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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百三十三節:挑将

ざあっと──


水色(みずいろ)激流(げきりゅう)(ほとば)しり()る。吊睛猛虎(ちょうせいもうこ)一声(いっせい)()えて、雷鳴(らいめい)(ごと)(ひび)きを爆発(ばくはつ)させた。


()れぞ四转(してん)虎吼蛊(ここうこ)


虎吼(ここう)音波(おんぱ)空気(くうき)激震(げきしん)させ、肉眼(にくがん)()える(さざなみ)(しょう)じる。音波(おんぱ)激流(げきりゅう)衝突(しょうとつ)し、()れを()(くだ)いて漫天(まんてん)大雨(おおあめ)()した。


成虎(せいこ)吊睛猛虎(ちょうせいもうこ)変身(へんしん)して以来(いらい)攻勢(こうせい)絶倫(ぜつりん)となり、(またた)く間に縦横捭闔(じゅうおうはいこう)気象(きしょう)(しめ)した。


虎吼蛊(ここうこ)音波(おんぱ)爆発(ばくはつ)させ、虎爪蛊(こそうこ)鋭利(えいり)(きわ)まり無端(むたん)虎皮蛊(こひこ)防御(ぼうぎょ)卓絶(たくぜつ)


虎牙蛊(こがこ)(やり)(ごと)(するど)く、貫通(かんつう)して()()るい、虎尾蛊(こびこ)鋼鉄(こうてつ)(むち)(ごと)(かた)く、如意(にょい)(ふり)(まわ)す!


変化道(へんかどう)蛊師(こし)は、殺招(さっしょう)完成(かんせい)させるため、対応(たいおう)する蛊虫(こちゅう)収集(しゅうしゅう)する。一旦(いったん)蛊虫(こちゅう)(そろ)い、形態(けいたい)変化(へんか)可能(かのう)となれば、戦力(せんりょく)質的変化(しつてきへんか)的な飛躍(ひやく)()げる。


無論(むろん)変化形態(へんかけいたい)強力(きょうりょく)であればある(ほど)対応(たいおう)する蛊虫(こちゅう)の組み(くみあ)わせは価値(かち)(たか)く、収集(しゅうしゅう)困難(こんなん)となる。


(たと)蛊師(こし)変化(へんか)できたとしても、多量(たりょう)訓練(くんれん)必要(ひつよう)である。人間(にんげん)元来(がんらい)二本足(にほんあし)直立歩行(ちょくりつほこう)し、一頭(いっとう)両腕(りょううん)を持つ生物(せいぶつ)である。(こと)なる形態(けいたい)変化(へんか)すれば、違和感(いわかん)(おぼ)えるのは自然(しぜん)反応(はんのう)である。


飛行(ひこう)同様(どうよう)に、大量(たいりょう)訓練(くんれん)(くわ)えて天性(てんせい)(さい)()ければ、変化後(へんかご)形態(けいたい)習熟(しゅうじゅく)させることはできないのである。


蛊師(こし)には()(やしな)い、(もち)い、()るという三大(さんだい)領域(りょういき)がある。()れこそが「用蛊(ようこ)」の奥深(おくふか)さである。


両軍(りょうぐん)とも視線(しせん)陣前(じんぜん)集中(しゅうちゅう)させている。


浩激流(こうげきりゅう)成虎(せいこ)激闘(げきとう)は、(まさ)山場(やまば)(むか)えていた。


成虎(せいこ)殺招(さっしょう)発動(はつどう)吊睛大虎(ちょうせいだいこ)へと変身(へんか)、がっちりと優位(ゆうい)(かた)めた。水魔浩激流(すいましょうげきりゅう)回避(かいひ)(しゅ)とし、従来(じゅうらい)狂放的(きょうほうてき)攻勢(こうせい)から一転(いってん)(あわ)ただしい(かぎ)りであった。


(しか)(とき)経過(けいか)(とも)に、戦況(せんきょう)依然(いぜん)として膠着状態(こうちゃくじょうたい)(おちい)っている。成虎(せいこ)巨大(きょだい)優位性(ゆういせい)(ゆう)しながらも、()優位(ゆうい)決定的(けっていてき)勝利(しょうり)へと転換(てんかん)できずにいる。


