ)夜帳(よるとばり)(なか)二団(ふただん)獣群(けものむれ)(たが)いに(から)()()()っている。


雪白(ゆきじろ)()れは規模(きぼ)膨大(ぼうだい)で、極楽雪蝠(ごくらくせっぷ)()れである。一方(いっぽう)青墨色(せいぼくしょく)()れは天青狼(てんせいろう)一群(いちぐん)で、(かず)蝠群(ふくぐん)ほど(おお)くはないが、(きわ)めて勇猛精悍(ゆうもうせいかん)で、(いき)()った連携(れんけい)()せている。


雪蝠群(せっぷぐん)数多(あまた)いるが、狼群(ろうぐん)攻撃(こうげき)(まえ)(みじ)めな死傷(ししょう)(かさ)ねている。


方源(ほうげん)(かす)かに(まゆ)()げ、(すこ)驚異(きょうい)表情(ひょうじょう)()かべた。


極楽雪蝠(ごくらくせっぷ)本来(ほんらい)天青狼(てんせいろう)()ける習性(しゅうせい)がある。()(よう)正面衝突(しょうめんしょうとつ)(じつ)(めずら)しい光景(こうけい)だ。」



天青狼(てんせいろう)は、荒獣天狼(こうじゅうてんろう)血脈(けつみゃく)()いているため、()まれながらにして幼獣(ようじゅう)空中(くうちゅう)浮遊(ふゆう)できる。成体(せいたい)となれば、()天賦(てんぷ)(さい)最大限(さいだいげん)()かし、縦横無尽(じゅうおうむじん)天空(てんくう)()(めぐ)るのである。


天青狼(てんせいろう)(きわ)めて精鋭(せいえい)で、(ほか)凡庸(ぼんよう)狼群(おおかみむれ)とは一線(いっせん)(かく)す。天青狼群(てんせいろうぐん)においては、一頭(いっとう)一頭(いっとう)(すく)なくとも百獣王(ひゃくじゅうおう)実力(じつりょく)(ゆう)する。()規模(きぼ)(おお)きくないが、戦力(せんりょく)絶大(ぜつだい)である。(ただ)如何(いか)(つよ)獣群(けものむれ)(いえど)も、(とき)洗礼(せんれい)塵世(じんせ)激動(げきどう)には(あらが)(がた)い。


現在(げんざい)北原(ほくげん)(そら)では、天青狼(てんせいろう)姿(すがた)()にすることは(まれ)である。天青狼(てんせいろう)は益々(ますます)稀少(きしょう)となり、(すで)非常(ひじょう)(めずら)しい存在(そんざい)()している。


しかし、北原(ほくげん)最大(さいだい)福地(ふくち)として、王庭福地(おうていふくち)()(ほど)規模(きぼ)(おお)きな天青狼群(てんせいろうぐん)生息(せいそく)しているのも、別段(べつだん)(おどろ)くには()りない。


狼群(おおかみむれ)(たたか)えば(たたか)(ほど)勇猛(ゆうもう)さを()し、蝠群(こうもりむれ)(ようや)(ささ)えきれなくなり、数万頭(すうまんとう)蝠屍(ふくし)(のこ)して狼狽(ろうばい)しながら退却(たいきゃく)した。


天青狼群(てんせいろうぐん)減員(げんいん)(きわ)めて(すく)なく、大半(たいはん)天青狼(てんせいろう)地面(じめん)()()ち、(あたた)かい蝠屍(ふくし)()らい()いた。


(なお)一部(いちぶ)天青狼群(てんせいろうぐん)半空中(はんくうちゅう)浮遊(ふゆう)し、四方(しほう)見渡(みわた)しながら警戒(けいかい)(おこた)らなかった。


方源(ほうげん)心中(しんちゅう)(うご)いた:「王庭福地(おうていふくち)進入(しんにゅう)して以来(いらい)()狼群(おおかみむれ)()()りになっている。王庭福地(おうていふくち)広大(こうだい)で、一時的(いちじてき)()れらを召集(しょうしゅう)するのは(むずか)しい。()天青狼群(てんせいろうぐん)到来(とうらい)(じつ)時宜(じぎ)()ている。飛行能力(ひこうのうりょく)があり、()速度(そくど)()いつける(うえ)護衛(ごえい)(にな)ってくれる。今後(こんご)蝠群(こうもりむれ)遭遇(そうぐう)しても、(じか)突破(とっぱ)すれば()い。」


