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蛊真人  作者: 魏臣栋
魔头乱世
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第一百三十一節:大决战

方源(ほうげん)常飆(じょうひょう)三人(みたり)表情(ひょうじょう)(こま)やかに観察(かんさつ)していた。


狼王(ろうおう)常山陰(じょうざんいん)過去(かこ)について、方源(ほうげん)(おも)に『常山陰伝(じょうざんいんでん)』で()()たが、当年(とうねん)狼王(ろうおう)(おとしい)れた真犯(しんはん)(にん)までは()()ていない。


しかし、(たと)真実(しんじつ)()ったとしても、()せる狼王(ろうおう)(ため)復讐(ふくしゅう)する(よう)気骨(きこつ)毛頭(もうとう)ない。


(かれ)方源(ほうげん)であって、所謂(いわゆる)常山陰(じょうざんいん)など、(たん)なる仮面(かめん)()ぎないのだ。


本日(ほんじつ)より、()れは常家部族(じょうけぶぞく)において唯一無二(ゆいいつむに)太上家老(たいじょうかろう)となる。」


方源(ほうげん)(くち)(ひら)き、沈黙(ちんもく)(やぶ)った。


常飚(じょうひょう)全身(ぜんしん)(ふる)え、()()け、(いそ)いで(あたま)()()けて()った:「常飚(じょうひょう)太上家老様(たいじょうかろうさま)にお()にかかります。」


「うん。」方源(ほうげん)(かる)くうなずき、「当年(とうねん)(けん)は、(さら)徹査(てっさ)必要(ひつよう)だ。しかし(いま)()機会(きかい)ではない。(すく)なくとも王庭争奪戦(おうていそうだつせん)終結(しゅうけつ)するまで()たねばならない。本日(ほんじつ)より、()れは常家(じょうけ)唯一(ゆいいつ)太上家老(たいじょうかろう)となる。常極右(じょうきょくう)(なんじ)常家(じょうけ)族長(ぞくちょう)(つと)めよ。常飚(じょうひょう)第一家老(だいいちかろう)(にん)ずる。倪雪彤(げいせつとう)(なんじ)()れの(えん)()きた。今後(こんご)常飚(じょうひょう)(つま)として()ごせ。」


巨陽仙尊(きょようせんそん)(さだ)めた伝統(でんとう)により、北原(ほくげん)では女子(じょし)地位(ちい)(ひく)く、(つね)貨物(かもつ)(ごと)取引(とりひき)される。(とき)には、(いえ)(とうと)(きゃく)(おとず)れると、主人(しゅじん)自身(じしん)(つま)貴客(ききゃく)(もと)(つか)わし、寝所(しんしょ)(はべ)らせることさえある。


「はっ?」


常極右(じょうきょくう)驚愕(きょうがく)(こえ)()げ、呆然(ぼうぜん)として立ち(つく)した。


倪雪彤(げいせつとう)沈黙(ちんもく)(たも)った。


常飚(じょうひょう)心中(しんちゅう)動揺(どうよう)()さえ、(ふたた)(ひたい)()()けて「配下(はいか)命令(めいれい)(うけたまわ)りました」と(こた)えた。


総員(そういん)退下(たいげ)せよ。」


方源(ほうげん)()()って追客令(ついきゃくれい)(くだ)した。修行(しゅぎょう)(つづ)けるため、時間(じかん)有効(ゆうこう)使(つか)わねばならない。


三人(みたり)はぼんやりと大蜥屋蛊(だいしおくこ)()た。(つめ)たい夜風(よかぜ)全身(ぜんしん)()()け、(ふる)えが()(とき)(はじ)めて(われ)(かえ)った。