馬家軍(ばかぐん)将兵(しょうへい)大多数(だいたすう)(なお)歓声(かんせい)()げる(なか)馬家(ばか)王帳(おうちょう)在座(ざいざ)する(もの)らは(みな)(まゆ)をひそめていた。「(こま)ったな、()水魔(すいま)狡猾(こうかつ)だ。成虎(せいこ)(あぶ)ない」。馬英傑(ばえいけつ)(くち)(ひら)いた。


同席(どうせき)していた強者(きょうじゃ)たちも、同意(どうい)するように(かろ)(うなず)いた。


殺招(さっしょう)強力(きょうりょく)ではあるが、(じつ)複数(ふくすう)蛊虫(こちゅう)同時(どうじ)駆動(くどう)するものである。()(ため)真元(しんげん)消耗(しょうもう)数倍(すうばい)加速(かそく)する。(ゆえ)蛊師(こし)にとっては諸刃(もろは)(つるぎ)なのである。


成虎(せいこ)殺招(さっしょう)発動(はつどう)したが、水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)戦闘経験(せんとうけいけん)(きわ)めて豊富(ほうふ)で、強引(ごういん)攻撃(こうげき)スタイルを一変(いっぺん)した。成虎(せいこ)短時間(たんじかん)水魔(すいま)(たお)せなければ、真元(しんげん)(そこ)()いた(さい)には人型(ひとがた)(もど)らざるを()ない。()(とき)こそ、水魔浩激流(すいまこうげきりゅう)大反攻(だいはんこう)(はじ)まるのである。


馬尚峰(ばしょうほう)顔面(がんめん)平静(へいせい)(よそお)っていたが、胸中(きょうちゅう)には暗雲(あんうん)()()める思いであった。


()以往(いおう)ならば、成虎(せいこ)成否(せいひ)(かれ)(なん)(かか)わりも()かった。(しか)(いま)成虎(せいこ)勝敗(しょうはい)最早(もはや)個人(こじん)(こと)ではなく、全軍(ぜんぐん)士気(しき)(かか)わる重大事(じゅうだいじ)となっていた。


馬家(ばか)(すで)二連敗(にれんぱい)(きっ)しており、馬尚峰(ばしょうほう)(ふか)認識(にんしき)していた——馬家(ばか)帰順(きじゅん)した(かく)部族(ぶぞく)(こころ)には、(すで)動揺(どうよう)(きざ)しが(しょう)じているということを。


馬家軍(ばかぐん)馬家(ばか)中核(ちゅうかく)とし、(ほか)各部族(かくぶぞく)補助(ほじょ)する連合軍(れんごうぐん)である。一旦(いったん)人心(じんしん)動揺(どうよう)すれば、状況(じょうきょう)危険(きけん)(おちい)る。


馬尚峰(ばしょうほう)当然(とうぜん)成虎(せいこ)敗北(はいぼく)座視(ざし)する(わけ)にはいかなかった。


しかし戦況(せんきょう)依然(いぜん)として膠着(こうちゃく)し、成虎(せいこ)敗北(はいぼく)可能性(かのうせい)次第(しだい)(たか)まる(なか)馬尚峰(ばしょうほう)心中(しんちゅう)(あん)(ぜん)嘆息(たんそく)する(ほか)なく、「費生成(ひせいせい)」と()()けた。


費生成(ひせいせい)(ただ)ちに(れつ)()て、右掌(うしょう)(むね)()てて(れい)()り、「配下(はいか)只今(ただいま)参上(さんじょう)しました」と(こた)えた。


第二陣(だいにじん)貴様(きさま)(まか)せる」と馬尚峰(ばしょうほう)()(はな)った。(ほど)なくして(おとず)れる成虎(せいこ)敗北(はいぼく)影響(えいきょう)払拭(ふっしょく)すべく、(かれ)費生成(ひせいせい)(のぞ)みを(たく)したのである。


費生成(ひせいせい)(また)一騎当千(いっきとうせん)猛将(もうしょう)であった。


元来(がんらい)費家(ひけ)では排擠(はいせい)()け、不遇(ふぐう)(かこ)っていた。馬家(ばか)()(すき)()じて離間(りかん)工作(こうさく)仕掛(しか)け、(かれ)内応者(ないおうしゃ)として(かか)()んだ。費家(ひけ)内乱(ないらん)による政変(せいへん)弱体化(じゃくたいか)した瞬間(しゅんかん)()いて急襲(きゅうしゅう)決行(けっこう)し、費家(ひけ)併合(へいごう)したのである。