丁度(ちょうど)その(とき)数頭(すうとう)天青狼(てんせいろう)方源(ほうげん)大蜥屋蛊(だいとかげやこ)発見(はっけん)包囲(ほうい)して(ちか)づいてきた。


方源(ほうげん)(じか)蛊屋(こや)から()()し、大蜥屋蛊(だいとかげやこ)(おさ)めると、高空(こうくう)にいる万狼王(ばんろうおう)()けて突進(とっしん)した。


狼群(おおかみむれ)即座(そくざ)()()ち、四方八方(しほうはっぽう)から方源(ほうげん)襲撃(しゅうげき)する。


しかし、()()めて(はら)()たした天青狼(てんせいろう)(うご)きが(にぶ)く、戦意(せんい)一段(いちだん)(ひく)まっている。方源(ほうげん)にとって、()れは万狼王(ばんろうおう)服従(ふくじゅう)させる絶好(ぜっこう)機会(きかい)であった。


方源(ほうげん)(ひや)やかに一笑(いっしょう)すると、左右(さゆう)縦横(じゅうおう)()(めぐ)り、空中(くうちゅう)自在(じざい)(ひるがえ)った。飛行大師(ひこうたいし)としての技量(ぎりょう)は、天青狼(てんせいろう)たちをして(かれ)(うし)(じん)()わしめるのみであった。


標的(ひょうてき)とされた()万狼王(ばんろうおう)は、(ほか)二頭(にとう)とは(こと)なり、先程(さきほど)戦闘(せんとう)では最前線(さいぜんせん)突撃(とつげき)していたため、自身(じしん)負傷(ふしょう)し、野生蛊(やせいこ)(すく)なからず(うしな)っていた。方源(ほうげん)(ひそ)かに観察(かんさつ)(つづ)けており、()身上(しんじょう)野生蛊(やせいこ)詳細(しょうさい)()(あく)していた。


万狼王(ばんろうおう)眼前(がんぜん)(おど)()方源(ほうげん)は、即座(そくざ)四臂風王(しひふうおう)殺招(さっしょう)発動(はつどう)容赦(ようしゃ)なく殴打(おうだ)(あらし)()びせた。


不運(ふうん)()万狼王(ばんろうおう)は、方源(ほうげん)猛攻(もうこう)呆然(ぼうぜん)とさせられた。


方源(ほうげん)瞬時(しゅんじ)五转驭狼蛊(ごてんぎょろうこ)駆動(くどう)し、()屈服(くっぷく)させた。


一旦(いったん)方源(ほうげん)麾下(きか)帰順(きじゅん)するや、()一声(ひとこえ)(なが)()()げ、(またた)()天青狼群(てんせいろうぐん)三分(さんぶん)(いち)同調(どうちょう)して叛旗(はんき)(ひるがえ)した。


方源(ほうげん)長笑(ちょうしょう)(はな)った。狼群(おおかみむれ)包囲攻撃(ほういこうげき)を受け(うけ)ながら万狼王(ばんろうおう)屈服(くっぷ)させるのは危険(きけん)(きわ)めたが、一旦(いったん)成功(せいこう)した(いま)状況(じょうきょう)一変(いっぺん)した。


狼群(おおかみむれ)()にしたことで、戦局(せんきょく)瞬時(しゅんじ)逆転(ぎゃくてん)する。


方源(ほうげん)操縦(そうじゅう)のもと、狼群(おおかみむれ)左右(さゆう)縦横(じゅうおう)()(めぐ)り、見事(みごと)二頭目(にとうめ)天青万狼王(てんせいばんろうおう)包囲(ほうい)した。


野生(やせい)狼群(おおかみむれ)激怒(げきど)して(おそ)いかかるが、方源(ほうげん)配下(はいか)狼群(おおかみむれ)防衛線(ぼうえいせん)(きず)き、自身(じしん)防護(ぼうご)する。(みずか)らは万狼王(ばんろうおう)(げき)しく()(むす)ぶ。


一服(いっぷく)(ちゃ)(あじ)わうほどの(みじか)時間(じかん)で、方源(ほうげん)見事(みごと)にも二頭目(にとうめ)天青万狼王(てんせいばんろうおう)屈服(くっぷ)させることに成功(せいこう)した。


戦局(せんきょく)はここに(さだ)まる!