()(よう)(なん)なく(かん)()ごせたのか?」


常飚(じょうひょう)胸中(きょうちゅう)には(かぎ)りない喜悦(きえつ)安堵(あんど)(ねん)()()がった。


(ただ)し、当年(とうねん)(けん)は、(わたし)完璧(かんぺい)処理(しょり)した。(たと)些細(ささい)痕跡(こんせき)(のこ)っていたとしても、()れまでの歳月(さいげつ)(あら)(なが)されている。当時(とうじ)私は意図的(いとてき)常山陰(じょうざんいん)(ちか)()き、腹心(ふくしん)(とも)となった。(いま)(かれ)大変(たいへん)()て、長年(ながねん)()わずにいたため、感情(かんじょう)疎遠(そえん)になるのも無理(むり)はない。」


常飆(じょうひょう)心中(しんちゅう)急速(きゅうそく)思考(しこう)(めぐ)らせた。現状(げんじょう)は、(かれ)予想(よそう)していた以上(いじょう)に、数倍(すうばい)()いものだった。


(みずか)らは族長(ぞくちょう)から家老(かろう)降格(こうかく)されたが、実権(じっけん)大半(たいはん)依然(いぜん)として保持(ほじ)している。常山陰(じょうざんいん)(わたし)第一家老(だいいちかろう)(にん)じたということは、(いま)(わたし)信頼(しんらい)している(あか)しだ!そして常極右(じょうきょくう)新族長(しんぞくちょう)()えたということは、(かれ)本心(ほんしん)には旧情(きゅうじょう)(のこ)っているからに(ほか)ならない!()旧情(きゅうじょう)さえあれば、万事(ばんじ)好都合(こうつごう)だ……」


常飆(じょうひょう)(かんが)えれば(かんが)える(ほど)(ふる)()っていった。


(かれ)(みずか)らの世界(せかい)(ひた)りきって、(つま)である倪雪彤(げいせつとう)複雑(ふくざつ)表情(ひょうじょう)(まった)()づかなかった。


かつて常山陰(じょうざんいん)彼女(かのじょ)美貌(びぼう)(つよ)(こころ)()かれていたが、先程(さきほど)面会(めんかい)では、(かれ)倪雪彤(げいせつとう)一瞥(いちべつ)だにしなかった。


()途上(とじょう)で、倪雪彤(げいせつとう)(ばん)心配(しんぱい)をしていた。もし常山陰(じょうざんいん)(ふたた)彼女(かのじょ)(うば)(かえ)そうとしたら、最愛(さいあい)常飆(じょうひょう)(はな)(ばな)れになるところだった。(なん)(いた)ましいことだろうか!


しかし(いま)状況(じょうきょう)倪雪彤(げいせつとう)予想(よそう)していたより何倍(なんばい)()かった。


常山陰(じょうざんいん)当年(とうねん)(けん)(しば)らく追及(ついきゅう)しないばかりか、彼女(かのじょ)常飆(じょうひょう)(つま)であり(つづ)けるよう(めい)じたのである!


倪雪彤(げいせつとう)にとって、()れは以前(いぜん)から夢見(ゆめみ)ていた結果(けっか)であった。(ほん)(とう)なら(よろこ)ぶべきなのに、何故(なぜ)彼女(かのじょ)(こころ)には恐怖(きょうふ)余韻(よいん)(のこ)一方(いっぽう)で、(みずか)らも(みと)めたくない喪失感(そうしつかん)渦巻(うずま)いていた。


一方(いっぽう)常極右(じょうきょくう)巨大(きょだい)歓喜(かんき)疑惑(ぎわく)(まよ)いに(おちい)っていた。


(つい)(ちち)()えた。あと数歩(すうほ)場所(ばしょ)(ちち)()たのだ!想定(そうてい)していた以上(いじょう)に、(ちち)威厳(いげん)()ちていた。」


「だが(ちち)(わたし)息子(むすこ)(みと)めず、名前(なまえ)()んだ。まさか(わたし)実子(じっし)であることを()らないのではあるまいか?」


「しかし(ちち)は、なぜ(わたし)常家(じょうけ)族長(ぞくちょう)(にん)じたのか?()(ほど)(わか)く、三転(さんてん)修行(しゅぎょう)しか()んでいない(わたし)に、(つと)まると()えるのだろうか?」