費生成(ひせいせい)馬家(ばか)帰順(きじゅう)して以来(いらい)英主(えいしゅ)(めぐ)()い、幾度(いくど)戦功(せんこう)()げ、手厚(てあつ)育成(いくせい)()けてきた。


即座(そくざ)(かれ)陣頭(じんとう)()()り、声高(こわだ)かに罵詈(ばり)()びせた。


()たるは費生成(ひせいせい)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)以来(いらい)(すで)四转强者(してんきょうじゃ)八名(はちめい)()()てた。前回戦(ぜんかいせん)では麻木蛊(まもくこ)(もっ)て、単身(たんしん)同級强者(どうきゅうきょうじゃ)(さん)(めい)(わた)()い、驚嘆(きょうたん)すべき(いくさ)ぶりを()せた。」


黒家(こくけ)王帳(おうちょう)孫湿寒(そんしつかん)説明(せつめい)する。(かたわ)らでは耶律桑(やりつそう)(つめ)たい表情(ひょうじょう)()かべていた。


狈君子孫湿寒(はいくんしそんしつかん)()う「前回戦(ぜんかいせん)」とは、(まさ)馬家(ばか)耶律連合軍(やりつれんごうぐん)との(たたか)いであった。結果(けっか)耶律桑(やりつそう)敗北(はいぼく)し、馬家軍(ばかぐん)追撃(ついげき)され、(ほとん)孤軍(こぐん)孤城(こじょう)(おちい)った。元来(がんらい)耶律桑(やりつそう)帰属(きぞく)していた祁連(きれん)(など)諸部族(しょぶぞく)は、最終的(さいしゅうてき)馬家(ばか)(くだ)ったのである。


麻木蛊(まもくこ)四转(してん)珍稀蛊(ちんきこ)であり、()価値(かち)五转(ごてん)匹敵(ひってき)する。一旦(いったん)蛊師(こし)()れに(あた)れば、全身(ぜんしん)麻痺(まひ)し、(ほとん)身動(みうご)きが()れなくなる。持続時間(じぞくじかん)(みじか)いが、激烈(げきれつ)戦闘(せんとう)では(きわ)めて致命(ちめい)的な手段(しゅだん)である。


黒楼蘭(こくろうらん)は「うむ」と一声(ひとこえ)()らし、視線(しせん)左右(さゆう)()きながら()うた。「誰人(たれひと)出戦(しゅっせん)できるか?」


()言葉(ことば)()わらぬ(うち)に、一人(ひとり)(ほが)らかな(わら)(ごえ)()げ、群衆(ぐんしゅう)から(おど)()()った。「費生成(ひせいせい)など(たい)した(もの)では()い!此方(こなた)(すす)んで出戦(しゅっせん)し、貴殿(きでん)覇業(はぎょう)(ため)一切(いっさい)障害(しょうがい)()(きよ)めましょう!」


黒楼蘭(こくろうらん)()()らして()れば、(ほか)ならぬ単刀将(たんとうしょう)潘平(はんぺい)であった。


潘平(はんぺい)以前(いぜん)劉家三兄弟(りゅうけさんきょうだい)殺招(さっしょう)()()ぜられたが、戦後(せんご)太白云生(たいはくうんせい)人如故蛊(じんじょこ)(すく)()かされた。(かれ)のみならず、高揚(こうよう)朱宰(しゅさい)同様(どうよう)救済(きゅうさい)されている。


()し、其方(そち)()かせよう。」


黒楼蘭(こくろうらん)(うなず)許諾(きょだく)した。


()大戦初期(たいせんしょき)であれば、(かれ)潘平(はんぺい)(ひょう)しなかっただろう。しかし十余(じゅうよ)(いくさ)()て、潘平(はんぺい)月日(つきひ)(かさ)ねるごとに、裴燕飛(はいえんひ)匹敵(ひってき)する(つよ)(もの)へと急成長(きゅうせいちょう)()げていた。