(のこ)された最期(さいご)一頭(いっとう)万狼王(ばんろうおう)()状況(じょうきょう)目撃(もくげき)するや、(あわ)てふためいて配下(はいか)()れ、(みじ)めな()(あし)()げた。


方源(ほうげん)()止血(しけつ)し、全身(ぜんしん)(きず)手当(てあ)てを(ほどこ)した。戦場(せんじょう)(すこ)整頓(せいとん)すると、大蜥屋蛊(だいとかげやこ)(おさ)め、野営地(やえいち)(うつ)した。


()緩斜面(かんしゃめん)から発散(はっさん)する濃厚(のうこう)血腥(ちなまぐさ)気配(けはい)は、すぐさま次々(つぎつぎ)と獣群(けものむれ)()()せた。()方源(ほうげん)此処(ここ)(とど)まっていたなら、()()ない襲撃(しゅうげき)(なや)まされたことであろう。


二里(にり)ほど(はな)れた場所(ばしょ)二刻(にとき)ほど休憩(きゅうけい)()った(のち)(かれ)(つばさ)(ひるがえ)し、(たび)再開(さいかい)したのである。


しかし、今回(こんかい)(まえ)の日々(ひび)とは(こと)なり、方源(ほうげん)周囲(しゅうい)には二頭(にとう)天青万狼王(てんせいばんろうおう)(かこ)み、三十八頭(さんじゅうはっとう)千獣王(せんじゅうおう)二百五十六頭(にひゃくごじゅうろくとう)百獣王(ひゃくじゅうおう)(したが)い、その(いきお)いは(じつ)浩大(こうだい)であった。


()くして(たび)(つづ)けること六日(むいか)、いつの()にか(とき)()()った。


()過程(かてい)において、方源(ほうげん)は三ヶ(さんかしょ)伝承(でんしょう)相次(あいつ)いで発見(はっけん)した。(しか)(いず)れも小規模(しょうきぼ)伝承(でんしょう)であり、(かれ)()には収穫(しゅうかく)無視(むし)できる程度(ていど)のものだった。


特筆(とくひつ)すべきは、狼群(おおかみむれ)強化(きょうか)されたことである。元々(もともと)二頭(にとう)いた天青万狼王(てんせいばんろうおう)に、(さら)一頭(いっとう)(くわ)わった。()れにより、方源(ほうげん)麾下(きか)における天青万狼王(てんせいばんろうおう)(かず)三頭(さんとう)という(たか)(かず)(たっ)したのである。


王庭福地(おうていふくち)は、正真正銘(しょうしんしょうめい)宝地(ほうち)である。内部(ないぶ)には膨大(ぼうだい)獣群(けものむれ)生息(せいそく)し、北原(ほくげん)外界(がいかい)では(めず)しい天青狼(てんせいろう)でさえ、此処(ここ)ではありふれた存在(そんざい)だ。


天青狼(てんせいろう)以外(いがい)にも、方源(ほうげん)道中(どうちゅう)夜狼(やろう)風狼(ふうろう)亀甲狼(きっこうろう)朱炎狼(しゅえんろう)といった(おおかみ)()れを次々(つぎつぎ)と麾下(きか)(おさ)めた。


元来(がんらい)此等(これら)(おおかみ)(みな)(かれ)配下(はいか)であったが、王庭福地(おうていふくち)進入(しんにゅう)した(さい)()()りにされてしまった。方源(ほうげん)再集結(さいしゅうけつ)できたのは、()(なか)一部(いちぶ)()ぎない。









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