()かった!これは(ちち)(わたし)(あた)えた試練(しれん)(ちが)いない。()ったことのない息子(むすこ)である(わたし)(ため)しているのだ。もし(わたし)常家(じょうけ)立派(りっぱ)(おさ)め、見事(みごと)にこの試練(しれん)()()げれば、(ちち)(よろこ)び、(わたし)息子(むすこ)として(みと)めてくれるのではなかろうか?」


この(かんが)えに(いた)り、常極右(じょうきょくう)(こころ)(おも)わず(たか)ぶった。(かれ)(こころ)(ちか)った——(かなら)全力(ぜんりょく)()くし、()れからの王庭争奪戦(おうていそうだつせん)()成績(せいせき)(おさ)めようと。


方源(ほうげん)は、(みずか)らの簡素(かんそ)配置(はいち)が、常飆(じょうひょう)三人(みたり)(かく)(おお)きな心理的(しんりてき)波乱(はらん)()()こすとは予想(よそう)だにしなかった。


しかし、(たと)()ったとしても、(かれ)()(かい)さないだろう。


五百年(ごひゃくねん)(まえ)前世(ぜんせい)常山陰(じょうざんいん)馬鴻運(ばこううん)(たす)けて王庭之主(おうていのしゅ)王座(おうざ)()かせた(のち)(みずか)らも常家(じょうけ)大権(たいけん)再掌握(さいしょうあく)していたのである。


地球(ちきゅう)とは(こと)なり、偉大(いだい)(ちから)個人(こじん)()せられる(とき)(ちから)(つよ)ければ(つよ)いほど、権力(けんりょく)(おお)きくなる。


今日(こんにち)(いた)って、方源(ほうげん)はもはや青茅山(せいぼうざん)低階(ていかい)小蛊師(しょうこし)ではなく、体制(たいせい)による抑圧(よくあつ)搾取(さくしゅ)()ける存在(そんざい)ではない。(いま)(かれ)一部族(いちぶぞく)権力構造(けんりょくこうぞう)操作(そうさ)し、恣意(しい)改竄(かいざん)することさえできる。()うなれば、(かれ)(すで)世俗(せぞく)頂点(ちょうてん)()っているのである。


(かれ)(こころ)(なか)()()かっている——()一切(いっさい)(かれ)()にした強力(きょうりょく)(ちから)賜物(たまもの)であることを!


(いま)()第一空窍(だいいちくうきょう)完全(かんぜん)北原(ほくげん)適応(てきおう)し、五转巅峰(ごてんてっぽう)真元(しんげん)(どう)(よう)できる。第二空窍(だいにくうきょう)五转中階(ごてんちゅうかい)(いき)(たっ)している。(ふた)つの空窍(くうきょう)資質(ししつ)(とも)甲等九成(こうとうきゅうせい)で、現在使用(げんざいしよう)している二組(にくみ)蛊虫(こちゅう)により、真元(しんげん)非常(ひじょう)充実(じゅうじつ)している。」


「しかし奴道(ぬどう)力道(りきどう)蛊虫(こちゅう)は、極致(きょくち)(つよ)さとは()(がた)い。力道的(りきどうてき)には、五转功倍蛊(ごてんこうばいこ)獲得(かくとく)して以来(いらい)爆発力(ばくはつりょく)十分(じゅうぶん)(たか)まったが、()()()れに()()れない。」


(さき)劉家三兄弟(りゅうけさんきょうだい)との合体殺招(がったいさっしょう)三頭六臂(さんとうろっぴ)』との(たたか)いでは、方源(ほうげん)力道的戦力(りきどうてきせんりょく)のみで互角(ごかく)(たたか)うことさえ可能(かのう)であった。