費家(ひけ)小童(しょうどう)め、其方(そち)一族(いちぞく)裏切(うらぎ)栄誉(えいよ)(むさぼ)無恥(むち)()()ぎぬ。生き(はじ)(さら)(つづ)ける()(いのち)(いま)すぐ()()りに()い!」


潘平(はんぺい)戦場(せんじょう)()つや、罵声(ばせい)()ばし、戦意(せんい)(たぎ)()がった。


費生成(ひせいせい)(おお)いに(いか)(くる)った。(みずか)らの来歴(らいれき)(あざけ)られることほど、(かれ)(きら)うものは()かった。「魔道(まどう)野種(やしゅ)め!其方(そち)()(まわ)って()られたのは、(たん)()(はい)()わなかったからだ!」


瞬時(しゅんじ)両者(りょうしゃ)(はげ)しくぶつかり()った。


一瞬間(いっしゅんかん)にして場面(ばめん)火爆(ひばく)し、優劣(ゆうれつ)つけ(がた)様相(ようそう)となった。(まさ)好敵手(こうてきしゅ)邂逅(かいこう)(もう)すべき(たたか)いぶりである。


(じつ)()えば、()二人(ふたり)境遇(きょうぐう)非常(ひじょう)似通(にかよ)っている。王庭争覇戦(おうていそうはせん)初期(しょき)双方(そうほう)とものびのびと(こころざし)()()ずにいた。潘平(はんぺい)魔道蛊師(まどうこし)として流転(るてん)()(かえ)し、費生成(ひせいせい)一族(いちぞく)抑圧(よくあつ)()けて壮志(そうし)()ばせなかった。


(しか)此度(こたび)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)によって、両者(りょうしゃ)名声(めいせい)鵲起(じゃっき)し、(たたか)いの中で(いえ)(おこ)し、実力(じつりょく)飛躍的(ひやくてき)向上(こうじょう)()げたのである。


かつての潘平(はんぺい)は、唯一(ゆいいつ)良蛊(りょうこ)として単刀蛊(たんとうこ)(ゆう)するのみであった。しかし(いま)(かれ)戦功(せんこう)によって蛊虫(こちゅう)を次々(つぎつぎ)と獲得(かくとく)し、其身(そのみ)(そな)わる()豪華絢爛(ごうかけんらん)として精緻(せいち)(きわ)め、戦力(せんりょく)飛躍的(ひやくてき)向上(こうじょう)した。もはや以前(いぜん)のように単刀蛊(たんとうこ)(ひと)つで大局(たいきょく)(ささ)えるという状況(じょうきょう)ではない。


費生成(ひせいせい)状況(じょうきょう)(おお)きく(ちが)わない。


以前(いぜん)一族(いちぞく)(なか)排擠(はいせい)()けていた(かれ)は、基本(きほん)的な蛊虫(こちゅう)(そろ)っていたものの、強力(きょうりょく)手段(しゅだん)()けていた。(かれ)もまた戦場(せんじょう)利益(りえき)()戦功(せんこう)()み、五转蛊(ごてんこ)匹敵(ひってき)する麻木蛊(まもくこ)換得(かんとく)した。これが元々(もともと)()っていた蛊虫(こちゅう)と組み(くみあ)わさり、戦力(せんりょく)瞬時(しゅんじ)暴騰(ぼうとう)したのである。


両者(りょうしゃ)姿(すがた)は、(から)()いながらも、(たが)いに牽制(けんせい)()っている。


潘平(はんぺい)費生成(ひせいせい)麻木蛊(まもくこ)警戒(けいかい)し、費生成(ひせいせい)(つね)潘平(はんぺい)単刀蛊(たんとうこ)(そな)えを(おこた)らなかった。


単刀蛊(たんとうこ)について()えば、これは潘平(はんぺい)幸運(こううん)であったと()える。何故(なぜ)なら()()蛊師(こし)空窓(くうどう)身体(しんたい)では()く、湾刀(わんとう)寄宿(きしゅく)している(ため)である。


潘平(はんぺい)爆散(ばくさん)した(あと)も、単刀蛊(たんとうこ)だけは奇跡的(きせきてき)生存(せいぞん)した。


後に(のちに)太白云生(たいはくうんせい)潘平(はんぺい)蘇生(そせい)させた(とき)(かれ)(もと)蛊虫(こちゅう)(ほとん)全滅(ぜんめつ)していたが、(さいわ)潘平(はんぺい)多量(たりょう)戦功(せんこう)保有(ほゆう)しており、以前(いぜん)から使用(しよう)せずに()っておいたのである。