だが方源(ほうげん)()()っている——(たと)五百钧(ごひゃっきん)(ちから)爆発(ばくはつ)させたとしても、(てき)はおろか、自身(じしん)肉体(にくたい)()(ちから)()えられないということを。


()(ほね)無常骨(むじょうこつ)全身(ぜんしん)皮膚(ひふ)亀玉狼皮(きぎょくろうひ)である。五百钧(ごひゃっきん)(ちから)()えるには、(まった)不十分(ふじゅうぶん)だ。しかし()筋肉(きんにく)大筋(だいきん)改造(かいぞう)力道的(りきどうてき)(てき)させれば、奴道的(ぬどうてき)には(かな)わなくなる。奴道(ぬどう)()わせれば、力道(りきどう)()わなくなる。結局(けっきょく)奴力二道(ぬりきにどう)(たが)いに補完(ほかん)()部分(ぶぶん)はあるものの、互換性(ごかんせい)(きわ)めて(ひく)い。魂道(こんどう)奴道(ぬどう)(ある)いは魂道(こんどう)智道(ちどう)(よう)関係(かんけい)とは(こと)なるのだ。」


この問題(もんだい)は、(じつ)以前(いぜん)から方源(ほうげん)(なや)ませ(つづ)けていた。


もし解決(かいけつ)できなければ、方源(ほうげん)奴力二道(ぬりきにどう)高度(こうど)熟達(じゅくたつ)するまでには(いた)っても、(しん)頂点(ちょうてん)()える(つよ)さには(たっ)しないだろう。


(たし)かに方源(ほうげん)落魄谷(らくはくこく)(かん)する継承情報(けいしょうじょうほう)()(あく)しているが、未来(みらい)予測(よそく)不能(ふのう)だ。何事(なにごと)も起こり()る。方源(ほうげん)生来(せいらい)慎重(しんちょう)性格(せいかく)であるため、落魄谷(らくはくこく)()()れるまでは、魂道(こんどう)転修(てんしゅう)する決断(けつだん)(くだ)せず、(したが)って奴力二道(ぬりきにどう)完成(かんせい)させる必要(ひつよう)がある。


方源(ほうげん)(しば)瞑目(めいもく)沉思(ちんし)した(のち)(おもむ)ろに()()け、空竅(くうきょう)から東窓蛊(とうそうこ)()()した。()()情報保存用(じょうほうほぞんよう)存储蛊(そんしょこ)であり、琅琊地霊(ろうやちれい)から()たものである。


東窓蛊(とうそうこ)(なか)には、殺招(さっしょう)三頭六臂(さんとうろっぴ)」に関する詳細(しょうさい)情報(じょうほう)記録(きろく)されている。()殺招(さっしょう)(きわ)めて強力(きょうりょく)で、劉文武(りゅうぶんぶ)歐陽碧桑(おうようへきそう)墨獅狂(ぼくしきょう)三人(みたり)巨大(きょだい)怪物(かいぶつ)へと変貌(へんぼう)させ、戦闘力(せんとうりょく)恐怖(きょうふ)すべき水準(すいじゅん)まで急上昇(きゅうじょうしょう)させることができる。


黒家(こくけ)劉家(りゅうか)勝利(しょうり)した(のち)()殺招(さっしょう)提供(ていきょう)要求(ようきゅう)したため、劉家(りゅうか)支払(しはら)った戦争賠償(せんそうばいしょう)(なか)()項目(こうもく)(ふく)まれていた。その()方源(ほうげん)戦功(せんこう)交換(こうかん)して入手(にゅうしゅ)したのである。


()数日(すうじつ)方源(ほうげん)(ひま)がある(たび)に、()殺招(さっしょう)研究(けんきゅう)没頭(ぼっとう)している。


蛊師(こし)複数(ふくすう)蛊虫(こちゅう)同時(どうじ)駆動(くどう)し、蛊虫(こちゅう)効果(こうか)相互(そうご)に組み(くみあ)わせることで、(さら)強力(きょうりょく)効果(こうか)(しょう)()す。()れが蛊師(こし)たちが(ぞく)に「殺招(さっしょう)」と(しょう)する技術(ぎじゅつ)なのである。