しかし高揚(こうよう)朱宰(しゅさい)については、そこまでの幸運(こううん)()かった。


彼等(かれら)殺害(さつがい)された(あと)()蛊虫(こちゅう)は全て(すべて)失墜(しっつい)してしまった。(なか)でも最大(さいだい)遺憾(いかん)は、高揚(こうよう)五转波雲詭譎蛊(ごてんはうんききつこ)までもが()れに(ともな)(ほろ)()ったことであった。


五转人如故蛊(ごてんじんじょこ)人体(じんたい)にのみ作用(さよう)し、蛊虫(こちゅう)蘇生(そせい)させることはできない。


しかし二人(ふたり)心境(しんきょう)平穏(へいおん)であった——復活(ふっかつ)できたこと自体(じたい)(すで)(おお)きな(さいわ)いだと(さと)ったのである。


後日(こうじつ)二人(ふたり)戦功(せんこう)前借(まえか)りによって、基盤的(きばんてき)蛊虫(こちゅう)をほぼ(おぎな)(そろ)えた。数度(すうど)大戦(たいせん)()て、()りた戦功(せんこう)完済(かんさい)したのみならず、剰余金(じょうよきん)まで(しょう)じるに(いた)った。


二組(にくみ)四转强者(してんきょうじゃ)激闘(げきとう)は、衆人(しゅうじん)視線(しせん)釘付(くぎづ)けにした。


馬家(ばか)費生成(ひせいせい)潘平(はんぺい)拮抗(きっこう)するを()て、(さら)六名(ろくめい)猛将(もうしょう)前後(ぜんご)()()けた。


黒楼蘭(こくろうらん)(ひと)(ひと)(おう)じ、裴燕飛(はいえんひ)高揚(こうよう)朱宰(しゅさい)らを次々(つぎつぎ)と派遣(はけん)して対処(たいしょ)した。


第六(だいろく)対戦組(たいせんぐみ)(たたか)(はじ)めた(とき)成虎(せいこ)(つい)敗退(はいたい)した。水魔浩激流(すいましょうげきりゅう)追撃(ついげき)する(ちから)()く、(かれ)無事(ぶじ)撤退(てったい)するのを見送(みおく)るしかなかった。


黒家軍(こくかぐん)士気(しき)一瞬(いっしゅん)高揚(こうよう)したが、()もなく第三(だいさん)対決(たいけつ)馬家軍(ばかぐん)勝利(しょうり)し、(ふたた)局面(きょくめん)拮抗(きっこう)(もど)った。


両軍(りょうぐん)は続々(ぞくぞく)と強者(きょうじゃ)投入(とうにゅう)し、陣前(じんぜん)には三十余(さんじゅうよ)戦圏(せんけん)形成(けいせい)された。


(すなわ)ち、七十人近(ななじゅうにんちか)くの四转蛊師(してんこし)相対(あいたい)していたのである!これは(じつ)浩大(こうだい)光景(こうけい)だった。広大(こうだい)北原(ほくげん)には数十億(すうじゅうおく)人口(じんこう)がいるが、その大部分(だいぶぶん)凡人(ぼんじん)()め、四转蛊師(してんこし)数百人規模(すうひゃくにんきぼ)五转蛊師(ごてんこし)(いた)っては五十人(ごじゅうにん)()たないのである。


(まさ)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)が、()れら強者(きょうじゃ)たちを一ヶ(いっかしょ)集結(しゅうけつ)させ、(たが)いに衝突(しょうとつ)競争(きょうそう)させているのである。生死(せいし)()けた激闘(げきとう)の中で、(さら)(つよ)蛊師(こし)()まれ、弱者(じゃくしゃ)容赦(ようしゃ)なく淘汰(とうた)されていく。


王庭争奪戦(おうていそうだつせん)最終決戦(さいしゅうけっせん)段階(だんかい)(はい)った。黒家(こくか)馬家(ばか)()双方(そうほう)ともの巨大(きょだい)怪物(かいぶつ)(ごと)存在(そんざい)である。