殺招(さっしょう)三頭六臂(さんとうろっぴ)」は、十八(じゅうはち)種類(しゅるい)蛊虫(こちゅう)同時(どうじ)駆動(くどう)する必要(ひつよう)がある。三転(さんてん)から五转(ごてん)までの蛊虫(こちゅう)使用(しよう)するため、真元(しんげん)消耗(しょうもう)(きわ)めて(おお)きい。(さら)に、三人(みたり)蛊師(こし)(そろ)わなければならず、単独(たんどく)個体(こたい)では成立(せいりつ)しない。


()殺招(さっしょう)は、方源(ほうげん)使用(しよう)できるものではない。しかし、それ(ゆえ)価値(かち)()(わけ)では(けっ)してない。


殺招(さっしょう)蛊方(こほう)も、()使(つか)技術(ぎじゅつ)(すい)なのである。


何故(なぜ)此等(これら)蛊虫(こちゅう)を組み(くみあ)わせれば、(かく)強力(きょうりょく)効果(こうか)(しょう)じるのか?何故(なぜ)彼等(あれら)蛊虫(こちゅう)では、(ぎゃく)効果(こうか)()られないのか?もし其中(そのちゅう)(いず)れかの蛊虫(こちゅう)(ほか)のものと()()えたら、効果(こうか)如何(いか)()わるのか?()(てき)(ふたた)()殺招(さっしょう)使(つか)って(きた)ら、如何(いか)なる方法(ほうほう)(やぶ)れば()いのか?


(ひと)万物(ばんぶつ)(れい)であり、()天地(てんち)真精(しんせい)である。


()()には、天地(てんち)(かす)かな法則(ほうそく)と、大道(だいどう)断片(だんぺん)()められているのだ。


()理解(りかい)することは、大道(だいどう)理解(りかい)し、()世界(せかい)自然法則(しぜんほうそく)理解(りかい)することである。(ちょう)地球(ちきゅう)(じょう)実験(じっけん)利用(りよう)して科学法則(かがくほうそく)獲得(かくとく)するのと(おな)じようである。


()蛊方(こほう)は、方源(ほうげん)非常大(ひじょうおお)きな啓発(けいはつ)をもたらした。


()(わたし)(みっ)つの(あたま)(ろっ)(ぽん)(うで)()やしたら、如何(いか)なるだろうか?」


(かれ)脳裏(のうり)霽光(せいこう)(ひらめ)いた。(あたら)しい(まど)(ひら)かれた(ごと)くである。


(かれ)肉体(にくたい)は、基盤(きばん)(いし)(ごと)し。奴力(ぬりき)二道(にどう)は、()基盤(きばん)(うえ)(そび)()楼閣(ろうかく)である。現在(げんざい)()基盤(きばん)(おお)きくなく、二棟(にとう)楼閣(ろうかく)(ひく)建物(たてもの)にしかならない。()()基盤(きばん)拡大(かくだい)すれば、二棟(にとう)高樓(こうろう)同時(どうじ)(ささ)えることが可能(かのう)になるのではなかろうか?


方源(ほうげん)(おの)容貌(ようぼう)に、元来(がんらい)とらわれがない。


英挺(えいてい)だの(みにく)いだのと、(よそ)()がどう(うつ)そうと、(なん)(かか)わりがあろうか。戦闘力(せんとうりょく)さえ(つよ)ければ、怪物(かいぶつ)見做(みな)されようが(かま)うものか。


北原歴(ほくげんれき)七月(しちがつ)


天候(てんこう)日増(ひま)しに(きび)しい(さむ)さとなり、霜気(そうき)(こお)りつき、陰雨(いんう)()()なく()(つづ)く。


各地(かくち)大軍(たいぐん)幾度(いくど)もの激戦(げきせん)()て、その(かず)五十路(ごじゅうろ)()たぬまでに激減(げきげん)した。


黒家(こくけ)劉家(りゅうか)勝利(しょうり)したものの、元気(げんき)(そこ)ない、陣営(じんえい)停駐(ていちゅう)する(よう)は、(きず)ついた猛獣(もうじゅう)(ごと)く、一瞬(いっしゅん)(いき)をつぐ(いとま)()しんで休養(きゅうよう)(つと)める


七月(しちがつ)中旬(ちゅうじゅん)


独角地方(どっかくちほう)では、耶律軍(やりつぐん)(なな)つの大軍(たいぐん)包囲攻撃(ほういこうげき)撃破(げきは)した。反撃(はんげき)当日(とうじつ)耶律桑(やりつそう)五转蛊師(ごてんこし)(さん)(めい)()()戦果(せんか)()げた。


(しか)()戦役(せんえき)における最大(さいだい)功労者(こうろうしゃ)は、耶律軍中(やりつぐんちゅう)祁連一族(きれんいちぞく)(ぞく)する隠居(いんきょ)家老(かろう)祁連族長(きれんぞくちょう)養子(ようし)である無名(むめい)であった。


無名(むめい)五转中階(ごてんちゅうかい)暗殺蛊師(あんさつこし)である。両軍(りょうぐん)対峙(たいじ)する(なか)(かれ)は度々(たびたび)敵陣(てきじん)潜入(せんにゅう)し、敵将(てきしょう)暗殺(あんさつ)見事(みごと)五转強者(ごてんきょうしゃ)(ふた)(めい)四转蛊師(してんこし)十三(じゅうさん)(めい)仕留(しと)め、(なな)つの大軍(たいぐん)恐慌(きょうこう)(おとしい)れ、士気(しき)大幅(おおはば)低下(ていか)させたのである。


北原歴(ほくげんれき)八月(はちがつ)


楊家(ようか)奴道大師(ぬどうたいし)江暴牙(こうぼうが)(まね)()れた(のち)実力(じつりょく)大幅(おおはば)向上(こうじょう)し、連戦連勝(れんせんれんしょう)(かさ)ね、幾度(いくど)もの大勝(たいしょう)(おさ)め、王庭争奪戦(おうていそうだつせん)後期(こうき)(あら)われた(あら)たな注目勢力(ちゅうもくせいりょく)となった。


新進(しんしん)奴道大師(ぬどうたいし)豹王(ひょうおう)」ヌール(ぬーるず)は、大軍(たいぐん)(ひき)いて陶家(とうか)威圧(いあつ)した。陶家連合軍(とうかれんごうぐん)挑将(ちょうしょう)過程(かてい)相次(あいつ)いで敗北(はいぼく)し、盟主(めいしゅ)陶幽(とうゆう)時勢(じせい)(つまび)らかに見極(みき)め、(みずか)らが王庭之主(おうていのしゅ)()()(のぞ)みは最早(もはや)()いと(さと)り、努尔图(ぬーるず)帰順(きじゅん)することを(えら)んだ。努尔軍(ぬーるぐん)陶家(とうか)併合(へいごう)した(のち)軍力(ぐんりょく)(おお)きく増強(ぞうきょう)された。


八月(はちがつ)中旬(ちゅうじゅん)黒楼蘭(こくろうらん)軍令(ぐんれい)(くだ)し、全軍(ぜんぐん)再起(さいき)征途(せいと)(めい)じた。


九月(くがつ)(いた)(ころ)王庭争奪戦(おうていそうだつせん)行方(ゆくえ)(あき)らかとなった。勝機(しょうき)(のこ)すは五路(ごろ)大軍(たいぐん)のみとなったのである。