蛊仙(こせん)計算(けいさん)から(のぞ)けば、(いず)れの軍団(ぐんだん)も、()規模(きぼ)超級部族(ちょうきゅうぶぞく)勢力(せいりょく)(おお)きく上回(うわまわ)っている。


両軍(りょうぐん)将兵(しょうへい)(みな)(こころ)()さぶられ、(むね)高鳴(たかな)らせるのを(きん)()なかった。


()方源(ほうげん)のみが冷静(れいせい)であった。前世(ぜんせい)において、(かれ)(さら)(おお)きな局面(きょくめん)——五域混戦(ごいきこんせん)激動(げきどう)する大乱世(たいらんせい)目撃(もくげき)していたのである。


盟主様(めいしゅさま)配下(はいか)出戦(しゅっせん)(ねが)()でます!」


(わか)四转蛊師(してんこし)群衆(ぐんしゅう)から()()し、(むね)(たぎ)戦意(せんい)(おさ)えきれない様子(ようす)であった。


()(もの)(ほか)ならぬ葛光(かっこう)である。


葛光(かっこう)葛家(かっか)族長(ぞくちょう)であり、元々(もともと)は三转蛊師(さんてんこし)()ぎなかった。(しか)戦火(せんか)洗礼(せんれい)()生存(せいぞん)し、実力(じつりょく)(おお)いに増強(ぞうきょう)(ちか)四转(してん)への昇進(しょうしん)()たしたばかりであった。


黒楼蘭(こくろうらん)(かす)かに(まど)い、()ぐに視線(しせん)方源(ほうげん)()けた。


方源(ほうげん)葛家(かっか)常家(じょうか)両族(りょうぞく)統括(とうかつ)する太上家老(たいじょうかろう)であり、()二族(にぞく)(みな)(かれ)節制(せっせい)()けているのである。


方源(ほうげん)黒楼蘭(こくろうらん)()()けるような視線(しせん)(さっ)すると、淡々(たんたん)と(めい)じた。「葛光(かっこう)退()け。貴様(きさま)一族(いちぞく)(おさ)である。軽率(けいそつ)危険(きけん)()(さら)すべきではない。」


葛光(かっこう)は「はっ」と(かしこ)まって退(しりぞ)いた。


方源(ほうげん)(つづ)けて()った。「常飆(じょうひょう)何処(いずこ)に?」


「はっ、只今(ただいま)参上(さんじょう)しております。」


常飆(じょうひょう)(やまい)()したような顔色(かおいろ)(あらわ)れた。(さき)大戦(たいせん)での負傷(ふしょう)(いま)()えていないのは(あき)らかだった。


しかし方源(ほうげん)()れらを(かえり)みず、(ただ)出陣(しゅつじん)せよ」と(めい)じた。


常飆(じょうひょう)(くち)(ひら)いて反論(はんろん)しようとしたが、(むね)(いか)りが渦巻(うずま)くのを(かん)じた。黒家軍(こくかぐん)(くわ)わって以来(いらい)大戦(たいせん)がある(たび)に、(かれ)方源(ほうげん)から()(かえ)出陣(しゅつじん)(めい)じられてきたのである。


(たと)(かれ)有名(ゆうめい)強者(きょうじゃ)であると(いえど)も、(かく)高強度(こうきょうど)連続作戦(れんぞくさくせん)には()()れない。


(ゆる)せぬ!常山陰(じょうざんいん)(やつ)は、()れを畜生同然(ちくせいどうぜん)使(つか)(くさ)すつもりか?!(うら)めしいのは、(いま)()勢力(せいりょく)(よわ)く、公然(こうぜん)命令(めいれい)(さか)らえぬことだ。(しば)しは()(しの)ぼう。来日(らいじつ)(ほう)(ちょう)である。十数年前(じゅうすうねんまえ)(やつ)(わな)にかけられたのだから、十数年後(じゅうすうねんご)には(かなら)ずや本物(ほんもの)死地(しち)()()んで()せよう!」


常飆(じょうひょう)心中(しんちゅう)怒号(どごう)()げていたが、表向(おもてむ)きは方源(ほうげん)命令(めいれい)(したが)(ほか)なく、病躯(びょうく)()()りながら戦場(せんじょう)(おもむ)いた。







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