狼王(ろうおう)常山陰(じょうざんいん)太白云生(たいはくうんせい)(よう)する黒家(こくか)新進(しんしん)豹王(ひょうおう)(ひき)いる努尔家(ぬーるか)鼠王(そおう)鷹王(ようおう)(ゆう)する楊家(ようか)馬王(ばおう)(かか)える馬家(ばか)仙蛊(せんこ)を持つ耶律桑(やりつそう)指揮(しき)する耶律軍(やりつぐん)である。


九月上旬(くがつじょうじゅん)努尔軍(ぬーるぐん)楊家(ようか)交戦(こうせん)豹群(ひょうぐん)鷹群(ようぐん)鼠群(そぐん)二重(にじゅう)攻撃(こうげき)()()れず、半月余(はんつきあま)抗戦(こうせん)した(のち)努尔図(ぬーるず)敗北(はいぼく)(きっ)した。


十月(じゅうがつ)初旬(しょじゅん)楊家(ようか)戦争賠償(せんそうばいしょう)吸収(きゅうしゅう)(いそ)がしい(すき)をついて、耶律桑(やりつそう)急襲(きゅうしゅう)仕掛(しか)けた。


楊家軍(ようかぐん)(なか)では、開戦(かいせん)主張(しゅちょう)する(もの)堅守(けんしゅ)(とな)える者、撤退(てったい)提言(ていげん)する者など意見(いけん)対立(たいりつ)し、(ぐん)足並(あしな)みが(みだ)れたため、耶律桑(やりつそう)(おも)(つぼ)となった。


耶律桑(やりつそう)勝利(しょうり)(おさ)めたのも(つか)()今度(こんど)馬家(ばか)(ねら)われる()となる。


馬家軍(ばかぐん)三日三晩(みっかみばん)急行軍(きゅうこうぐん)耶律桑(やりつそう)不意打(ふいう)ちし、準備(じゅんび)(すき)()いた。


(おな)じような局面(きょくめん)(かれ)()(うえ)再現(さいげん)される。耶律軍(やりつぐん)戦果(せんか)消化(しょうか)する()もなく、馬家(ばか)猛攻(もうこう)によって潰走(かいそう)した。


耶律桑(やりつそう)残兵(ざんぺい)(ひき)いて敗走(はいそう)(つづ)け、(みずか)(すす)んで黒家軍(こくかぐん)帰順(きじゅん)した。


十一月(じゅういちがつ)初旬(しょじゅん)黒家軍(こくかぐん)迅速(じんそく)北上(ほくじょう)し、途中(とちゅう)八道(はちどう)防衛線(ぼうえいせん)(きず)き、同月(どうげつ)中旬(ちゅうじゅん)馬家(ばか)決戦(けっせん)()(ひろ)げた。


勝者(しょうしゃ)のみが王庭福地(おうていふくち)進駐(しんちゅう)(ゆる)され、敗者(はいしゃ)賠償金(ばいしょうきん)支払(しはら)い、無念(むねん)失望(しつぼう)(なか)北原(ほくげん)十年(じゅうねん)一度(いちど)大風雪(おおふぶき)(むか)えねばならない。


一時(いちじ)()決戦(けっせん)無数(むすう)表裏(ひょうり)視線(しせん)(あつ)めた。


初期(しょき)幾戦(いくせん)かでは、黒家(こくか)(かす)かな優位(ゆうい)(たち)馬家(ばか)二道(にどう)防衛線(ぼうえいせん)(うし)ない、第三防衛線(だいさんぼうえいせん)まで後退(こうたい)して堅守(けんしゅ)余儀(よぎ)なくされた。


耶律桑(やりつそう)復讐心(ふくしゅうしん)()え、()()なく挑戦(ちょうせん)仕掛(しか)け、馬家軍(ばかぐん)籠城(ろうじょう)させて士気(しき)(いちじる)しく低下(ていか)させた。


馬家(ばか)()()く、背後(はいご)にある大雪山福地(だいせつざんふくち)救援(きゅうえん)要請(ようせい)せざるを()なかった。




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